第53話 森人形
ヘルプの指示通りに進むと、森人形を発見した。
2メートルほどはあるだろう。
体は木でできていて、体のあちこちに苔があったり、新芽が生えてきている。
(森人形って元々木なのか?)
「はい。森人形は他の魔物の血液や排出物が低木に着くことで発生します。」
(なら、人が今存在している森人形を全て狩って、魔物を狩らなくなったら、森人形は生まれないのか?)
「魔物同士でも殺しますから、生まれなくなることはないのではないでしょうか?」
(そうか。つい気になっただけだから気にしないでくれ。)
ヘルプとの会話を終了し、二人へ向き直る。
「ルティは大丈夫だとして、レイラは難しいか?」
「おそらく難しいです。多分血液とかないですから、毒が回らないと思います。」
「だよな。じゃあ、核を取り出してくれるか?」
「はい。わかりました。」
「ねえ、ご主人様?」
「ん?ルティどうした?」
「あれって斬ったら刃こぼれしない?」
「…あー、多分するな。」
シャゲアペルが加護で刃こぼれしないから忘れていた。
「えっと、じゃあ魔法中心で頼めるか?」
「そうね。わかったわ。」
「すまん、気がつかなくて。」
「しょうがないわよ。こっちにきたばっかりなんでしょう?私たちの方が長くこの世界で生きてるんだから、どんどん頼ってね。」
「ありがとう、ルティ。じゃあ、とりあえずあれは俺が狩るから、待っててくれ。」
「ご主人様の武器は刃こぼれ大丈夫なの?」
「それも後で説明するな。」
俺は森人形のいる方に向かう。
(あれって首を刎ねればいいんだよな?)
「はい。通常は腕や足をを火属性魔法で焼いたりして、動きを制限してから頭を狙うのが普通ですが、あなたには必要ありませんね。」
(それは…楽でいいな。)
転移魔法を使い、背後に回り込み、首を刎ねる。
そのまま森人形の身体は前に倒れた。
「ご主人様は、少し規格外過ぎよね…」
二人のところへ戻ると、苦笑いをされた。
「私は魔石を取り出してきちゃいますね。」
レイラは森人形のところへ小走りで向かっていった。
「でも、森人形って面倒なんじゃないか?魔石を取り出すにしても、ナイフとか使わなきゃならないだろ?」
「そうね。木を切るって考えると大量のナイフとか、刃に凹凸のあるナイフとかを持ってくるんじゃないかしら?」
「そうだな。森人形の依頼はもう受けるのはやめておくが、ナイフとかは一応あった方が…」
そう言ったところで、ふと思いつく。
(分離魔法を二人にも使えるようにすればいいのか。今日帰ったら作ってみるか。)
「終わりました!」
レイラが魔石を持って帰ってきた。
「森人形って身体はいるか?」
「うーん…ただの木じゃないの?」
「ご主人様は空間魔法があるのですから、一部は持ち帰ったらどうでしょう?食器の材料になったりするので、売れるはずです。」
「森人形から作るのか…じゃあ、もって帰るか。」
核と身体をしまい、次の森人形の居場所へ向かって行く。
「そろそろ戻るか。」
空を見ると少し暗くなってきていた。
「というか、間に合うでしょうか?」
「ああ。帰りは転移魔法で帰るぞ。疲れているだろうからな。」
「本当ですか?やった。」
ルティとレイラと共に、門の少し離れたところに転移する。
誰にも見られていないようだ。
「冒険者ギルドは明日にするか?」
「うーん…今日中に行った方がいいんじゃないかしら?1日で受け取れるかわからないし…」
「そうだな。」
大量に持って行くと料金は翌日になっていたな。
「じゃあ、冒険者ギルドへ行って、宿に戻るか。」
二人を連れ、冒険者ギルドへ入って行く。