第94話 訪問者(2)
最近は3日や4日に一回の投稿になってしましたね。
それにしても、崩壊○rd楽しいですね。
アップデートが楽しみです。
今回は少し重いような感じです。
とても早い何かが飛んでくる。
その先には黒で覆われた誰がいる。
飛んできた何かは足に当たり、俺の右足を消し去った。
「痛い!痛い!痛い!!!足が!足がぁ!」
痛みでのたうちまわる俺を誰かが笑っている。
また、何かが飛んでくる。
次は左足が消えた。
「ぁ…」
痛みで声すら出なくなった。
誰かの笑い声が更に大きくなる。
体が寒い。
徐々に目の前が見えなくなっていく。
笑い声が近づいてくる。
徐々に誰かがはっきりしてくる。
白い肌に、金色の目、そして大きく歪んだ口。
そして…
背中に生えたどす黒い翼。
思考も混濁していく。
もう体は動かない。
逃げられる術などない。
誰かの手がこちらに向けられーー
「タケルくん、ごめんね。」
見えたのは銀色の髪。
おそらく最後になるだろう、自然に出てしまった言葉。
「お姉さん…」
もう誰かのことなど頭になくてーーー
「ーーー様!ーー人様!ご主人様!!!」
「…レイラ?」
目の前には目の端に涙を浮かべたレイラの顔。
「ご主人様〜…」
俺を呼び、泣き崩れてしまった。
その先には他のみんなもいる。
夢のことは気になるが、不安そうな顔でこちらを見ているみんなに話しかける。
「…おはよう、みんな。朝からどうかしたのか?」
「…」
「…」
「…」
「…大丈夫?」
返事を返してくれたのはスメノスだけだ。
そのスメノスも質問を返してきただけだ。
「?何がだ?」
「…涙。」
「え?」
頰に触れると確かに濡れている。
「あれ?…寝起きだからか?そんなことより、レイラ。いつまで泣いてるんだ?」
レイラは俺の布団に顔を埋めたまま嗚咽をこぼしている。
とりあえず頭を撫でる。
(やっぱりウルとは違うな。)
そもそも種族が違うので当然なのだが。
「…説明。」
「え?何をだ?」
「タケル、何か…夢とかみた?」
「え?あぁ…見た、ような?」
夢は確かに見た気がするが、肝心の内容は忘れてしまった。
「もしかしたらスメノスの時みたいに何かの神がくるのかもな。」
「…」
「…」
「…」
「…」
「だから、どうかしたのか?どうしたんだ、みんなして黙り込んで。」
「ご主人様は、凄く魘されてたのよ。声をかけても起きないし、ご主人様はベッドの上で転がりながら涙を流していて。」
ようやくルティが理由を説明してくれた。
「そう、だったのか?もしかしたら悪夢を見たのかもしれないな。ごめんな、寝相が悪くて。」
「そんなこと、どうでもいいのよ。」
ルティが何か呟いた。
「主様…」
ランまで心配そうな顔のままだ。
「ラン、大丈夫だぞ。たまたま夢見が悪かったみたいだな。」
「そう、なの?」
「いや、本当だぞ。夢の内容も覚えてないんだ。だから、気にする必要はない。」
「そんなこと!できるわけないじゃないですか!」
叫んだのはレイラだ。
布団から顔を離し、こちらを睨むかのように見ている。
「れ、レイラ?」
「ご主人様はずっと魘されていたんです。顔を歪めて、涙を流して、痛い痛いと繰り返していて…」
レイラの目から再び涙が流れる。
「それを見る、私達の身にもなってください。ご主人様が、苦しんでいるのに、何もできないんです。どれだけ助けたくても、私には起こすくらいしかできなくて。大声で呼びかけても、全然起きてくれなくて…」
レイラは言葉は涙で途切れ途切れになっていて、少し分かり辛かった。
だが、心配してくれていたことは十分に伝わってきた。
「その、心配かけてごめんな、レイラ。本当に大丈夫だから。」
他のみんなもこちらを見続けている。
少し居心地が悪い。
「だから、泣き止んでくれ。その、なんでもするから。」
「…本当、ですか?」
やっとレイラの返事が返ってきた。
「ああ、本当だ。」
「でしたら…」
レイラが再びこちらを見上げてくる。
「ご主人様のこと、教えてください。私だけでなく、みんなにです。」
「ああ。わかった。約束する。」
「全部ですよ。ご主人様が楽しかったことも、嬉しかったことも、悲しかったことも、苦しかったことも、全部、全部です。」
「…ああ。約束するよ。」
その言葉を聞いたからかレイラは涙を拭い、笑顔を浮かべた。
「ご主人様、朝食にしましょう。お腹、空いてますよね。」
「ああ。みんなも待たしてたか。ごめんな。」
みんなで朝食を食べていると、呼び鈴がなった。
なんとなく終わりに近づいているようにも感じますかね。
そんなつもりはありませんが。