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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
レビルム公国編
29/117

第28話 防具(1)

遅くなって申し訳ありません。

武器屋を出て、次に防具を買うことにした。

どこに売っているかはわからないが、俺達はとりあえず歩き出す。

(防具はどこに売ってる?)

自分で探す気はない。

「ここから右に見えている『ゴブリン防具店』で売られています。」

(…ちゃんとした防具を売ってるのか?)

店名にゴブリンが付いている時点で買いたくないんだが…

「店主が頑固で有名ですが、腕はこの国の中では1番と言う噂です。」

(まじか…名前のセンスがおかしいだけってことか。)

「レイラ、ルティ。そこで防具を買うぞ。」

「ここですか…?」

レイラも名前を見て戸惑っている。

ルティは「ゴブリンって…」と笑いを堪えている。

「いいのがなかったら買わなければいいんだ。入るぞ。」

レイラとルティを連れて店に入る。

そこには背は低いが屈強そうな中年がいた。

その中年はこちらを一瞥すると、

「…付いて来い。」

そう言って店の奥へ歩いて行った。

「…は?」

思わず少し固まってしまった。

「どうしますか?」

レイラが聞いてくる。

「でも、行かないとどっちにしても防具かえないよね?」

「…そうだな。行くしかないか。」

「私、喋らないようにしてるね。」

ルティが言う。

「なんでだ?」

「あの人の機嫌を損ねたらご主人様に迷惑かけるでしょ?私、丁寧な言葉とか苦手だし。」

「そうですね。では、私もルティと同じように口を開かないことにしますね。」

「…そうか。まぁ、別に俺は気にしないんだが。」

「私たちが気にするんです。」

「わかった。」

俺が歩き出すと2人もついてくる。

奥に入るとすぐのところにある扉の前で中年が待っていた。

「はいれ。」

「先に説明してくれないか?この部屋に入った後、後ろから刺されるかもしれないからな。」

恨みを買った覚えはないが、追っ手の可能性はある。

一応逃げてる最中だからな。

「…俺はそんなことはしない。」

「だから、理由を教えろよ。」

「…身の丈に合わない防具は、冒険者を調子に乗せるからだ。」

「…それなら最初から言えよ。」

「…」

「はぁ、まあいいか。」

俺達は部屋の中に入る。

そこには5つの防具が置いてあった。

「その中で1番素材がいいのはどれだ?」

店主が問う。

(…正直、どれがいいのかなんてわからないな。素材も俺は見たことない魔物だろうし…)

「触ってもいいのか?」

「…」

(答えない、か。知識とかを計るってことだろうか?それなら下手に触らない方がいいか。触ったことで、防具を売らないと言われても困るしな。《鑑定》)


左から順にキメラ、氷結龍、スナイプビー、火焔龍、暗黒龍という魔物でできているようだ。

(この中で1番素材がいいのか…どれだ?)

「キメラとスナイプビーを除外した3つは、目的地によって良いものとも悪いものともなります。」

(うわ…そういうのか。こういう時はどういう答えがいいんだ?そのまま3つを答えるのか?それとも他の何かか?)

考えてみるが、値段や多用さ、重量などの判断基準を考え、ヘルプに聞いてみるが、答えはバラバラだった。

(はぁ…どう答えりゃいいんだ…もうヘルプに考えてもらうか。)

「そのまま3つを答えるのが良いのではないでしょうか?相手の意図がわからない以上、悩むのは時間の無駄です。」

(それもそうだな。駄目だったら別の所へ行ってもいいからな。)

「左から2番目、4番目、5番目だ。」

「…そうか。ついてきてくれ。」

そう言って、店主が別の部屋へ向かう。

俺達もそれについて行く。

部屋に入ると、所狭しと防具が置かれていた。

「この中から選べ。」

そう言うと部屋から出て行こうとするので、呼び止める。

「待て。結局さっきの問題は正解だったのか?」

「ああ。お前の答えで合っている。」

そこで気になったことがあった。

(なぁ、この世界に《鑑定》のスキルを持ってるやつって少ないのか?)

