第33話 狩り
街から出て、森へ入るとすぐに50メートルほど離れたところに2匹のゴブリンを発見した。
2匹とも腕には棍棒のようなものを持っている。
(よし。《鑑定》)
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ゴブリン
名前:ーーー
Level:1
体力:10/10
魔力:5/5
物理攻撃:10
物理防御:10
魔力攻撃:5
魔力防御:5
魔法適正:ーーー
スキル:棒術(level1)
称号:ーーー
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ステータスは2匹とも同じのようだ。
(イメージ通りの武器だな?あれってゴブリンたちが自分で作ってるのか?)
「はい。木を切り倒して作っています。」
(そうか。《棒術》のスキルを持ってるが、鎌に対するスキルもあるか?)
「はい。《大鎌術》と《双鎌術》があります。」
(《双鎌術》って、邪魔じゃないか?)
「《双鎌術》に使われる鎌は通常、あなたの鎌より小さい1メートルほどのものを使います。ですが、あなたの鎌くらいの大きさのものを2本使おうとする人もいました。」
(へぇ。もし二つ目の鎌が手に入ったら試してみるのもいいかもな。)
そこで、一旦、ヘルプとの会話をやめ、二人に話しかける?
「じゃあ、二人であのゴブリンを倒してみてくれるか?」
「わかったわ。」
「わかりました。」
そういうと二人はすぐに走り出した。
俺は少し離れたところから見ていることにする。
(レイラは、2本使うのが難しかったら、途中で1本に変えてもいいからな。)
念話で伝える。
(わかりました。)
レイラからも返事が返ってきた。
足の速さの違いもあり、先にゴブリンにたどり着いたのはルティだ。
「それっ!」
掛け声とともに振り下ろされた剣はゴブリンを真っ二つにした。
一撃だったため、技術はどうなのかはわからないが、今回の依頼の魔物程度ならそうそう苦戦はしないだろう。
(ルティ、もう1匹はレイラのために残しておいてくれ。)
(わかったわ。)
ルティに目を向けると、手に持っている、元々水色だった短剣が濃い紫色に染まっている。
(あれは、《毒生成》でやってるのか?)
「はい。短剣の刀身から毒が発生し続けています。」
ヘルプから回答が返ってきた。
(あれって危なくないか?)
「耐性がないと即死です。」
(こわっ!迂闊に触らないな…)
そんなことをヘルプと話しているうちに、レイラはゴブリンにたどり着いている。
ゴブリンは、仲間を殺されたことで、ルティに襲いかかろうとしていたが、レイラが向かってきたのに気づいたのか、レイラの方へ顔を向け、棍棒を振りかぶる。
レイラが間合いに入ったのを見て、棍棒を振り下ろしたが、レイラは当然のように避け、ゴブリンの首を短剣で切り裂いた。
(俺に見せるために《毒生成》を使ったみたいだな。)
本来ならゴブリンに対しては短剣のみで倒せるんだろう。
二人はゴブリンを倒すと、こちらへ戻ってきた。
「お疲れ様。大丈夫そうだな。」
「ええ。あの程度なら余裕よ。」
「はい。大丈夫です。」
「じゃあ、どんどん奥にーー「ご主人様!」…ルティ、どうかしたのか?」
「私のスキルに《大剣術》が増えてる!」
「え?…1回振っただけだよな。」
「あっ!私も《短剣術》が増えてます。」
レイラもステータスを見て、驚きの声を上げている。
(どういうことだ?)
ルティとレイラはそれぞれ前にも大剣と短剣を使っていたはずだ。
「あなたの《眷属化》で、《獲得経験値増加》を受けた経験値が共有されたためです。」
(スキルって、どうやれば手に入るんだ?)
「武術系統のスキルならば、魔物に対して使用した回数で決まります。習得やレベルアップの回数には、個人差があります。」
(そうか。)
まぁ、強くなって悪いわけでもないし大丈夫だろう。
「じゃあ、どんどん狩るか。」
誤字・脱字がありましたら教えてくださると幸いです。