第46話 加護
店を出ると、空が徐々に暗くなってきていた。
レイラから買った調理道具を預かっておこうとすると、もう少し見させてください、と言われそのままレイラが持っていた。
「そろそろ夕食の時間だな。」
「ええ。戻らないとね。」
レイラは調理道具を抱いて嬉しそうにしているので、ルティの同意を得て、宿に戻った。
夕食を食べ、部屋に戻るとレイラは買った調理道具を眺めていた。
その横でルティは体を拭いている。
「そんなに嬉しかったのか?」
「はい。こんなにたくさん買ってくださってありがとうございます。とっても嬉しいです!」
頰を緩めながら言う。
包丁を持ちながら頰を緩めているのはどうかと思うが。
話しながら俺も体を拭く。
「そうか。家ができたら存分に使ってもらうからな。」
「はい!精一杯頑張ります!」
「ああ。じゃあ、それは預かっておくぞ。」
「あっ…はい。お願いします…」
(そんな悲しそうな顔をされても困るんだが…)
包丁などを持たせても邪魔なだけだからな。
「もう少しの辛抱だ。我慢してくれ。」
頭を撫でてやると、すぐに機嫌が良くなった。
「えへへ、はい。ご主人様も私の料理を楽しみにしててください。」
「ああ。楽しみにしてるよ。」
そう話していると、視界の端に体を拭き終わったルティが小さくあくびをしているのが映った。
「ああ、先に寝てていいぞ。俺も少ししたら寝るからな。」
「ええ。ごめんなさい。先に寝させてもらうわ。おやすみなさい。」
「ああ。おやすみ。」
ルティがベットに入るとすぐに寝息が聞こえてきた。
「寝るの早いな…レイラはいいのか?」
「私が先に寝たら、ご主人様がベットに入りにくいでですし、まだ体を拭いていませんから。」
「そうか。」
俺は真ん中で寝るから、眠っている2人の間に入らなきゃいけないもんな。
「先に寝るのは別に気にしなくていいぞ。体を拭き終わったら先に寝たらどうだ?」
「そうですね。ご主人様はどうされるんですか?」
「俺は、新しいスキルとか作ろうと思ってな。」
「そうでしたか。…もし良かったら見ていてもいいでしょうか?」
「別にいいが、見てて面白いものじゃないぞ?」
「それでもです。見させてください。」
「ああ。じゃあ、始めるな。」
(《ステータス》)
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ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:202979(経験値 あと10でレベルアップ)
獲得経験値:2031280
体力:1014895/1014895
魔力:20297900/20297900
物理攻撃:1014895
物理防御:2029790
魔力攻撃:6089370
魔力防御:8119160
魔法適正:火・水・風・土・光・闇・付与・空間・転移
ユニークスキル:創造
獲得経験値増加
必要経験値減少
完全耐性
能力略取
詠唱破棄
スキル:制限無効(level2)
眷属化(level2)
並列思考(levelー)
追撃(level5)
大鎌術(level2)
槍術(level5)
杖術(level5)
双剣術(level5)
棒術(level5)
剣術(level5)
弓術(level5)
威嚇(level1)
威圧(level2)
雄叫び(level1)
魔法:火属性魔法(level5)
水属性魔法(level5)
風属性魔法(level5)
土属性魔法(level5)
光属性魔法(level5)
闇属性魔法(level5)
付与魔法(level1)
空間魔法(level5)
転移魔法(level3)
耐性:火属性耐性(絶)
水属性耐性(絶)
風属性耐性(絶)
土属性耐性(絶)
光属性耐性(絶)
闇属性耐性(絶)
毒耐性(小)
即死耐性(絶)
称号:ーーー
加護:死神の加護
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(あー、しまったな。)
ゴブリンから奪ったスキルのレベルを上げていたことで大鎌術のレベルを上げるのを忘れていた。
(明日、ゴブリンとかでレベルを上げるか。さて、今日は何を作るか…)
「現実逃避しないでください。ちゃんと現実を受け止めましょう。」
(何のことだ?)
「…」
(…)
「…」
(はぁ…わかったよ。じゃあ、まずレベルとかだな。と言うか…)
改めてステータスの数値を見る。
(覚悟はしてたぞ!でも、幾ら何でもこれはないだろ!?)
文字通り、前回と比べて桁が違っていた。
「あなたはゴブリンやスライムのスキルは盗ったようですが、ステータスの数値を盗り忘れていました。」
(そんなの誤差だろ!盗っても大して変わらない!)
「…まぁ、いいです。ですが、竜種などの魔物からは、しっかり盗ることを勧めます。」
(覚えてたらな。で、問題は《死神の加護》だな。すごく不吉なんだが、俺は大丈夫なのか?)
「加護ですから大丈夫です。効果は、精神安定(絶)、ダメージ上昇(絶)、武器不壊の3つです。次回からは表示するようにいたします。」
(聞いた感じは悪くなさそうだな。)
「武器不壊は言葉通り武器が変わらなくなるようです。研いだりするのも不要なようです。」
(まぁ、害にならないならいいが…加護をもらったら何かお供えとかしたほうがいいのか?)
「あなたの好きなようにでいいのではないでしょうか?しなくても加護が無くなることはありませんし、お供えはごく稀にその神に会えたりするだけです。」
(死神に会いたくはないが、恨まれたりしても怖いな。気が向いたらでいいか。)
「はい。それが良いと思います。」
(とりあえず終わりだな。じゃあ、今日の分もつくるか。今日は何がいい?)
「考える気はないのですか?」
(ヘルプのほうがいいものを思いつくだろ?頼む。)
「…わかりました。とりあえず、《魔力操作》はないと不自然です。後は…どのようなものがよろしいですか?」
(《魔力操作》な。それは決定として、前に言ってた《分離魔法》をつくって、後3つか。うーん…これ以上強くなってもな…日常生活で便利なものとか、楽しいものがいいな。)
「《生活魔法》はどうでしょう。掃除をしたり、洗濯物を畳むことなどができます。」
(それはいいな。レイラだけに負担をかけるわけにはいかないしな。)
「あとは楽しいものですね。《魔力爆発》はどうでしょう?」
(俺の魔力が爆発したら大惨事だろ。)
全てを使ったとしたら想像できない被害が出るのではないだろうか?
「相手の魔法を爆発させるのです。うまく使えば相手の戦意を削ぐことができます。そのまま《爆発》のほうがいいかもしれません。あと、《反射》も加えると、魔法しか使えない相手なら、完全に戦意は削げるでしょう。」
(…もうそれでいいわ。)
つくり終えて顔を上げると、レイラがニコニコしながらこちらを見ていた。
「ずっと見てたのか?つまらなかっただろ?」
「ずっと見てました。つまらなくなんてありませんでしたよ。真剣な顔を見ていることができてとても嬉しかったです。」
「そ、そうか。じゃあ、そろそろ寝るか。」
赤くなっているであろう頰を隠しつつ言う。
「はい。寝ましょう。」
ベットに入ってからもレイラはこちらを見て微笑んでいるので気恥ずかしい時間がしばらく続いた。
誤字・脱字がありましたら教えてください。