第31話 レビルム公国観光(2)
「代金は大丈夫?金貨1枚と銀貨5枚になるけど…」
「はい。」
「…ちょうどね。」
少し驚いてはいたが、問題なく受け取ってくれた。
ネックレスを買い、俺たちは再び歩きだした。
今は露店で買ったスカイフィッシュ焼きを食べている。
名前を聞いた時は食べる気が失せたが、見た目は焼き鳥と変わらない。
一口、食べてみると、焼き鳥とは違うが、十分に美味しく食べられた。
流石1本銀貨1枚のことはある、と呟くとレイラとルティに怒られた。
普通なら銅貨3枚で買えるそうだ。
まぁ、宿に泊まるのと同じ値段の時点で気づいてたんだけどね…
全部で6本しか買わなかったので、3人で食べるとすぐに食べ終わってしまった。
「次はどうする?」
「…そういうのって普通、ご主人様が決めるのよ。」
「うーん…もう少しでまわり終わるからな。もう帰るか?」
「あの…」
レイラが手を挙げている。
それを見て、学校みたいだと少し笑ってしまった。
「ご主人様?どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。それで、どうした?」
「はい。魔物を狩りに行きませんか?」
「今からか?」
「はい。…私も役に立ちたいので。」
最後の言葉はスルーして、考えてみる。
「まぁ、いいんだが、いきなりどうしたんだ?」
「私のユニークスキルを見て欲しくて。魔物を狩る時にご主人様の面倒が減るかもしれません。」
「あー、ありがとな。じゃあ、早速行くか。」
俺は門に向かって歩き出す。
「…ご主人様?私達、冒険者登録してないわよ?」
「…忘れてた。」
俺たちは冒険者ギルドへ向かい、登録をする。
「こっちの二人を登録したいんだが…」
「はい。構いませんが…失礼ですが、お二方はタケルさんの奴隷の方でしょうか?」
「はい。そうですが…」
(もしかして、奴隷は駄目なのか?いや、さっきルティが登録してないと言っていたし、大丈夫だと思ったんだが。)
「何か問題があるのか?」
「あっ…いえ。申し訳ありません。冒険者で奴隷がいらっしゃる方はCランク以上くらいなので…」
(ああ、そういえば、魔物は買い取ってもらってだけど、ろくに依頼は受けてなかったからな。これからは3人で依頼を受けていくことにするか。)
「それでは、お二方のお名前を教えてくださいますか?」
「ルティよ。」「レイラです。」
受付の人は、紙に書き込んでいる。
「…はい。大丈夫です。これをステータスに重ねるようにしておいてください。」
二人はそれに従い、無事に登録できたようだ。
(じゃあ、そろそろ…っと、そうだ。)
「名前を聞いてもいいか?」
実はこの人は俺が冒険者登録をした時と同じ人だ。
こげ茶色の髪をしていて、日本でも見かけたりする色だったので、よく魔物の買取などの受付を頼んでいる。
「あっ…失礼しました。私はアリナと申します。」
「アリナさん、これからもよろしくお願いします。」
アリナさんは俺の敬語に少し戸惑っていたが、すぐに微笑んでくれる。
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
「それじゃ、依頼を探してきますね。」
「はい。待っていますので。ごゆっくりどうぞ。」
「はい。」
そして、俺たちは依頼を物色する。
その間、レイラとルティがアリナさんを見ていることが気になった。
「…時間の問題よね。」
「そうですね。」
色々ききたいこともあるが、二人ともタケルの恋人というわけではない。
「これについてはしょうがないわよね。」
「はい。…私達、奴隷ですけど、勝ち目ありますか?」
「ご、ご主人様なら大丈夫よ。奴隷とか気にしなそうだし。意識してくれてるみたいだったし。」
「…」
「…」
「「はぁ〜…」」
二人はこれからの事を考え、思わずため息をついてしまった。
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