第7話 レビルム公国へ
短いです。基本的にこのくらいの長さになるかもしれません。
最後尾に並んだタケルは前に並んでいる人達の様子を観察していた。
(普通の人は少ないな…猫や犬のような耳があるのは獣人でいいのか?羽があるやつやツノがあるやつもいるな…)
現実ではありえない光景に驚いていると、フェルが顔を覗き込んできた。
「どうかしたの?」
「いや、少し珍しくてな。」
「珍しい?…獣人族とか?」
「ああ。俺のいた世界には俺みたいな普通の人しかいなかったからな。エルフや獣人なんて想像上の生き物だった。」
「そうなんだ。珍しい…かはわからないか。私のいた世界はこの世界と同じでエルフ以外にも色々な種族がいたけど。」
「じゃあそんなに珍しくはないのか。あと少しで俺たちの番だな。前の人達のをしっかり見た方がいいかもな。フェルのいた世界とは違ってるかもしれない。」
「そうだね、わかった。」
(ステータスの表示は名だけにしてるから問題ないが、あの水晶はなんだ?)
「《鑑定》のスキルの一部を宿らせた魔法具です。犯罪の有無以外は表示されません。」
(なるほど。)
「ーーーーー」
「ん?」
(何か言ってるが、全然わからないぞ…)
「言語理解をONにしました。」
(あぁ、そういうことか。そういえばフェルの言語共有で話せてたんだっけ…)
俺とフェルは魔法具の隣に立っている兵士にステータスを見せる。
「確認した。それに手を置いてくれ。」
兵士の言葉が理解できる。
(大丈夫そうだな。)
「わかった。」
この世界の言語でこちらから話すことができるのか心配だったが、大丈夫なようだ。
俺、フェルの順に手を置いていく。
「よし。犯罪歴はないな。通っていいぞ。レビルム公国へようこそ。」
(レビルム公国って名前なのか。)
俺とフェルは門をくぐり街の中へ入った。
それと同時に俺は安堵の溜息をつく。
「どうしたの?溜息なんかついて?」
「いや、並んでた時に思い出したんだが、召喚の時にもらった腕輪をそのまま持ってきてたから、盗んだことになるのかもしれないと思ってな。杞憂で終わってよかったよ。」
「へ?…そういうことはもっと早く気付こうよ!」
フェルは頰を軽く膨らませながら言ってくる。
(怒ってるのか?かわいいな。)
「まぁ、大丈夫だったんだから気にするなよ。」
「そうだけど、そうだけどね!…はぁ。次からは気をつけてよ。」
呆れられているようだ。
「あぁ、気をつけるよ。」
即座に返答すると変な目をされた。
そこまで信用ならないか…
「とりあえず、魔石を売りにいこう?」
「そうだな。」
(魔石はどこで売れるんだ?)
「基本的にはギルドです。懇意にしている鍛冶屋などがいれば、そこで買い取ってもらいます。」
(ギルドか…冒険者ギルドか?)
「はい。他にも商人ギルドがあります。」
(冒険者のと商人ギルドの違いってなんだ?)
「冒険者ギルドでは、冒険者として登録すると依頼を受けることができます。登録の際の料金はありません。商人ギルドでは商人として各地で商売を行う許可書を銀貨1枚で受け取ることができます。」
(銀貨1枚って俺のいた世界だとどのくらいの価値になるんだ?)
「千円ほどです。他の硬貨は石貨が一円、鉄貨が十円、銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が一万円、紋貨が十万円、光貨が百万円となっています。」
(許可書が千円って安くないか?)
「安くしなければ店を出さずに冒険者ギルドなどに全てを売ってしまってバランスが崩れますからね。」
(なるほどな。それで、冒険者ギルドと商人ギルドのどっちの方が魔石を高く買い取ってくれるんだ?)
「スライムの魔石でしたら冒険者ギルドです。冒険者ギルドでは、魔石や魔物の一部の値段はその魔物の強さによってかわります。商人ギルドでは弱い魔物の魔石は買い取ってくれません。その分、珍しい魔物の一部や魔石、また、冒険道具などに使用するものは冒険者ギルドより高く買い取ってくれます。」
(金が溜まったら買うと便利かもな。じゃあ、冒険者ギルドはどこだ?)
「マップに拡大・縮小機能を追加し、店名を表示しました。冒険者ギルドは約70メートルほどにある交差点を右折し、約50メートルほど直進した右側にあります。」
「フェル、冒険者ギルドへ行って魔石を売るぞ。」
「わかった。場所はわかるの?」
「あぁ、大丈夫だ。ついてきてくれ。」
そして俺達は冒険者ギルドへ向かった。
どういう話にしていくか考えながら書いています。
誤字・脱字などがあるかと思いますが楽しんでいただけると幸いです。