第77話 死神(2)
突然の事に驚き、固まってしまう。
「は?…えっ?」
「…たける、誰か来たよ。」
スメノスが指差す方を見ると、扉を開けたままレイラが固まっていた。
「…ご主人様?…えっ…ど、どちら様ですか?」
レイラが慌てながら、しかし静かに扉を閉めつつ尋ねてくる。
「…」
(レイラの取り乱しようを見たからか、大分落ち着いて来た。)
「スメノスだ。神様らしい。」
「神様!?えっと…冗談ですよね?」
レイラが戸惑いつつ俺を見ているので、黙って視線をスメノスに向ける。
俺の視線につられ、レイラもスメノスを見る。
「…うん。死神。」
戸惑っていたレイラがスメノスの答えを聞いた瞬間に俺の目の前に移動した。
スメノスとはテーブルを挟んだ側だ。
「レイラ?どうしたんだ?」
俺の問いにも振り向かずスメノスを見たままだ。
よく見ると、手足が震えている。
スメノスもレイラを見て不思議そうに首を傾げている。
「ご、ご主人様を、殺さないで、ください。」
「「え?」」
俺とスメノスの声が重なる。
「私は、どうなってもいいですから…ご主人様だけは…」
レイラは徐々に涙声になり、床に涙を落としていた。
「えっと…」
どう説明しようかと迷っていると、またも声が聞こえて来た。
「レイラー、ご主人様はいたー?」
ルティの声がしたのと同時に扉が開けられる。
ルティとリリファも探していたらしい。
「あっ、やっぱりいたのね。もう、いたならすぐに…レイラ?」
そこでルティ達はレイラが泣いている事に気付いたようだ。
「えっ、なんで泣いてるの?」
「タケル、何したの?」
ルティはレイラを宥めようとする。
リリファは俺を疑っているようだが。
「っ!来ちゃ駄目!」
レイラがルティを突き飛ばした。
「っ…ちょっと、レイラ何して…」
ルティが突き飛ばされ、ぶつかった場所をさすりつつ、尋ねる。
すると、レイラ勢いよくスメノスを指差す。
「この人は死神なの!ご主人様を殺しに来たのよ!」
それを聞き、ルティとリリファもスメノスに鋭い視線を向ける。
誤解が更に誤解がを呼んでいるようだ。
結局、興奮した3人を落ち着かせるのに数分を要した。