第78話 死神(3)
落ち着かせた後、全員がソファに座り、スメノスと対面していた。
「それで、ご主人様?えっと…死神、様?がなんで訪ねて来たんですか?」
「加護を祝福に変えてくれるらしい。」
「「「祝福!?」」」
「えっ…どうしたんだ?」
レイラ達が物凄く驚いていた。
「タケル、それは本当?」
「ああ。そうだけど…そんなに驚くことか?」
「当然だよ。祝福を貰ってる人って少ないし。」
「ご主人様は知らなくても仕方がないかもしれないけど、祝福を貰っている人は本当に少なくて、どこの国でも重宝されるらしいわ。」
「そうなのか?まぁ、重宝はともかく、それだけ凄いって事だな。なら、貰っておいて損はないな。」
「…タケルはちょっと変だね…」
リリファに苦笑いをされる。
向くと、レイラとルティも同様だった。
「ご主人様はどんどん凄くなっていきますね…私も頑張らなきゃ…」
レイラは何にかはわからないが気合を入れ直しているようだった。
「ご主人様は何処かに行くの?」
「ん?ルティ、どういう事だ?」
「そのままの意味よ?祝福を受けてる人は騎士になって、国に仕える人がほとんどよ?」
「うーん…騎士ね…それはいいかな。面倒そうだし。」
「…そう。」
ルティは喜んでいるように見えた。
それで話は済むはずだったのだが…
「たける、私も、ここに住む。」
「は?」
「駄目?」
「駄目というか…信用できるかというか…初対面だしな。」
「信用は、これから。お試し。」
「というかなんのために?」
「…面白そう。」
「自分勝手か…」
「…こんなでも、神。」
「…なるほど。まぁ、魔力の登録は解除もできるしな…そういえば、スメノスはこの家で転移魔法は使えるか?」
「…私には、無理。他は、知らない。」
「神にも通用するんだな…まぁ、いいか。じゃあ、登録しに行くか。」
スメノスを連れ、転移部屋へ向かおうとすると、レイラが肩を叩いて来た。
「ん?どうかしたか?」
「ところで、何故、死神様とキスをされていたんですか?」
一瞬答えに詰まる。
「…スメノスで、いい。」
レイラの呼び方に反応してスメノスが応える。
「…何故スメノス様はキスをされていたんですか?」
俺への質問がいつの間にかスメノスへの質問へなっていた。
「…祝福に、するため。」
「祝福を与えるのにはキスをされるんですか?」
(あれ?なんかレイラが怒ってる?)
「…体に、触れるだけ。」
「じゃあ、何故キスをされたんですか?」
「…なんと、なく?」
「スメノス、早く来い。」
「へ?ご主人様!?待ってください!」
レイラの怒りが高まってきているように見えたので、スメノスの手を引き、扉を閉めるとレイラは追ってこなかった。
(なんだったんだ…)
珍しくレイラが怒っているように見えた。
「…やっぱり、たけるは、面白い。」
「何処がだ?」
「そういう、ところ。」
スメノスはやはり神で、人とは感性が違うらしい。
「…そういう、事じゃない。」
「は?どういう事だ?」
「…。登録、しよ。」
「ああ。」
スメノスは分かってはいたが…かなりマイペースらしい。