第27話 武器(2)
間が空いてすみません。
店主は4種類の短剣を持ってきた。
「振ってみろ。」
そう言って店主がレイラに短剣を渡す。
「えっと…2本ですか?」
「違うのか?」
店主は不思議そうにしている。
「短剣は普通2本だ。」
「そう…ですか。」
レイラは少し戸惑っているようなので声をかける。
「レイラは元々1本で使ってたのか?」
「はい。片方だけでした。」
「そうか。」
(2本にさせてみるか?いや、慣れないことをして危険に陥ることもあるか…)
「まぁ、レイラの好きなようにやればいいぞ。俺にはわからないからな。」
「はい…」
レイラは少しの間考えると、
「2本にします。」
「大丈夫か?無理に変えなくていいんだぞ。」
「はい。2本が普通となっているのなら、1本より2本の方が良いということだと思います。それに、2本持っておけば、いざという時に1本でも戦えます。」
「…そうか。」
「はい。」
レイラは店主から短剣を受けとる。
とりあえず振っているという感じだ。
まだ2本に慣れていないからだろう。
「…少し振りにくいです。もう少し軽いのはありますか?」
「待ってろ。」
店主はそう言い残し、奥へ入って行った。
しばらくして、店主が2本の刀身が水色の短剣を持ってきた。
そしてなぜかレイラではなく俺の方を見る。
「?…なんだ?」
「これは、劣化ミスリル製で、値段が高いが、大丈夫か?」
「ああ、それなら値段は問題ない。」
「そうか。」
それを聞き、店主はレイラに短剣を渡す。
レイラはそれを受け取るとすぐに振り始めた。
「これは…振りやすいです。」
「それにするか?」
「ご主人様…よろしいですか?」
「ああ、値段はなんとかなるだろ。」
「申し訳ありません。」
「気にするな。どの道必要なものだからな。」
そして、俺は店主に振り向く。
「そういえば、劣化ミスリルってなんだ?」
「ミスリル製の武器からミスリルを取り出して、別の武器に作り直すと、少し魔力伝達が鈍る。」
「そうか。代金はいくらだ?」
そういうと、店主は訝しげな目を向けてくる。
「お前の武器は?」
「いや、俺は基本魔法を使うからな。武器は使わない。」
「ずっと前から、残っている武器がある。魔法杖の代わりとしても、使えるが…魔力は多いか?」
「どのくらいだ?」
「最低でも3000は欲しい。」
「ああ、それなら大丈夫だ。」
「そうか…待ってろ。」
そう言われ待っていると、店主が戻ってくる。
(…まじか…?)
店主が持ってきたのは白色の鎌だった。
(うわ…)
正直使いたいという気もある。
創作の中ではそう珍しい武器でもない。
だが、実用性という部分では、剣などとは比べものにならないと思う。
「…これだ。」
(おい、あんたでさえ汗かいてるじゃねぇか!)
「これはダンジョンで見つかった武器だ。使える奴はほとんどいない。魔力が多いほど軽くなるらしい。」
はい、テンプレですね。
「ハルバードと鎌を一つにしたような見た目だが、どう使うのかわからん。」
見た目はハルバードの斧の部分を鎌にしたような感じだ。あと、鎌の外側に凹凸がある。
(ソードブレイカー…っていうのか?剣を折るためってところだろうな。…こういう時に《鑑定》を使うのか!《鑑定》)
_________________________
大鎌杖 シャゲアペル
材料:オリハルコン、銀龍の爪
魔力量により、重量が変化する。
全属性の付与が可能。
使用者は即死耐性(絶)を取得。
_________________________
(悪くは…ないのか?そう簡単に即死なんてしたくないからな。というか、オリハルコンって白色なのか?)
オリハルコンというのは、どこかの国の銅などの意味だった気がするが、よく覚えていない。
「使い方がわからないものをすすめるのか?」
「いままで、使える者がいなかったからだ。だが、どうせ武器を、持つつもりがないなら、試してみるのもいいと思うが?」
(まぁ、そうだな。使うかはわからないが、別に今は金に困ってはいないし、買っておくか。)
「ああ、そうだな。それを買おう。ルティとレイラの分も一緒に会計してくれ。」
「ああ。…金貨14枚だな。」
「…安くないか?」
(少なくとも、金貨14枚であの鎌は買えないだろ…)
「あんたの武器は金貨1枚になってるからな。」
「は?」
俺は驚く。
あれが金貨1枚なら、もっと性能が良いものがあるのではないかと。
「あれはずっと放置されてたからな。魔法を使うって奴に使わせようとしたが、誰も使えなかったからな。全然売れないから、安くなってるんだよ。」
「そうか。ありがとう。この鎌を使えるようになるよ。」
「ああ、頑張ってくれ。」
そこで俺は金貨14枚を払う。
「処分できて、よかった。」
(聞こえてるからな…)
「じゃあ、俺達はこれで。」
「ああ…」
店主は何か言いたげにしている気がした。
「なんだ?」
「いや、なんでもない。俺はブラムだ。」
(…名前は今言うことか?)
「俺はタケルだ。じゃあな。」
今度こそ俺達は武器屋を出た。
誤字・脱字がありましたら教えてくださると幸いです