第65話 夕食
風呂から出て、風呂に入る前に考えていたことを実行する。
(洗濯機と繋がるんだよな…いや、そもそも形が見えなければいいんだから籠の形の洗濯機を作ればいいんじゃ…あー、そうしても結局取り出す時に脱衣所まで来なきゃいけないのか…)
最終的には最初の案に落ち着く。
(《創造》。…できたか。後で説明しなきゃな。)
脱衣所から転移部屋に入る。
「2階へ。」
「あっ、ご主人様、出たんですね。」
こちらに気づいたレイラは、手元で野菜を切りながら話しかけてくる。
(あんなレベルだったのか。あれを俺がやったら確実に指を切るな…)
包丁とまな板のぶつかる音がしている横で、リリファは調味料を鍋に入れ、その都度味を確かめている。
妖精族の他の子達もリリファと共に味見をしている。
(まぁ、ちゃんと役割分担をできてるならいいか…問題は…)
ソファの上にいるルティと目が合う。
申し訳無さそうにソファの上で小さくなっている。
「えっと…ルティ?そんなに申し訳無さそうにしなくていいんだぞ?」
「…」
「ほら、俺だって大したことできないし。」
「ご主人様はご主人様だからいいのよ。でも私は…」
更にルティが小さくなったように見える。
(なんて言うのがいいんだ…?)
「…あっ!」
「どうかしたの?」
「ルティ、洗濯をお願いできるか?」
「…私、洗濯なんてできないわ…」
「いや、洗濯したものを畳むんだ。だから、畳み方さえ覚えればいいんだ。」
「私はそんなこともできないのね…」
(ルティが弱気になってるな…)
「えっと…大丈夫だ!俺も綺麗に畳めるかって言われたら自信はないからな。俺とルティの2人で頑張ろう!」
「っ…2人…」
(さっきまで泣きそうだったのに少しにやけているような…)
「ええ。『2人で』、頑張るわ!」
「…ああ。」
(何故2人を強調して言った…レイラは聞き耳立ててるし…)
「俺は自分のものとみんなの服だな。ルティには下着類とかをお願いするな。」
「そうね…ご主人様に見られるのは恥ずかしいものね。」
納得してくれたようで何よりだ。
「ご主人様、夕食ができました。」
レイラが料理を運んできた。
「じゃあ、ルティ、この話の続きは夕食を食べてからにするか。」
「ええ!頑張るわ!」
ルティがやる気を見せている横でレイラは目を細めている。
「…仲がいいですね。…ずるいです…」
「…あー、レイラは畳み方を教えてもらっていいか?」
「っ、はい!任せてください!」
「まぁ、とりあえずこれを食べてからだな。」
「はい。」
「「「いただきます」」」
リリファ以外は食べ始めた。
「?なにそれ?」
「あー…そう言うものだ。」
「へぇ、人族にこんな文化があるなんて初めて知った。」
スプーンで野菜のスープを掬い、少し冷ましてから飲む。
「凄いな…すごく美味しい。」
「そう言ってもらえると嬉しいです。」
「いくらでも言うよ。」
「ちょっと、あたしは?あたしだって頑張ったよ?」
「…リリファも頑張ったな。」
「扱い…」
リリファは拗ねたように椅子の上で足を抱える。
「すぐ拗ねるなよ…」
それを見てルティとレイラは笑っている。
この家で初めての夕食の時間は賑やかなまま過ぎていった。
今更ながらルティの口調が安定しません。
他もですが。