第2話 勇者召喚(前半)
召喚後からです。
目を覚ますとそこには青い空が広がっていた。周りを見ると、どうやらここは屋外のようで、見たこともないような動植物と、甲冑のようなものを着た男達に囲まれていた。クラスメイト達はまだ眠っている者と起きて周りを見渡している者が半分ずつくらいいる。
(どう言う状況だ?というかさっきまで教室にいたはずじゃ…)
上空に大きな水色の鳥が飛んでいる。そんな中、流れるような長い金髪を持つ女性がこちらへ歩み寄ってきた。
「ようこそおいでくださいました。私はメルニア王国の第2王女ウィチア・ファイルムと申します。
誠に勝手ながら、メルニア王国を救っていただきたく、私たちが勇者様方を召喚いたしました。勇者様方には魔王を倒していただきたいのです。魔王を倒す以外で、勇者様方を送還することはできません。どうか私たちを救ってください!」
そう言うと、自称第2王女は勢い良く頭を下げた。
周りの甲冑を着た男達も金属同士の擦れる音を立てながらこちらへ頭を下げた。
(本物の王女と騎士なのか?本物だったらそう簡単に頭を下げるものじゃないだろう…それほどに切羽詰まっているってことか?というか、テンプレすぎるだろう…)
情報が多すぎて混乱してしまう。
「ふざけないでください!あなた達の遊びに付き合っている暇はないんです!これは誘拐と同じですよ!私達を元の場所に戻しなさい!」
(おぉ、こういうセリフも良く見るよな。)
温厚として有名な担任の先生がいつになく怒っている。まぁ、いきなり異世界から帰れないと言われたら、こうなるよな。ここまで似てるとは、ラノベ作家の想像力って凄いな。
「…申し訳ありませんが、魔王を倒す以外の送還方法は存じ上げません。」
さっきも言ってたしな。でも、こういう時はやっぱり誰ががーー
「花結先生落ち着いてください。魔王を倒せば帰れるんです。そうですよね?」
(やっぱりか!あいつが勇者か?確か…田村だったかな…?これからは勇者くんと呼ぼう。あぁ、テンプレって怖いな。)
「はい。そう伝わっております。」
(伝わっているってことは魔王は今までも生まれてるってことだよな?そのたびに召喚してるってことか?倒されてからどのくらいで生まれるんだ?…まぁ、考えても無駄か…)
答えの出ない疑問への思考を止める。勇者くんは王女の回答を聞いて、担任を落ち着かせている。
「みんなで協力すれば、すぐに帰れますよ!」
「田村君…そうですね。唯一の大人な私が慌てていてはいけませんよね。ごめんなさい。ありがとう。」
落ち着いたのを見て王女が一度周りを見渡した。担任が誰より先に慌てていたため、生徒たちは落ち着いているようだった。王女はそれを確認すると、周りの生徒たちに呼びかけるように言った。
「王国を総力を挙げてサポートさせていただきますので、どうか…どうか!魔王を倒してください!お願いいたします!」
王女はうっすらと目元に涙を溜めながら言いきった。今までの魔王による被害を思い出しているのだろうか?全く別のことを考えているのかもしれない。
「ですが、僕たちは戦う力は持っていません。どうやって魔王を倒すのでしょうか?」
「それに関しては安心してください。召喚時にスキルという恩恵をみなさんはいただいているはずです。皆さん、『ステータス』と言ってみてください。」
戸惑いながらも担任を含む30名が声を出した。すると、生徒たちの前に水色の板のようなものが浮いていた。だが、他人の内容までは見えないようだ。それを確認して俺もステータスを出した。
「ステータス」
_________________________
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
Level:1
体力:10/10
魔力:100/100
物理攻撃:25
物理防御:40
魔力攻撃:50
魔力防御:120
魔法適正:ーーー
ユニークスキル:創造
称号:ーーー
_________________________
チートスキルきたぁぁ!!!
『創造』とか名前からしてチートだろ!
勝ち組決定!この力でーーー
「では、皆さん。こちらへ来て、一人ひとつ腕輪を受け取ってください。」
ん?
…これってつけたらアウトなやつじゃね??
前回よりは長くなったでしょうか?てすが、まだまだ短いですね…頑張っていきたいです。
誤字・脱字・言い間違えなど、気になったところがあれば、教えていただけると嬉しいです。