第58話 掃除機
いつもより少し早い時間に目を覚まし、左右を確認する。
「よし。2人とも寝てるな。」
いつもより早めに起きたのは、昨日後回しにした家具などを作るためだ。
(それじゃ、作っていくか。ヘルプ、頼むぞ。)
「はい。お任せください。」
(よし。これでとりあえず、全部だな。)
昨日考えてもらったもののなかで、作れるものは作り、空間魔法でしまっておく。
(それで後は掃除道具か。掃除機があれば楽だよな。人がいない間も掃除できるロボット掃除機のほうが楽かもしれないが…)
「珍しさで盗まれるか壊されるでしょう。」
(だよな。まぁ、家に入ってくるやつはそうそういないか?)
「そうですね。ですが、一部の人は呼び鈴を知らないため、鳴らさず入ってくる可能性もあります。」
(迷惑すぎる…)
「仕方がありませんよ。ここはそういう世界ですから。」
(まぁ、そう言われると納得するしかないんだが…それよりも、まず、掃除機が作れるかってところだよな。)
掃除機は、調理器具などとは違い、電気などで動く。
そのため、通常の掃除機を作っても使うことはできない。
(電気の代わりになるものか…テンプレ的に魔石か?)
電気の代わりに魔石を使うという描写は珍しくない。
(でも、もったいないよな…かといって魔力を使うわけにも…)
いざという時に魔力がないでは話にならない。
もっとも、そうならないよう、事前に備えはしておくつもりではあるが。
「あなたが貯めておけばいいのでは?」
(いや、それじゃ、俺の魔力が尽きて終わりだろ。)
「…そもそも、あなたの魔力を全て用いらなければ使用できないような掃除機はあなたしか使えませんよ。」
(…まて、言ってることはわかったけど、1つ言いたいことがあるんだが。)
「何でしょう?」
(俺の魔力を全て使わないと使えない掃除機は俺しか使えないってことは俺が1番魔力が高いと?)
「今更何を。当然です。」
(まぁ、薄々感づいてたけどな。)
魔物や人のステータスを見た時点でそんな気はしていた。
「そんなことより、私が言いたいのは必要な魔力を少なくすれば良いということです。」
(そうはいうけどな…)
「私もサポートしますので。」
ヘルプがそういうと、頭の中にイメージが流れ込んでくる。
(《創造》)
「はい。完成です。」
(すまん。少し待ってくれるか?)
「?何でしょう?」
(掃除機の中に風属性の魔石がなかったか?)
「ありましたよ。吸引力として使えるので。」
(いや、魔石も作れたのか?)
「作れないわけがないではありませんか。」
いや、当然みたいにいうなよ。
(いや、魔石作れるならそれで生活できるよな?)
「そうですね。」
(魔物を狩る必要もないんじゃ…)
「そうですけど、つまらないですよ?」
(確かにな。)
せっかく強いスキルなどがあるんだから引きこもる必要はない。
「では、これで終わりですね。ほら、お二人が目を覚ましそうですよ。」
(ああ。ありがとな。)
2人は目をこすったりして起き上がろうとしている。
「おはよう。2人とも。」