第4話 フェル
遅くなりました。読んでくださると嬉しいです。
フェルとお互いの世界や自分自身のことを話し合った。フェルの世界には純粋なエルフは数えるほどしかいないようだ。
お互いのことを話し終えたあと、狙い澄ましたかのようなタイミングで魔物を発見した。
近くの茂みに身を潜ませ、そっと様子を伺う。
「あれは…えっと…スライム…?」
その魔物はスライムのようであったのだが、俺の想像と異なる部分が一つだけ存在していた。
「あれは?」
声を潜めながら尋ねる。
「たぶん、ゴブリン?」
スライムの周りには緑色の足や腕、人間の子どものような骨が散らばっていた。創作の中では、スライムは最弱の魔物として出てくることが多い。
だから、そもそもゴブリンをスライム1匹が倒せること自体が想像の上をいっている。
そしてその上、複数のゴブリンを倒せるなど、想像すらしていなかった。そして、ゴブリンを食べ終えたスライムは急にこちらへ向かって移動してきた。
(っ!?気付かれてたのか!しかもはやい!)
スライムは人間が全力で走るのとほぼ同じくらいの速度で向かってきた。スライムとタケルたちとの間には距離があった。
だが、茂みに隠れ様子を伺っていたためしゃがむような姿勢だったこと、そして想像との違いに動揺していたからだろうか。即座に行動を起こすことができず十数メートルあった距離は容易く詰められてしまった。
《火よ》
タケルの隣にいたフェルがそう唱えた途端、スライムに向かって握り拳ほどの火球が飛び出していった。
スライムはほぼ液体のような見た目をしているため、小さ過ぎないかと心配になったが、それは杞憂に終わった。
火球がスライムに当たった瞬間、スライムの表面を伝うように火は広がり、最後には何かの結晶だけが残った。
(スライムだからって舐めてたが、予想以上に怖かった。)
「大丈夫?」
「あぁ、助かった。ありがとう。」
「うんうん。初めてだししょうがないよ。気にしないで。」
(そうだ。これから生きていく以上、スライムとかの魔物を倒さなきゃいけないんだ。)
「フェルの世界ではステータスがあったんだよな?」
「うん。魔物を倒すと魔石が残るのも一緒だよ。普通なら魔物の死体も残るんだけど、スライムだから燃えちゃったね。」
「まぁ、液体だしな。それより、スキルの説明って見れるのか?」
「うん。簡単なことはそのスキルの文字に触ると出てくるよ。もっと詳しいことになると特別なスキルが必要みたい。」
「なるほどな。『ステータス』」
ステータスを表示させ、創造の文字に触れてみる。すると、説明が浮かび上がってきた。
創造:魔力量の半分の重量のものを創り出すことが可能。初回に限り魔力量に関わらず創り出すことが可能。
(制限 5)
(なるほどな。やはりチートスキルか。最初に何を創るのかはかなり重要だな。何が一番必要だ?後から創ろうとすると大変だったりするかもしれないし、よく考えるべきだな。だが、相談できる相手といったら…)
隣を歩いているフェルを見る。すると、フェルは俺の視線に気づいたようだ。
「タケル?どうかしたの?」
「いや、なんでもない。」
(フェルは本当に信用できるのか?確かに悪いやつではないだろう。だが信用するには時間が短すぎる。)
一先ずは、フェルにはまだスキルのことを教えないことに決定し、立ち止まり、しばしの間、何を創り出すのかを考え続けた。
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