6-3話
ノエルがこの世を去った後、ルカはスノウが暮らす孤児院に引き取られていた。
幸いな事に気心がしれた友人が側にいる事でルカはノエルとの別れを素直に受け入れる事が出来ていた。
ノエルの事は守れなかったが、これからは世話になる孤児院の仲間を守る為。
そして母親を死に追いやった伯爵家に恨みを晴らす為に強くなるとルカは決めた。
そのためには孤児で金も力も無いルカが唯一持っている武器である。
発現した自分のスキル能力を解明し、自由自在に能力を使いこなす事を目指す事にした。
そう決断したルカは人気の無い場所を見つけ、スキルの訓練をたった一人で開始する。
「まずは自分の力の事について調べた方がいいだろうな。俺はスキルについて全くの無知だからな」
スキルの存在は誰でも知っているのだが、数千人に一人と言う割合でしか産まれない。
その発言する能力の数も多く。戦闘系から商業系、さらには特殊系まで千差万別といえる。
スキル能力者の数も少ないので、一般人の中では死ぬまでに一度もスキル能力を見たことが無いと言う者もいる。
その為ルカが知っているスキルの知識も絵本に書かれている程度だ。
「最初に覚える事はスキルの発動方法からだよな? さて、どうするか…… あの時の状況を思い出してだな…… えっと不思議な力が体中を走り回る感覚でいいのか?」
ルカは精神を統一すると、身体の奥に隠れていた力を開放させる。すると意外と簡単にあの時と同じ感覚を手に入れた。
「これでいいのか? 今スキルが発動している? もしそうなら意外といけるかも」
そんな感想を述べているが、普通ではありえない現象であった。実はスキル能力者がスキルに目覚めて、自在に発動させるまでには数年間の訓練が必要とも言われていた。
その為に、スキルの前兆を発現した者はまずは能力検査にかけられて、本当にスキル能力者なのか判別される。
検査で合格した者達は、帝国が長い年月を掛けて集めてきたノウハウから作られた特別育成カリキュラムでスキル能力の能力値を高め、数年計画で能力者としての力を発揮できる様に訓練をする。
幸いな事にルカはスキル能力に対して天才的な才能をもっていた。普通なら教えられないと気づかない事も感覚で感じ取り、自分の力として吸収していく。
もしかすれば帝国で五本の指に入る実力者だったノエルの才能を受け継いでいるのかもしれない。
天才は復讐という想いを糧に一心に努力を重ねる。全ては少しでも自分が強くなる為に、帝国が作成した特別カリキュラムにも載っていない独自の方法で鍛錬を続けた。
更にルカの住む場所がスラム街と言うのもスキル能力を鍛え上げるのに適していた。
練習はスラム街でもっとも人気のない場所で行っているので、ルカが色々な実験や試みを行っていてもバレる事は無かった。
また能力向上をする上で最も必要な実戦経験もスラム街にいれば、相手の方から勝手に粉を掛けてくるので、全く困らなかった事が大きい。
力が無い者は生きて行けないこのスラム街と言う環境が、逆にルカの力を極限にまで高める手助けをする。
飛びかかる火の粉を払うのでは無く、飛びかかる火の粉を全て叩き潰しながら、ルカは多くの経験を積み急激に実力を向上させていく。




