レズでも生徒会長がしたい!
頑張れば今日中にもう1話ワンチャン
先程と同じようにドアをバンッと勢いよく開けると思いきや、春咲は顔だけ出して教室の中を見渡す。
上門がいるか確認してるんだろうなあ。
当の上門は授業終了と共に何処かに消えて今はいない。
「上門はいないぞ」
「そ、そうですか」
ホッと胸をを撫で下ろす春咲。
「来ましたよ!」
「何企んでるか知らないが俺は生徒会に入る気は無いからな」
「いいえ、先輩。先輩方は生徒会に入る気になりますよ。いえ、入りたくなるはずです」
そう言って、取り出したのは、さっき何かいじっていたスマホだった。
スマホを受け取り、画面を見ると去年の生徒会長からの返信メールが表示されていた。
「なになに。折乃生徒会長の文化祭を楽しみにしているよ。今年の文化祭は絶対に行くからね、だと!? まじかよ……」
一ノ倉さんに助けを求めるが。
「残念だけど、そんな泣きそうな顔をしても助けることは出来ないわよ」
「いいえ、一ノ倉先輩。続きを読んでみてください」
折乃が渡すスマホを恐る恐る手に取る一ノ倉。
嫌な予感は的中していた。
「PS、一ノ倉も生徒会頑張って……!?」
嘘でしょ!? と言わんばかりのリアクション。
春咲を見ると、勝ち誇ったような顔をしている。
「お前、先輩を売ったな!?」
「買い取り先は大先輩なんで、いいんです」
なんだ、その理屈は……。
「それに、安心してください! 私は今年も生徒会選挙に立候補しますから! 大船に乗った気でいてください!」
ほとんど無い胸を張って言う春咲。
「「それはない」」
「即答!? そりゃあ、去年、庶務でしたけど……」
「落ち込み春咲ちゃん、はっけーん」
上門の光った目はまさに、飢えた獣が獲物を見る目。
「いつの間に!? きゃっ」
春咲は可愛い悲鳴を上げ、上門のレズホールドの餌食になる。
一ノ倉さんにこのレズホールドをやろうとしているのを見かけたが、顔面に本を一撃もらっていた。相当痛かったのだろう、たまにしか仕掛けようとしない。
しかし、こんな大胆に何度も女の子を襲って、皆は上門を"可愛いものが好きな、意外と女の子らしい一面を持つ人"と言うのだ。
素晴らしい印象操作である。
ちなみに、敷町がホモと知っているのはクラスの男子だけだ。
「そ、そういうことなんで、ちゃんと立候補するんですよ!」
そう言って、なんとかレズホールドから抜けて、自分のクラスへ逃げていった。
「私も生徒会入ろうかしら」
「「「えっ?」」」
ポツリと呟いた上門の一言にクラス皆が反応する。
俺と一ノ倉さんの「えっ」は面倒なことになりそうの「えっ」だが、クラスメイトの「えっ」は大体予想がつく。
「上門さんが生徒会に立候補するなら私、宣伝とか頑張るよ!」
「俺も!」
やっぱりだ。
「僕も一肌脱ぐよ!」
そう言って、田中君は上着を華麗に脱ぎ捨てる。
「お前はマスコットキャラクターにでもなるつもりか!?」
と、敷町がそう言うと、クラスが笑いに包まれる。
「本気で生徒会に入る気なの?」
「皆、応援してくれるみたいだし、決めたわ! 私、立候補する。もちろん、生徒会長に!」
突然の挑戦状。
「嘘だろ……」
汗が頬を伝う。
「勝負よ、折乃優人!!」
ーーこうして、俺と彼女の初めての戦争が始まった。
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