9-1話 スノウの弟
ある日の昼下がり。
ルカが街中を歩いていると懐かしい人物を見かけた。
「おい! 待てよ。お前、アルベルトだろ?」
ルカに名を呼ばれた青年が振り向く。青年は声を掛けた相手に気付き、懐かしそうな笑みを浮かべ駆け寄ってきた。
「あっ! ルカ兄ぃ!!」
「おぉ やっぱりアルベルトか!! 久しぶりだな。元気にしてたか?」
「うん。何とか頑張っているよ。俺も十八歳になったんで、今は孤児院を先に出ていた姉さんと二人で暮らしているんだ」
「姉さん? スノウの事か。あいつは元気なのか? 今どんな仕事をしているんだ?」
ルカは昔の事を思い出し懐かしんでいた。
ずっとルカの後ろから離れなかった、あの可愛らしいスノウとも長く会っていない。
ルカはスノウが孤児院を出ると聞き、心配で迎えに行ったのだが、スノウは予定よりも早く孤児院を出ていた。
それからの足取りは全くわからないまま今日まで過ごしてきた。
スノウはアルベルトより一歳上なので今は十九歳。
小さい頃から可愛かったのでどんな風に成長しているのか少し気にもなる。
「俺は荷運びの仕事なんだけど、スラム出身者だから、仕方ないんだけど中々厳しいかな。姉さんは、今は飲み屋で接客しているよ。余りお酒は強くないんだけど、給金がいいんだってさ。だから嫌々ではあるけど毎日仕事に行っているよ」
「そうか、何処の店か教えてくれよ。俺も様子を見に行くからさ」
「うん」
アルベルトは素直に頷いていたが、少し様子がおかしい。歯切れの悪い感じを受ける。
「ん? どうした? 何か悩み事でもあるのか?」
「ん…… まぁ、でも大丈夫だよ」
「おいおい、遠慮するなって、同じ孤児院の出じゃないか。何でも相談しろよ。出来る事だったら力になるぜ」
「ルカ兄ぃ…… 実は……」
ずっと一人で悩んでいたアルベルトは、差し伸べられた手に縋るように少しづつ話しだした。
「借金だと!? 一体幾らだよ?」
「金貨10枚……」
「何だって!? 金貨10枚? どうしてそんな大金を?」
「いや違うんだ。最初は生活費が足らなくて、銀貨を5枚だけ借りたんだ。だけど無茶苦茶な利子がついていて、知らない間に凄い増えていて…… 姉ちゃんにはまだバレていないけど、もしバレたら絶対に迷惑がかかるから一体どうしたらいいのか……」
「……話はわかった。今からその金貸しの事務所に案内しろ。俺が話を付けてやる」
「ルカ兄ぃ」
「泣きそうな顔してんじゃねぇよ。後は俺に任せとけ」
スノウにも会いたかったが、今はアルベルトの問題を何とかしないといけない。旧知の仲間を救う為にルカは行動を始めた。




