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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
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第55話 家(1)

冒険者ギルドを出た俺達は、家の建設費などを知るために、『コトルス建設屋』という店に来た。

この店は小人族が数人集まって経営している。

小人族は分かりやすく言うとドワーフのことだ。

背が低く、鍛治や建築などを得意としているらしい。

力も強いのだが、背が低いのも関係してか、足が遅く、魔物を狩るのは難しいため、ドワーフのほとんどが鍛治や建築などを仕事にしているらしい。

店に入ると、さっそくドワーフが出迎えてくれた。

「ん?客か?」

「とりあえず金額を確認しに来ただけだ。」

「そうか。久しぶりの客だからな。歓迎するぜ。」

「久しぶりなのか?」

「ああ。この国に移住してくるやつは少ないからな。」

「ふーん。まぁ、いいか。で、家を建てるとしたらどのくらいの値段になる?」

「そう言われてもな。金額を提示してくれれば人件費を引いた金額以外を建築材料に使う。だから、使っていい金額を提示してくれ。」

「どのくらいの金額で、どのくらいの家が建つかわからないからな。以前に建てたときの設計図と代金はわかるか?」

「ああ。少し待ってくれ。」

そう言うと、受付の下から数枚の紙を取り出した。

「これが最近建てたやつだな。もっと持ってくるか?」

「いや。いい。」

出しただけでも数十枚はある。

3人で手分けをして見ていく。

紋貨4枚、紋貨3枚と金貨1枚、紋貨6枚、紋貨8枚・・・

(最低が紋貨2枚と金貨8枚で、最高が紋貨9枚と金貨5枚か。もっと昔のも見れば変わってくるのかもしれないが…)

「あなた、お金はまた稼ぐのでしょうし、使ってみるのも手だとは思いますよ。まぁ、あなたの場合、土地さえ買えば、自分で建てられますけどね。」

ヘルプから気になる言葉を言われた。

(え?)

「当然です。《創造》で作るだけで終わります。」

(いや、それはさすがに無理だろ。外観はともかく、内部なんて想像できないぞ?)

「私が手伝います。土地を先に買って試し、駄目な場合に再び来ればいいのではないでしょうか?」

(まぁ、それなら…でも、勝手に家を建てて大丈夫なのか?皆自分で建て始めるんじゃないか?)

「自身の土地なら何をしても構いません。もちろん限度を越えれば、隣人トラブルはあるでしょうが。あと、普通の人は自分で家を建てることはできません。」

(まぁ、そうか。じゃあ、取り敢えず土地を買えばいいんだよな?)

「はい。出し惜しみはやめたほうが良いかと。」

(わかった。)

ヘルプとの会話を終え、店員に向き直る。

「取り敢えず、先に土地を買いたいんだが。」

「土地だけか?はぁ。まぁ、たまに居るが、家を建てる土地を買うなんて人は初めてだ。」

「まぁ、そうか。」

「まぁ、問題はない。土地代は、当然、広さによるが、大体紋貨4枚と言ったところだな。」

「そうか。じゃあ、光貨2枚で。」

「は?」

「いや、だから、光貨2枚分土地をくれ。」

「え?いやいや、流石に多いだろ?この国の王の宮殿と同じくらいだぞ?」

「駄目なのか?」

「駄目ってことはないが…その広さだとこの国の端になるぞ?」

「まぁ、広いならしょうがないな。」

「…本当に買うのか?建築材料の費用もあるんだぞ?」

「ああ。構わない。」

「そこまで言うなら、了解した。少し待ってろ。」

国から土地を買うため、手続きがあるらしいのだが、建設関連の店の店員にしかできないらしい。

「待たせたな。代金を出してくれ。」

「ああ。」

テーブルに光貨を2枚出す。

「確かに受け取った。じゃあ、これを受け取れ。」

そう言って、紙を渡される。

「あんたは冒険者だろ?なら、登録の時にやったのと同じだ。」

「わかった。ここでやる必要はあるのか?」

「いや。どこでやってくれてもいい。だが、早めにすることを勧める。金に困った奴らが、奪ったりするかもしれないし、なくすかもしれないからな。」

「肝に命じておく。じやあな。」

「ああ。」

店を出て、一息つく。

「よし、じゃあ、帰るか。

すると、レイラが慌てて話しかけてくる。

「いや、あの、ご主人様?いいんですか?」

「ん?何がだ?」

「何がだって…土地にそんなに使って、家はどうするんですか!?」

「あー、それは後で説明するな。」

「絶対ですからね!私、土地だけ買うって言った時に声を上げるの必死に我慢したんですから…」

「ああ。すまん。ん?ルティは普通だな。」

レイラが慌てた様子なのに対し、ルティは普段と変わらないように見える。

「まぁ、ご主人様にも何か考えがあるんでしょ?なら、大丈夫よね。」

「なんだ、その謎の信頼。まぁ、考えていることはあるけど。」

(正確にはヘルプの考えだけどな。)

「じゃあ、取り敢えず帰ろう。」

今度こそ、二人と共に宿へ帰った。

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