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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
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第80話 変異種(1)

冒険者ギルドへ行くと、冒険者であろう人達で賑わっていた。

(今日はミアはいないみたいだな。まぁ、今まではミアだったが、別の人でも変わらないしな。)

列の最後尾に並び、順番を待つ。

依頼を受ける人が多かったらしく、そこまで待つことなく進めた。

「次の人、あっ、ミアの。」

(ミアのって何だ。)

「えっと…タケルさん、でしたよね?」

「ああ。そうだが?」

「私はセレナと申します。以後、よろしくお願いいたします。」

「?ああ。」

何によろしくすればいいかはわからないがとりあえず返事をしておく。

「今回は、依頼ですね。魔石を出していただけますか?」

「ああ。」

魔石を出すと、それほど驚かれることも無く奥へ持って行った。

(ミアの反応が過剰なのか、セレナの反応が薄いのか少し気になるな…)

「ねぇ、タケル?どのくらいになったかな?」

「そういえば、リリファは初めてか。」

「うん!ランクも上がっちゃうかも!」

(まぁ、間違いなく上がるか?いや、俺と一緒だとどうなるんだ?)

丁度、セレナが戻ってきた。

「確認が終わりました。寄生パラサイトスライムの魔石が21個、森熊ウッズベアーの魔石が67個なのですが…」

そう行ったところで言葉を区切り、口を耳に近づけてくる。

「申し訳ありませんが、ギルド長に会って頂きたいのですが、お時間はありますでしょうか?」

「どのくらいの時間かによるな。」

「あまり時間をかけることはしないと思いますが…」

(まぁ、何時間もかかるなら途中で帰るか。)

「じゃあ、先にスメノスの登録を頼めるか?」

「…タケルさん、リリファさんを登録したばかりですよね?どこから連れてくるのですか?」

「連れてくるって言いかたをするな。偶々だ。」

「…分かりました。」

スメノスの登録を済ませる。

問題なく登録できたようだ。

「では、こちらへ来てくださいますか。」

セレナに連れられ、扉の前に立つ。

「失礼します。」

セレナが扉をノックし、部屋へ入る。

部屋には、1人の女性が椅子に腰掛けていた。

「セレナか。そちらは?」

「森熊の変異種を倒された方です。」

「え?変異種?」

(やばい…絶対に面倒な展開だ。)

「セレナ、説明をしてないのか?」

「はい。ギルド長がお伝えすると考えていましたので。」

「そうか。」

そういうと、ギルド長は椅子から立ち上がり、こちらに歩いてくる。

俺の目の前で立ち止まると、目を差し出して来た。

「私はここのギルド長をしているシスティアという。よろしく頼む。」

「ああ。俺はタケルだ。いや、敬語の方がいいか?」

「別に構わん。私も堅苦しいのは嫌いだしな。正直に言えば、ギルド職員も敬語なんて必要ないのだがな…」

システィアがセレナを見ながら言った。

「立場が違いますから。敬語を使うのは当然です。」

「という風に頑なでな。他の職員も似たり寄ったりだ。」

システィアは苦笑いしている。

リリファは所作なさげに部屋の中を見渡している。

スメノスは何を考えているのか分からない。

話が逸れているので、こちらから話を戻す。

「それで、俺が呼ばれた理由は?」

「ああ。そうだったな。タケル、森熊の変異種は強かったか?」

システィアが妙に真剣な顔で言う。

「正直に答えた方がいいか?」

「できれば。だが、強制ではない。言いたくなければ言う必要はない。」

「まぁ、いい。正直、違いがわからなかった。というか、変異種がいたことも、さっきセレナが言ったことで知ったからな。」

「そうか。」

システィアはそう呟いたまま、俯き考え込んでしまった。

「えっと…セレナ?システィアは何を考えているんだ?」

「タケルさん達のランクの事です。変異種は通常種と見た目はそれほど変わらないのですが、ランクが1つ2つ上がるほど強かったりするため、犠牲者が後を絶ちません。寄って、変異種は基本的にAランク以上の扱いになります。」

「なぁ、Aランクって、指名依頼とか来るのか?」

「よくご存知ですね。確かにランクA以上となると指名依頼が来ることもあります。」

「それは、断ってもいいのか?」

(断ったら降格とかならいいがら除名とか、そもそも断れないとかよくあるからな。)

「そうですね。断るのは構わないのですが、指名依頼は基本的に報酬が高く設定されるため断る人も少ないので、相手方が気分を害されて、次の指名依頼が来なくなることがあるかもしれません。」

「そうか。」

(断っていいのはかなり恵まれてるな。)

「タケル、待たせて済まなかった。」

いつの間にかシスティアがこちらを向いていた。

「タケルのランクはBに。それから、そちらの…」

「あたしはリリファよ?」

「リリファはランクDとする。」

「タケル、一気に3つも上がったよ!」

リリファはかなり喜んでいるようだ。

「ギルド長、Aではなくて宜しいのですか?」

「それも考えたのだがな。」

システィアはこちらを見てくる。

「何だ?」

「面倒な事がが嫌いそうだと思ってな。まぁ、ここに呼ばれている時点で駄目な気もするが…」

そう言えばギルド内にいた奴らには見られていたな。

「まぁ、希望があれば、すぐに上げられるが?」

「いや、待ってくれるなら、リリファ達を待つものいいかもな。」

(このままならすぐに上がるだろうし。)

「ところで、タケル。森熊の変異種はギルドで買い取らせてくれるのか?」

「うーん…あっ、そう言えば。」

「どうかしたのか?」

「いや、こっちの話だ。済まないが変異種を売ることはできない。」

「…そうか。珍しい物だから、多少色はつけるぞ?」

「いや、済まないな。他のものは肉以外は売るよ。」

「そうか。それならばこちらとしても助かる。」

「ここに出していいか?」

「ああ。構わない。」

「え?ギルド長、ちょっと!」

森熊の肉以外を取り出した。

「おお!ここまでか…」

「あー、タケルさん、すみません。今日中に確認いたしますので、時間を空けてから来ていただけますか?」

「ああ。仕方ないな。」

「さぁ、ギルド長。運んでください。」

「え?いや、それは…」

「ギルド長が出していいと言ったんですからお願いします。では、タケルさん、また後ほど。」

セレナは受付まで俺たちと共に戻り、見送ってくれた。

(ギルド長1人でやらせるのか…それにしても、これからどうするか…)

今日することが済んでしまったので、午後から何をすべきかを考える。

「まぁ、とりあえず戻るか。昼食食べてからだな。」

「…たける、次からは、私も、手伝う。」

「あたしも!たくさん倒して、お金を稼ぐわ!」

「ああ。そうだな。」

「次はどんな依頼にするの?」

「そうだな…スメノスはどうしたい?」

「…大丈夫。頑張る。」

「じゃあ、3人でランクBの依頼を受けてみるか。」

「…うん。」

「頑張ろー!」

次の依頼の話で盛り上がりながら、家へと転移した。

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