第64話 買い物
家にすむことになるため、食材はまとめて買おうとも思ったのだが、何をたくさん買えばいいかもわからないので、今日の夕食と明日の昼食に使えるであろうものを買っていく。
「野菜も買ったし、肉はあるし、あとは調味料とかか?」
今更ながらにレイラを連れてこなかったことを後悔し、呼びに戻ろうかとも思ったが、入浴中だった時に急かすことになってしまいかねないので、1人で買い物を続ける。
調味料が並んでいる屋台を見つけ、商品をみていく。
野菜は見たことのある無難なものを買ったのだが、調味料は似たようなものも多く、どれを買うのか良いのか判断ができない。
(えーっと…とりあえず塩は必要だよな?あと…小麦粉も置いてあるな。小麦粉は調味料なのか?まぁ、多分使うだろ。あと、胡椒もだな…。これは…初めて見るな。必要なのか?…あー…面倒だな。)
「ここの商品を一通りくれ。」
「はい!?」
買い物を終え、家に戻る。
「ただいま。」
「おかえりなさい、ご主人様。ごめんなさい。買い物を任せてしまって。」
「買い物自体は大丈夫だ。でも、必要な調味料がわからなくてな。なんとなくで買ってきたけど大丈夫か?」
「お肉は持ってましたよね?野菜は買ってきてくれましたか?」
「ああ。そっちもなんとなくだけどな。」
「なら、大丈夫です。いざという時は野菜の旨味で我慢してもらいます。」
「そうか?なら良かった。楽しみにしてるぞ。」
そう言いながら買ったものを渡す。
「はい!腕によりをかけてーー」
言葉の途中でレイラが固まる。
「…あの、ご主人様?」
「ん?…どうかしたか?」
何故だかレイラが起こっているようなーー
「何種類買ってきてるんですか!?」
レイラは調味料をみて叫ぶ。
レイラの大声を久しぶりに聞いた気がする。
「いや、だからなんとなくで…」
「だからって!普通こんなに買ってきません!」
レイラの前には100種類ほどの調味料が並んでいる。
「いやー、なんか他の屋台と比べて大きいとは思ったんだけど、買い忘れたら困ると思ったから…」
「もしかしてその屋台の商品、全種類買ってきたんですか!?」
「まぁ…そうだな。」
誤魔化そうかとも思ったが、あまり意味がないのでやめておく。
「…いえ、奴隷の私がとやかく言っていいものじゃないとはわかっているんですけど、失礼を承知で言わせてください。」
「…ああ。というか、奴隷だから、とかも気にしないでくれ。俺は、レイラ達のことを対等な仲間だと思っているから。」
「そうですか。とても嬉しいです。では、失礼して…今後、買い物に言ってくれる時は、絶対に誰かを連れて言ってください!絶対ですよ!」
「あ、ああ。」
レイラの迫力に押され、思わず返事をしてしまった。
(まぁ、食材によっては、料理が大変になるってことだもんな。今回は俺が悪いな。)
「すまん。何か足りないものがあるなら買ってくるぞ?」
「ないです。あるわけないです。今度からは私も連れて言ってください。」
「わかった。」
そう言って、レイラは夕食作りに取り掛かった。
「今は誰も風呂に入ってないか?」
「はい。2人ももう出ています。」
「わかった。俺も入ってくるから、何か用があったら呼んでくれ。」
(特にリリファなんて今日あったばかりなんだから、覗いたりしたら関係が最悪から始まりになるからな…)
今は関係が変わりかねない出来事はできるだけ回避したい。
(面倒ごとが片付いたら別なんだろうけどな。)
そんなことを考えながら、 3階へ上がる。
転移部屋を出ると、そこには家にしては大きめの脱衣所がある。
一応、他の人の脱いだ服がないかを確認する。
ないことを確認し、服を脱ぐ。
(そういえば、洗濯機も必要だな。でも、脱衣所に置くのもどうかと思うし…でも、脱衣所にあったほうが便利ではあるよな…)
「脱衣所と洗濯機を繋ぐのが良いかと。」
(なるほど。ヘルプの言う通りだな。後で手伝ってくれるか?1人だと、繋げるとか難しいと思うから。)
「了解しました。」
ヘルプと会話しつつ、久しぶりとなる風呂を楽しんだ。