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8-2話

 レオンとルカが行動を共にするようになってから六年が経過していた。

 ルカの年齢は今年で二十歳。今は住んでいた孤児院から一番近い歓楽街で一人暮らしをしている。


 歓楽街とは酒と賭け事や女性など、男性の欲望を満たしてくれる店が集まった場所の事だ。

 この歓楽街には快楽の全てが集まってきており、夜の街は毎夜熱気に包まれていた。


 ルカは歓楽街に住み遊んでいる訳ではなく、スキルの鍛錬は続けている。なので今は昔とは比べられない程強くなっていた。

 

 アルバート伯爵家に対する恨みも忘れていないが、今は準備期間だと考え、軍資金の貯蓄や情報収集などを行っている。


 外を知らないルカはまず社会を知らなければならない。

 なのでレオンやその仲間達と毎日馬鹿をやりながら、社会の仕組みを肌で感じていた。

 

 当然、仕事もしている。決して自慢出来る仕事では無いが、それはルカ達がもっとも得意な分野だった。

 

 何も知らないルカでも資金が無ければ何もできない事は分かっている。

 スラム街には金で身を滅ぼした者が多く集まってきていたからだ。

 そういう者達をずっと見続けて来たからだろうか? ルカは貪欲に金を欲していた。

 

 ルカの拠点は首都【第一区】に隣接されている【第四区】。首都に近いだけあって、街の規模もなかなかに大きい。

 

 街が大ければ、多くの人が自然と集まってくる。欲望に目を輝かせた老若男女が日が落ちると共に歓楽街を目指す。

 そんな狂気に満ちた場所で、酒に酔って暴れる客や、女性に手を出すたちの悪いの悪い男性から店や女性を守り、みかじめ料を貰うのがルカとレオン達の仕事だ。


 スラム街出身者の就ける仕事は結局、奴隷の様に働くか裏社会の様な血生臭い仕事しかない。


 それはルカ達も同じだったが、圧倒的な戦闘力を持つ二人はその武力に物を言わせて数多くの店から、みかじめ料を受け取っていた。


「へっへっへ。ルカ。今日はどの店で飯を食おうか?」


 上機嫌で歩くレオンは後頭部に両手を回し、隣を歩くルカへと声をかけた。街には発光石を仕込んだ街灯が規則正しく立てられており、発光石から溢れだす光で周辺は明るい。

 

 この光る石は魔鉱石と呼ばれる鉱石の一つだ。

 昼間、太陽の光を浴びるとその光を吸収し、周囲が暗くなった時に溜め込んだ光を発光させる不思議な鉱石だ。

 昔から魔鉱石は存在していたが、当時は全く見向きもされていなかった。

 けれど色々な利用方法がある事がわかり利用され始めたのは十数年前位だった。

 

 この魔鉱石の価値を見出し熱心に研究したのはロイズ帝国の帝王ロイズ三世であった。ロイズは多種に渡る魔鉱石を見つけ出し、その研究をさせた。

 その結果、軍事から生活に至る様々な分野で、人々の生活に無くてはならない物へとなっていた。


 ロイズが常勝国家と呼ばれた最大の理由は魔鉱石を戦争に使用したからと言われている。


「飯? 俺は何処でもいいけどよ…… あっそういえば最近できた肉専門店があっただろ? みかじめ料の話もあるから行ってみようぜ」


「肉かぁ、いいねぇ。俺は肉が大好物なんだよ。今日はたらふく食ってやるぜ」


 店に到着すると、大勢の客で賑わっていた。出来たばかりの店なので、物珍しさも在るのだろう。

 席は満席ですぐには着席出来そうにもない。

 

 仕方なくルカ達は店員に声を掛けて、席が空くのを待つことにした。


「おい。お前はスラム出身のルカとレオンだろ? なぜお前達がこの店にいるだ?」


「あぁ、お前は誰だ? この店は肉を喰う店だろ? 肉を喰いに来たに決まってるじゃねーか?」


 初めて見る三人組のチンピラ風情の男達が、店の外で待っていたルカ達に因縁をつけてきた。

 短気なレオンは既に臨戦態勢だ。


「最近、お前達の行儀の悪さが評判になってるんだよ。街には各ファミリーが昔から治めているシマ割があってだな。そのシマの利権は全部そのファミリーの物なんだよ。なのにお前達が勝手に人のシマ内で商売を始めやがって、こっちは迷惑してんだよ!! 既にこの店は俺達にみかじめ料を収めているんだ。だからお前達は邪魔なんだよ。わかったなら、さっさと消えろ!!」


「さっきから、何言ってやがるんだ? 誰が決めたか知らねーシマなんて俺達の知った事か? 気に入らなけりゃ力で抑え込めばいいだけだろ? ほら、かかって来いよ」


 チンピラ相手にレオンは挑発をする。


「この野郎ぉぉ。噂じゃ、ちぃとばかし喧嘩が強いらしいが、本職の喧嘩ってものを教えてやる必要があるみたいだな」


「兄さんカッコいいね。なら本職の喧嘩ってやつを教えて貰おうじゃねーか。此処じゃ迷惑がかかる。裏でやろうぜ」


 いつの間にかやる気になっていたルカはノリノリで売られた喧嘩を買いだした。

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