第66話 洗濯
サブタイトルが…
夕食を食べ終え、椅子からソファに移動する。
「私はお皿を洗ってきますね。」
レイラはそう言うと台所へ食器を持っていった。
「ご主人様、洗濯のこと話すのよね?」
「ああ、そうだけど、少し待ってくれるか。」
ルティにそう告げ、ソファに寝転がっているリリファと妖精族の子達の方に向き直る。
「リリファ、ちょっといいか?」
「ん?真面目な話?」
リリファはそう聞きつつ、ソファに座りなおす。
妖精族の子達は俺の方へ飛んできて、頭などに座っている。
「ああ。これから言うことは他言無用だ。」
そう前置きをしてから事情を話し始めた。
「へぇ…つまり…タケルはとってもずるいってことね。」
「待て。ちゃんと話聞いてたか?」
「聞いてたわよ。違う世界からきて、持ってたユニークスキルがもの凄かったってことでしょ。」
「まぁ、簡単に言うとそうだな。」
「よかった…もし、初めて会ったときタケルに魔法を撃ってたら…」
「間違いなく反撃するよな。」
「勘弁してよ?間違いなく消滅するからね。」
「…」
「無言はやめて!?ほんと…お願い…」
何故かリリファは涙目になっている。
(からかい過ぎたか…)
「大丈夫だ。もうリリファたちに攻撃したりしない。たぶん。」
「たぶん…」
涙目のまま変わらないので、話題を変えることにした。
「それより、畑はどうする?種とか必要だろ?」
「…えっと…農家の人から直接買ったり、お店であったりもしてるわよ。」
「明日はリリファを連れていけばいいか。」
「ええ。…もしかして農業系のスキルとかあったりする?」
「いや、ないな。あったほうがいいか?」
「あたしがいるから問題はないけど…みんなでやったほうが楽しいと言うか、なんと言うか…」
言葉尻が小さくなっていた。
「…気が向いたらな。」
妖精族の子達が話は終わったと感じたのか、リリファの新芽色の髪の上へ移る。
「ご主人様、話は終わったのね?じゃあ、洗濯の話をするわよ。」
「ああ。ついてきてくれ。」
ルティを連れて脱衣所に行く、
脱衣所の端には籠の外見をした洗濯機が置いてある。
「この中に洗濯物を入れれば洗濯できるから。それで…」
次は4階に移動する。
4階もいくつかの部屋に分かれている。
転移部屋のすぐ隣の部屋に入る。
「この部屋に洗濯し終えたものがくるから、ここで畳んでくれるか?」
「あの…ご主人様?ここじゃなきゃいけないの?」
「いや、別にここじゃなくてもいいけど、近いほうが楽だろ?」
「確かに楽だけど、さみしいわ。」
「あー、まぁ、そうだな。じゃあ、場所を変えて、2階につくるか?」
「できればお願いするわ。」
「わかった。やっておくな。じゃあ、畳み方だけど…」
「ねぇ、ご主人様?そもそもなんで洗濯機を作ったの?生活魔法でいいじゃない。」
「そうだけど、魔力がもったいないだろ?」
「大した量じゃないわよ?」
「まぁ、いざって時があるかもしれないからな。それに、少しでも魔力は使わないほうがいいだろ。」
「もちろん便利だし、不満なんてさらさらないけど…ご主人様が大変だし…」
「俺は気にしなくていいぞ。魔力ならかなりあるしな。」
「沢山あるからって全てご主人様に頼るのは違うわ。私にも、私にしかできないことがあったら、絶対に教えて。絶対によ。」
「わかったよ。」
「ご主人様はこの後どうするの?」
「えーっと、洗濯物の件は明日やるとして…そういえば、各自の部屋はどこの部屋を使うかは決まったか?」
「ええ。リリファは転移部屋の反対側にするって言ってたわ。遠慮も少しあるんじゃないかしら。」
「そうだな。まぁ、部屋はいくつも空いてるからな。今後変わっても問題ない。ルティとレイラは?」
「私たちはご主人様と同じ部屋よ。」
「…部屋は沢山あるぞ。」
そんなに人数はいないのにヘルプの提案で沢山作ったからな。
「駄目かしら?」
「駄目ってことはないけど…個人の荷物はどうするんだ?」
「奴隷の物はご主人様のものよ。」
「…自分のものは自分のものだと思うぞ。」
「まぁまぁ、それほど嫌じゃないのよ。私もレイラも。」
「…なら、いいか。」
「私はやっぱりご主人様が笑ってるほうが好きね…」
ルティが苦笑いしながら言う。
「じゃあ、私はレイラに洗濯物の畳み方を教えてもらってくるわ。」
そう言って、転移部屋へ行ってしまった。
「…もう一回風呂でも入るか。」
風呂上がりでもないのに顔が熱を持っていることを自覚した。
今更ですが、ラ行の名前になっていることに気づきました。
全く意識してなかったんですが…
『ラ』と『ロ』ですか。
また出てくるかもしれません。