第8話 冒険者登録
冒険者ギルドの中は、酔っ払っている者が多く、とても騒がしかった。
俺達はそれを無視して受付に向かう。
受付には女性しかいないようだ。
(危なくはないんだろうか?)
そう思いつつも口には出さず、入口から一番近い中央の受付へむかった。
茶色の短髪の少し幼く見える女性だ。
「冒険者登録をしたいんだが…」
「登録ですね。この紙にお名前を書いていただきます。代筆は必要でしょうか?」
「あぁ、頼む。」
「かしこまりました。お二方でよろしいでしょうか?」
「あぁ。」
「では、お名前を書かせていただきますが、その前にこの用紙の説明をさせていただきます。これは魔法具の一種で、名前を書くことでその名前の方を冒険者として登録することができます。そのため偽名などを用いることはできません。また、登録が完了すると、ステータスに書き加えられます。よろしいでしょうか?」
「ああ、問題ないよな?」
「うん。それで大丈夫だよ。」
「それでは次に制約についてです。制約は2つです。1つ目は冒険者同士の私闘についてはギルドは一切関与いたしません。ですが、私闘の場がギルド内やその他店舗であったり、無関係の国民を巻き込んだりした場合には、相応の罰を受けていただきます。2つ目は依頼とランクについてです。ランクはG、F、E、D、C、B、A、S、SSの9段階です。依頼も難易度によってランクと同じように9段階で分けられています。ですが、ランクが低いからといってランクの高い依頼を受けられない訳ではありません。目安としてお考え下さい。また、ランクは依頼を長期間受けなかったり、連続で同ランク以下の依頼を失敗したりすると、下がることがあります。Gから下はないため、それ以下に下がることはありません。問題ありませんか?」
「あぁ。」「うん。」
「では、お二方のお名前を教えて下さいますか?」
「俺はミネギシ タケルだ。」
「私はフェルミーナ。」
受付の女性がそれを聞き、紙に書き込んでいく。
「…はい。書き終わりました。では、こちらの紙をステータスに重なるようにおいてください。」
俺とフェルは受付の女性の指示通り、ステータスに重ねるように置く。
すると、ステータスに飲み込まれていくかのように消えた。
紙も残らないようだ。
俺はステータスを確認する。
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ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:2(経験値 あと10でレベルアップ)
獲得経験値:5
体力:15/15
魔力:200/200
物理攻撃:30
物理防御:50
魔力攻撃:80
魔力防御:160
魔法適正:ーーー
ユニークスキル:創造
称号:ーーー
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ステータスには職業の欄が増え、冒険者となっていた。
「ご確認はお済みになりましたか?」
「あぁ、確認した。」
「それでは、これで登録は終了です。お困りのことなどがありましたら、お声をおかけください。」
「あぁ、早速なんだが、スライムの魔石を売りたい。」
「数はいくつでしょうか?」
「5つだ。」
「1つにつき銅貨5枚となっていますので、5つで銀貨2枚と銅貨5枚になります。」
受付の女性から代金を受け取る。
「ここら辺で安い宿はどこだ?」
「料金の低い宿なら、おすすめはここを出て右にでて真っ直ぐいったところに『泊まり木』という宿があります。料金は一部屋銀貨1枚。食事は朝と夜の2回で、1人銅貨5枚となっています。個人的なおすすめですが。」
「いや、十分だ。ありがとう。」
「いえいえ。要件はこれで終わりでしょうか?」
「あぁ。」
「またのお越しをお待ちしています。」
「じゃあ、フェル。宿へ向かうぞ。」
言いながらマップで探す。
「うん。もう疲れちゃったよ。」
「結構歩いたからな。」
「また、魔物を倒さないとお金がなくなっちゃうね。」
「そうだな。今日は疲れたから、魔物を倒すのは明日にしよう。」
「そうだね。わたしも今日はもう休みたい。」
そんなことを話しながら宿へむかった。
1話が短いこともあり、なかなか物語は進みませんが楽しんでくださると幸いです。