12-2話
数日後、ルスカファミリーの元第三席だったマルコに呼び出されて、ルカは一人で街の外れの待ち合わせ場所に来ていた。
集合場所は街道の一角で木々を切り開いて作られた街道が遠くまで続く景色が続く。予定時刻の少し前についたルカだったが、マルコの方が早く到着しているようで、煙草を片手に待っていた。
「おう。早いじゃねーか。約束の時間はまだだろ? 見かけによらず以外に律儀な野郎だったんだな」
ルカに気づいたマルコが気さくにそう語りかける。
「アンタには借りが在るからな!! あの後、スノウから詳しい話を聞いた。あんたは犯されそうだったスノウを助けてくれたそうだな。その恩を返さないとゆっくりと眠れねぇからよ。それで俺に何の話があるんだ? ファミリーを潰された返しなら受けて立つぞ?」
「そう、いきり立つなって。俺は自分の意思でファミリーを抜けたんだ。だからお前達に恨みはねぇよ。今日は伝えたい事があってな。実はガストロファミリアでルスカファミリーの解散が正式に承認された」
小さな組織はファミリー、ファミリーを幾つもまとめ上げた団体や連合などの複合組織をファミリアと呼んでいた。
「そうかよ」
ルカは興味が無さそうに答える。
「ルスカファミリーの残党は連合の上部組織であるエルラドファミリーが引き取るそうだ」
「マルコさん。アンタもそこに入るのかよ?」
「あぁ、そのつもりだ」
「そいつは良かったな。それじゃあな」
話を切り上げて帰ろうとしていた、ルカをマルコは呼び止めた。
「待ちな!! 言いたいことはまだある。今回ルスカファミリーを解散に追い込んだのは、完全にお前達だ。下部組織だったとしてもファミリアにもメンツがある。組織に傷を付けられたままじゃ、他のファミリアに舐められてしまう。すでにファミリアの総力をあげてお前とレオンの二人を始末しろって通達が出ている。お前達、今の状況が分かっているのか? この街…… いや第一区の近辺から早く離れる事だ。いくらお前達が強かろうと言ったって、ファミリアが動けばひとたまりもねぇぞ」
足を止めたルカが振り返る。
「ファミリアが俺とレオンを的に掛けたって!? 余計なお世話なんだよ。それによ。それは俺達の力が認められたって事だろ? 望む所だよ。それにしてもアンタは一体どっちの味方なんだよ? 俺にそんな情報を漏らしていいのかよ? ファミリアに対しての裏切り行為だろうが!?」
ルカの顔はマルコを心配している様にも見えた。
「ふん。言っちゃなんだが、まだ俺はエラルドファミリーの正式な子供になっちゃいねぇんだ。正式な子になるのはもう少し先だ。だから今なら裏切り行為にはなっていない。俺はお前の様な真っ直ぐな男が嫌いじゃないんだよ。こんな下らない抗争で死なせたくはない。それがお前に助言する理由だ」
「ふん。なんだよそれ。でもアンタは変わってるよな」
ルカは呆れた顔を浮かべた。
このマルコと言う男が筋が通った男だという事は最初の事で十分かっている。
マルコは真剣な表情へと変わり、話を続けた。
「だがな。俺が正式にファミリーに所属した暁には、俺の全力をかけてお前の命を狙うぞ。それがどういう事か解るな?」
そう言い放つと帯剣した剣を抜き、近くに生えている直径一メートルを超える大木を一刀両断してみせた。
「やっぱアンタは怖ぇな。いつでも来なよ。俺も楽しみに待っているぜ」
そう伝えるとルカはレオン達が待つアジトへと向かって歩き始めた。
「伝える事は伝えた。後はお前が決める事だ。俺以外の奴には殺されるんじゃねーぞ!!」
マルコもそう言うとルカとは反対の方向へと歩き出した。




