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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
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第89話 従魔の輪

旧森人族領に着くと、ウルは他の帝狼達と共に駆け出す。

(たけるお兄ちゃん行ってくるね!)

(ああ。頼んだぞ!)

そう伝えた頃には既に木々に隠れ、見えなくなっていた。

(俺はどうするかな…別の場所に行くか?)

「因みにですが、他の冒険者からは従魔かどうかの区別はつきません。」

(つまり?)

「見つかれば容赦無く…」

(全員戻ってこい!!)


(どうしたの?)

(すまん。忘れてたことがあって。)

(べつに大丈夫だよ〜。)

(みんなも悪いな。)

他の帝狼からも気にするな、と返事が返ってくる。

(ヘルプ、冒険者ギルドへ行けばいいのか?)

「はい。冒険者ギルドで、従魔の輪(リング)を買い、従魔に装着してください。」

(わかった。)


家に転移し、ウル達と一旦別れる、再び転移し、冒険者ギルドに着く。

今日はミアもセレナもいるようだ。

「「あっ、タケルさん!」」

二人もこちらに気づいたらしく、同時に声をかけてくる。

短くはあるが列になっている。

(少ないのは…セレナの方。)

セレナの方の列に並ぶと、ミアの手が止まっていた。

セレナは先程よりも笑顔になっている気がする。

「ふへへ…私の方に…」

笑顔というよりにやけていた。

俺の順番が回ってくる。

「タケルさん、ありがとうございます。依頼の代金ですが…」

「従魔の輪を売ってくれ。」

「へ?…従魔の輪ですか?それは構いませんが…従魔はどこに?」

「家にいるんだが、連れてきた方がいいか?」

「はい。できれば連れてきてください。着け方をお教えしますので。」

「わかった。じゃあギルドの前で待っていてくれ。」

そう言い残し、家に転移する。



タケルさんが目の前から一瞬で消えた。

「《転移魔法》!?…まぁ、タケルさんですしね…」

あれほどの魔物を倒してきていますしね。

ミアの列もなくなったところで話しかける。

「ところでミア?タケルさん私の方に並んで…」

気分の良い私はミアの方を見て言葉に詰まった。

ミアの顔色が相当悪くなっている。

「ちょっと、大丈夫?顔色すごいわよ?」

「セレナ…なんてことを…」

「?」

「なんてことをしたの!?」

「へ?」

「今すぐギルド長に伝えてきて!早く!」

「な、なんなのよ…」



「それは本当か?」

そう言ったギルド長の顔色はミアと同様相当悪い。

「ど、どうかされたんですか?タケルさんが従魔を連れてくるだけですよ?」

「それが問題なんだろう…」

そう話していると、床が少し揺れた。

「地震ですか?まぁ、小さいですし…」

「「「きゃぁぁ!!」」」「「「うわぁぁぁ!」」」

外から悲鳴が聞こえてきた。

「何事ですか!!?」

窓から身を乗り出し、外を覗く。

目の前の光景を見て、私は…自身の迂闊な言動を後悔した。


(ごめん、皆!一旦作業を中断して、戻ってきてくれ!!)

そういうと、ランと婆さん下級竜達がこちらに飛んでくる。

(主様、どうかしたの?)

(ああ。皆に従魔の輪を着けなきゃいけないんだ。)

(ああ。そういえば…)

(そんなものもあったねぇ…昔、冒険者と一緒にいたスライムが着けてたよ…懐かしいねぇ…)

(それを着けに行かなきゃいけないんだ。中断させて悪かったな。)

ラン達がきた方を見ると、いくつかに山が分かれ、小さな川のようなものまで作られている。

(うんうん、大丈夫。でも、主様、早くいこうよ。私、山を作るの楽しい!)

(そうだな。急ごう。)

《拡大》と《転移魔法》を使う。


ギルド前に着くと、周りの人達が叫びだした。

うるさいが、従魔の輪が先だ。

「あれ?セレナがいないな。」

ちゃんと伝えた筈だったのだが。

ふと上を見ると、セレナが窓から身を乗り出し、金魚のように口をパクパクさせていた。

次回からも従魔契約は続きます。

できれば2、3話で終わらせたいところです。

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