第51話 下級竜(3)
ヘルプの声援を受け、断然やる気が出てきた。
(ルティ、そろそろ始めていいぞ!)
(わかったわ!)
ルティが、魔法を撃ち始める。
得意の闇属性魔法だ。
使い慣れているからか、ほぼ全てが下級竜の翼にあたり、バランスを崩させ撃ち落としていく。
レイラは、落ちてきた下級竜の首に《毒生成》を使用した短剣で斬りつける。
短剣は首の骨にあたり、音を鳴らし勢いが止まるが、レイラは気にした様子はない。
傷口から毒が体内に回るので、そこまで深く切る必要はないのだが、ルティがどんどん撃ち落としているため、そこまで気が回らないようだ。
「二人にだけ任せてられないな。」
下級竜に向かって降りていくと、少し遠くにいるものには気づかれる。
だが、真下にいるものは、ルティ達を気にしていて、気がついていないようだ。
「あなた、昨日言ったことは覚えていますか?」
(あー、《能力略取》か。そうだな、竜種には使うようにって言ってたもんな。)
「はい。忘れてないようで良かったです。倒す前に伝えておきます。」
(ああ。忘れないようにするよ。じゃあ、どんどん狩っていくか!)
手始めに、真下の下級竜にシャゲアペルを振るう。
さほど抵抗もなく、首と胴体が離れた。
(おお、結構簡単だな。)
近くに飛んでいる下級竜から狩っていく。
首を落としながらふと遠くの下級竜を見ると、こちらを見て、口を開けている。
(ブレスか?)
慌てて横に避けるが、何も起こらない。
(?なんだったんだ?)
「下級竜はブレスは吐けませんよ?」
(は?竜種だろ?)
「はい。上級竜ならブレスを吐きますが、下級竜では、魔法球が限界でしょう。」
(魔法球?)
「ウインドボールなどのことです。」
(ああ、だから見えなかったのか。)
「まあ、あなたは当たっても大して気にならないと思いますけどね。」
(そうか。)
ヘルプの言葉を聞き、下級竜を倒し続ける。
ほんの数分ほどで下級竜の群れは壊滅した。
俺もルティ達の方へ降りていく。
「お疲れ。大丈夫だったか?」
「ええ。大丈夫よ。」
「私も大丈夫です。」
「そうか。それは良かった。」
(それにしても疲れたな…)
「腕の力は、ステータスの値と同じだけ使えますので、対して疲れないのではないですか?」
(気分的にだよ。)
「少し休憩したら、森人形狩りにいくからな。」
「わかったわ。」
「わかりました。」
「じゃあ、少し休んでいてくれ。」
そう伝え、俺は下級竜を回収しに行く。
(とりあえず、ステータスを見てっと。)
_________________________
風竜
名前:ーーー
Level:13
体力:0/1840
魔力:2910/3000
物理攻撃:560
物理防御:700
魔力攻撃:150
魔力防御:240
魔法適正:風
種族スキル:飛行
魔法:風属性魔法(level1)
称号:ーーー
_________________________
(口から出してたのって風属性魔法だったのか。)
「はい。そうです。魔力も少し減っているようですね。」
(《能力略取》って残っている方が奪えるのか?)
「限界量ではないでしょうか?そちらの方が強くなれますし。あなた次第です。」
(じゃあ、風属性魔法はもうあるからそれ以外だな。《能力略取》っと。)
_________________________
風竜
名前:ーーー
Level:13
体力:0/0
魔力:0/0
物理攻撃:0
物理防御:0
魔力攻撃:0
魔力防御:0
魔法適正:風
種族スキル:飛行
魔法:風属性魔法(level1)
称号:ーーー
_________________________
(うわ…)
文字通り抜け殻って感じだな。
(《飛行》は種族スキルだから奪えないのか。)
「はい。ですが、《制限無効》のレベルが上がれば奪えますよ。」
(そういえば、《制限無効》って、なかなかレベルが上がらないよな?)
「特殊なスキルだからではないでしょうか?ですが、使い続ければ上がります。」
(まぁ、そうだな。あまり気にしてもしょうがないな。)
《能力略取》を使い、魔石を無理矢理取り出そうとしたところで、ヘルプに声をかけられる。
「魔石なら分離魔法で取り出せますよ。」
試してみると、分離魔法で魔石を取り出すことができた。
(効率良すぎだろ。)
ナイフで取り出すのと比べればかなり時間の節約になる。
分離魔法で魔石を取り出し、空間魔法でしまっていくことを繰り返して、全てしまい終えたところで、二人のところへ戻る。