12-3話
マルコと会った日の夜。ルカはレオンや仲間を連れてスノウの店で飲んでいた。
はしゃぐレオン達と違い、ルカの表情は曇っていた。
その事にいち早く気づいたスノウが心配そうに声をかける。
「今日のルカ兄ぃ。ちょっと変だよ? 何か心配事?」
「おい。皆に話があるんだ。聞いてくれ」
ルカはマルコから聞いた話をレオン達にも話、自分の考えを伝えた。
「……と言う訳で、俺はこの街を離れ姿を消そうと思う」
その言葉にいち早く反応したのはレオンであった。
「待てよルカ!? 姿を消すってどういう事だよ。俺は嫌だぜ。どんな敵だって俺達が負ける訳ねーだろ」
「馬鹿言っているじゃねーよ。今度の敵はルスカファミリーみたいな弱小ファミリーじゃねーんだよ。それらをまとめ上げているガスパロファミリアなんだ。数が違うし俺とレオンだけなら良いが……」
普段は見せないルカの弱気な発現を見てレオンは苛立ちを覚える。
「潰されてもいいじゃねーかよ。全力で暴れてよ。俺達がどれだけヤバイ奴達なのかって言う事を、街中に教えてやろうぜ。いつもルカならそう言ってる筈だろ」
「レオン、お前こそ馬鹿言っているんじゃねーよ。この問題は俺達だけの問題じゃねーんだよ。仲間であるコイツ達の事を考えてみろ。ルスカファミリーの時と同じ様していては、またスノウやコイツ達にまで危険が迫るかも知れないじゃねーか!」
「確かにスノウちゃんは危険だけどよ。コイツ達は別だよ。こうなりゃ全員で大暴れして死ぬ覚悟で突撃窯してやればいいじゃねーかよ。そうだよなっ! なっ!」
レオンの横に座っていた仲間たちに同意を求めて見たが、無言の状態で反応はイマイチ悪い。
無能力者の者たちにとってファミリーと対峙すると言う事はそれだけ恐ろしい事であった。
「あんだよ? お前達、だらしねぇな。ビビってんじゃねーよ」
同意を得られなかったレオンは面白く無さそうに発破をかける。
「普通はビビるだろうが!! 覚悟が決まっているレオンや俺と違って、コイツ達だって命は惜しいんだよ。俺達は仲間であって、ファミリーみたいな盃や絆で縛られている関係じゃない。命のやり取りを矯正するのは間違っているんじゃねーのか? 今回は俺達の事で無理やりコイツを巻き込んでしまった訳だし、ならばこそ俺達が引く事でコイツを守ってやるべきだと俺は思う」
「あんだよ……」
「俺がマルコから聞いた話しだとファミリアではコイツ達やスノウは素人と見られているから今は安全だ。ファミリーの者達も一般人を理由もなく襲ったりしないらしい。もし一般人に手を出したって噂が広まれば、自分達の商売に影響するからな。表と裏。共栄共存ってのがファミリアの流儀らしい。その話が本当なら普通に生活するだけならお前に危害が及ぶ事もない筈。ファミリアが今、的に掛けているのは飽くまで俺とお前だけ。それなら俺達が姿を隠せばコイツ達だって命までは取られたりしねぇだろうよ」
「チッ……わかったよ。俺が悪かった。お前の言う通りにするよ」
そう言いながら、レオンは両手を上げて降参のポーズをとった。
「皆も理解したと思うが、今日の夜にでも俺とレオンはこの街から出ていく」
「今日!?」
「あぁ、既に指令は出ているらしいからな、出来るだけ早いほうが良い。それと行き先はお前達にも教えない。スノウ…… お前にもだ」
「えっどうして。それじゃ。私はもう二度とルカ兄ぃとは会えないの? そんなの嫌だよ」
スノウは瞳に大粒の涙を浮かべて、ルカの腕にすがりつく。
「もしお前達の誰かが俺達の行方を知っていると相手が知れば、拷問してもでも吐かすかもしれない。これはお前達の為でもあるんだ。それに二度と会えないなんて絶対にない。落ち着いたら連絡するから待っていてくれ!!」
暫くして、ルカの腕を抱きしめていたスノウの力が抜けていく。
それはスノウがルカの想いを感じ取ったから。仲間の安全を一番に考えた結果だとスノウは理解する。
「うん。わかった……私が今、無理を言ったらルカ兄ぃに迷惑が掛かっちゃうもんね。私はずっとこの店でルカ兄ぃからの連絡を待っているから。絶対に連絡してね」
スノウは不安を振り払い、笑顔を作る。その瞳には大粒の涙が浮かんでいた。
「あぁ、必ず連絡するよ。皆も今日から派手な行動は抑えて、騒動が落ち着くまでの間は静かに暮らすんだ。わかったな」
今後の打ち合わせを終えた後、ルカとレオンは夜の間に街を抜け出し姿をけした。




