第41話 行き先(2)
南西にある門へ向かい、街から出る。
馬車が通ることもあり、道はある程度整備されている。
(盗賊は来るか?)
テンプレを期待しながら歩き続ける。
だが、いるのはスライムやゴブリンのみ。
しかもレベルは1のやつばかりだ。
(そういえば、使ってないスキルがあったな。)
《能力略取》
作ったのはいいが、忘れていた。
まぁ、そこまで強い魔物もいなかったため大きく損は出ていないだろう。
スライムは種族スキルの《消化》や《吸収》をもつやつに加え、魔法を持っているものもいた。
《創造》で作ったのは無駄だったと思っても後の祭りだ。
ゴブリン系の魔物は《杖術》などの武器が必要なスキルや《威嚇》などを持っていた。
どうやら《能力略取》でスキルの経験値を手に入れることもできるが、その場合は《獲得経験値増加》と《必要経験値減少》は効果がなかったため、ゴブリンからスキルとともに武器も奪い、その武器で次の魔物を倒す、ということを繰り返していくと、簡単にレベルが上がっていく。
だが、なかなか盗賊は現れる気配がない。
思わずヘルプに探してもらおうかとも思ったが、それも一瞬のことで、先に知っては面白くない、と考え直し、道通りに進んでいく。
このまま何もないならば、結構早めに着いてしまいそうだ。
(盗賊来ないかな…)
「退屈だな。」
「そうね。」
「仕方ないですよ。」
二人も同じなようだ。
途中からレイラとルティにも魔物を倒させ、二人もかなりレベルが上がっていた。
二人もかなり強い部類になっているだろう。
ギルドでほかのやつも鑑定しようと考える。
そうこうしているうちに、ムニシヤ王国の門が見えて来た。
もう無理か、と諦めかけた時、そいつらはやって来た。
「金目のものと、女は置いてけ。」
テンプレ通りのセリフに思わず笑ってしまった。