第17話 道
前半がタケル視点で、後半はフェル視点です。
「は?」
(今なんて言った?)
「今まで少しの間だったけどありがとね。」
「…」
フェルはそのまま部屋を出て行こうとしている。
「少し待って。」
「…わかった。」
「その…これからどうするんだ?」
(考えなかったわけではない。逃げてしまったために、共に行動したのであり、このまま一緒でなければならないということはない。)
「今日、街で会った人に誘われてパーティに入ることにしたの。」
「そうか。その…」
(『信用できるのか』なんて、俺が聞くまでもないだろう。フェルはそこまで子供じゃない。本人が決めたことに俺が口を出すのは間違ってるだろう。)
「わかった。今までありがとな。色々世話になった。」
俺は頭を下げた。
「それなら、これは渡しとかないとな。」
(今あるのは銀貨101枚と銅貨10枚か…半分ずつの方が後腐れなくていいな。そうすると…)
俺は銀貨51枚と銅貨5枚を渡す。
(まあ、服とかも買うだろうし、多めの方がいいだろう。たった銀貨1枚だが…)
「これでちょうど半分だ。」
フェルに渡す。
「こんなにもらえないよ!私が稼いだわけじゃないし。」
「気にしなくていい。武器とかも買わなければいけないだろう?」
「…そうだけど…」
フェルは申し訳なさそうな顔をしている。
「まぁ、無一文で別れて、死なれても夢見が悪いしな。貰ってくれ。」
そういうとフェルは渋々ながらも受け取ってくれた。
「…うん。その…ごめん。ありがと。」
そういうと、フェルは部屋に戻ろうとする。
一瞬、こちらを見た気がしたが気のせいだろう。
そんなフェルの背中に俺は声を投げる。
「フェル、おやすみ。」
「っ!?…おやすみ、タケル。」
フェルは扉を閉めて、今度こそ部屋に戻っていった。
「…これからどうするか。」
天井を見上げ、今更ながらも考え始める。
(引き止める?どんな理由で?フェルが決めたことなのに?)
「どうするか…」
一人になってしまったことを再確認し、そのうえで明日からどうすればいいか考える。
(まぁ、明日考えればいいか。)
明日からフェルがいないことを考え、寂しさを感じながらも、その感情は無視することにした。
(引き止める権利なんてないんだから。)
「もう、寝るか…」
そう呟き、タケルは眠りについた。
「まぁ、無一文で別れて、死なれても夢見が悪いしな。貰ってくれ。」
そう言われた私は場違いながらも嬉しさを感じていた。
(そういうってことは赤の他人ではないんだよね。)
そんなことを考えていたら返事が少し詰まってしまった。
「…うん。その…ごめん。ありがと。」
どうしても感謝を伝えておきたかった。
そして、今更ながら優しさを感じて、怖いなどど思っていた自分を恥じ、タケルに対して申し訳なく思った。
(今からでも考え直せば一緒に居られるよね。)
そう考え、タケルに目を向けてしまう。
でも、それは一瞬だった。
(あー、嫌な人だな、私。自分から言いだしておいて…勝手に怖いって思ったくせに。)
私は部屋を出て行く。
これ以上いたら、考え直してしまいそうだったから。
「フェル、おやすみ。」
「っ!?…おやすみ、タケル。」
普通に返せたのだろうか?
こんな私にそんな風にいってくれるなんて、優しすぎる。
だから、私は振り向かない。
優しさは毒だから。
タケルに依存してしまうから。
(またいつかタケルに会えるかな?)
そんなことを考えながら私は眠りについた。
誤字・脱字がありましたら教えてくださると幸いです。




