第29話 防具(2)
防具の中には甲冑や兜のようなものもあったが、結局俺たちが選んだのは軽い防具ばかりだった。
理由は動きにくいからで一致した。
買った防具は全員、手甲、胸当て、脛当ての3種類だけだ。
俺は宝龍の魔石とミスリルを基本として作られた防具を買った。
宝龍はよく知られている宝石を集める龍の中で、ミスリルを多く食べた龍のことらしく、宝龍の素材で作られた防具は、魔力を貯めておくことができるらしい。
これを使うと、自分の魔力や相手の魔法から一部の魔力を貯めることができ、その後取り出すこともできるため、魔法使いには人気の商品らしい。
それに加えて、帝狼の皮で作られた服、突撃兎の皮で作られた靴を買った。
服は帝狼の種族スキルである《環境適応》、靴は突撃兎はの《跳躍》というスキルと《空歩》というスキルが付与されているらしい。
突撃兎なのに《突撃》じゃないのかと聞いたところ、以前それを靴に付与し、走り出した時に止まることができなかったらしく、その時は壁にぶつかったことで止まることができたらしい。
当然、その使用者は大怪我だったそうだ。
ルティは暗黒龍の魔石や黒結晶という闇属性魔法に親和性の高いものを基本とした防具と靴は実亀という亀型の魔物の甲羅で作られたものを買うようだ。
魔族は基本性能が人族と違うため、靴などは簡単に壊れるようで、壊れにくいことを基準に選んだようだ。
レイラは、自分には違いがわからないと言って俺にどれがいいか聞いてきたため、絹虫という物理衝撃吸収が付与された防具と闇鰐という鰐の魔物の皮で作られた靴を勧めたところ、そのまま決定したようだ。
ベルクに選んだものを見せると、
「本当にいい目をしてやがるな。」
と、苦笑いしながらつぶやいていた。
少しオマケだと言って、端数は値引いてくれたため、代金は紋貨5枚となった。
想像だが、端数の他にもまけてくれてるのだろう。
「ああ、紋貨5枚だ。また来るな。」
そう言って店から出ようとする。
「あー、少し待ってくれないか?」
「?なんだ?」
「今気づいたんだが、お前たち、鞘を持ってないじゃないか。」
「あー、そうだな。」
武器屋には鞘は置いていなかった。
「作ってくれるか?」
「ああ。とりあえず武器を見せてくれるか?」
「あー、俺は空間魔法があるから、鞘はいらない。二人に作ってくれるか?」
視線で二人に確認しながら言う。
レイラは小さく頷いてくれた。
「空間魔法かよ…わかった。えーっと、ルティとレイラだったな。武器を見せてくれ。」
俺はレイラの短剣とルティの大剣を出す。
ベルクはそれを見ながら、しきりにメモを取っているようだ。
少し待っていると、ベルクが顔を上げた。
「もうしまっていいぞ。明日までには作っておく。」
「ああ、わかった。よろしく頼む。」
「任された。」
「じゃあ、またな。」
「ああ。」
店から出て、少し話し合ったあと、俺たちは他の店を見て回ることにした。
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