「はい。《鑑定》を持っている人は数えるほどです。ですが、《鑑定》を付与されている指輪は珍しくありません。」

(なるほどな。さっきのシャゲアペルみたいなものか。)

「さっきの問題は、《鑑定》を持っていれば簡単じゃないか?」

「そうだな。」

「それなら…」

「だが、お前は指輪をしていない。だから、正解したのは自身が鑑定を持っているか、勘で当てたかだ。そして、さっきの防具にはlevel4の《偽装》がかけられている。全てゴブリンやオークなどに見えるようにな。それを見破ったってことは、大抵の冒険者のステータスを見れるだろう。それなら、その場所の冒険者や魔物のステータスとの差を考えれば、調子には乗らないだろう。」

「確かにそうだな。で、勘だった場合は?」

「5つの防具から1番いいやつを選べと言ったのに、正しい3つの防具を選ぶほど勘がいいやつなら、調子に乗ってもなんとか切り抜けられるだろ。」

「そっちは適当すぎるだろ…」

「まあ、正解したのはお前が初めてだったからな。」

「へぇ、じゃあ、ここの防具の性能はかなりいいってことか?」

「ああ、俺が作った素材の中で、素材につき1番出来がいいやつを置いてある部屋だ。」

「ここのやつを売るのは初めてか?」

「ああ。正解したやつしか入れないと決めているからな。」

「それなのにうでがいいと噂になっているのか。」

「そいつらにあった防具しか見せてないからな。」

「そうか。それで、この2人の分も選んでいいんだろ?」

「ああ、お前が守るんだろ?」

店主がニヤニヤとからかうような顔をしている。

「…は?」

確かにいざとなったら守るだろうが、別の意味に聞こえた。

「?お前たち、付き合ってるんじゃないのか?」

レイラとルティはその言葉に顔を赤くしている。

的外れな勘違いに怒っているのか、ただ単に照れているのか…

「こと2人は俺の奴隷で、付き合ってはいない。」

「そうか。奴隷にしてはかなり金をかけてるんだな。」

「悪いか?」

「いや、気に入った。大切にしてるんだな。」

「仲間だからな。当たり前だ。」

俺の言葉に2人はさらに顔を赤くしている。

ということは、照れているんだろう。

慣れていないようだ。

店主はさっきまでの無愛想はなんだったのかと思うほど、からかうような雰囲気を強くする。

「…奴隷を仲間か。お前ら、名前は?」

「俺はタケルだ。こっちの背の低い方がレイラで、高い方がルティだ。」

「タケルにレイラにルティだな。覚えておく。俺はベルクだ。何かいい素材が手に入ったら持ってこい。いつでも俺が防具にしてやる。もちろん金はいらん。」

「いいのか?」

(そういうのって大変なんじゃないか?)

「通常は、1回作ってもらうだけでも加工の費用や人件費としてかなりの値段を取られます。」

少し気になっただけでも、ヘルプは反応してくれるようだ。

「もちろんだ。お前らは貴族のやつらなんかと違って奴隷を大切にしてるようだし、見る目があるからな。」

(あー、よくあるよな。貴族と仲が悪い鍛治屋。そういう奴は大抵腕がいいから安心だな。)

「そうか。じゃあ、いい素材が手に入ったら持ってくるよ。」

「ああ、そうしてくれ。じゃあ、俺はさっきの場所に座っているからな。好きなの選んだら持ってきてくれ。」

「ああ。わかった。」

それを聞き、ベルクはもどって言った。

もう喋っていいぞ。

「なんかいい人そうだったね。」

「はい。こだわりがあるということでしょう。そういう人は腕のいい人が多いです。」

「そうだな。じゃあ、防具を決めていくか。」

俺たちは防具はをひとつひとつ見ていった。

誤字・脱字がありましたら教えて下さると幸いです。

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