表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
レビルム公国編
18/117

第17話 道

前半がタケル視点で、後半はフェル視点です。

「は?」

(今なんて言った?)

「今まで少しの間だったけどありがとね。」

「…」

フェルはそのまま部屋を出て行こうとしている。

「少し待って。」

「…わかった。」

「その…これからどうするんだ?」

(考えなかったわけではない。逃げてしまったために、共に行動したのであり、このまま一緒でなければならないということはない。)

「今日、街で会った人に誘われてパーティに入ることにしたの。」

「そうか。その…」

(『信用できるのか』なんて、俺が聞くまでもないだろう。フェルはそこまで子供じゃない。本人が決めたことに俺が口を出すのは間違ってるだろう。)

「わかった。今までありがとな。色々世話になった。」

俺は頭を下げた。

「それなら、これは渡しとかないとな。」

(今あるのは銀貨101枚と銅貨10枚か…半分ずつの方が後腐れなくていいな。そうすると…)

俺は銀貨51枚と銅貨5枚を渡す。

(まあ、服とかも買うだろうし、多めの方がいいだろう。たった銀貨1枚だが…)

「これでちょうど半分だ。」

フェルに渡す。

「こんなにもらえないよ!私が稼いだわけじゃないし。」

「気にしなくていい。武器とかも買わなければいけないだろう?」

「…そうだけど…」

フェルは申し訳なさそうな顔をしている。

「まぁ、無一文で別れて、死なれても夢見が悪いしな。貰ってくれ。」

そういうとフェルは渋々ながらも受け取ってくれた。

「…うん。その…ごめん。ありがと。」

そういうと、フェルは部屋に戻ろうとする。

一瞬、こちらを見た気がしたが気のせいだろう。

そんなフェルの背中に俺は声を投げる。

「フェル、おやすみ。」

「っ!?…おやすみ、タケル。」

フェルは扉を閉めて、今度こそ部屋に戻っていった。

「…これからどうするか。」

天井を見上げ、今更ながらも考え始める。

(引き止める?どんな理由で?フェルが決めたことなのに?)

「どうするか…」

一人になってしまったことを再確認し、そのうえで明日からどうすればいいか考える。

(まぁ、明日考えればいいか。)

明日からフェルがいないことを考え、寂しさを感じながらも、その感情は無視することにした。

(引き止める権利なんてないんだから。)

「もう、寝るか…」

そう呟き、タケルは眠りについた。




「まぁ、無一文で別れて、死なれても夢見が悪いしな。貰ってくれ。」

そう言われた私は場違いながらも嬉しさを感じていた。

(そういうってことは赤の他人ではないんだよね。)

そんなことを考えていたら返事が少し詰まってしまった。

「…うん。その…ごめん。ありがと。」

どうしても感謝を伝えておきたかった。

そして、今更ながら優しさを感じて、怖いなどど思っていた自分を恥じ、タケルに対して申し訳なく思った。

(今からでも考え直せば一緒に居られるよね。)

そう考え、タケルに目を向けてしまう。

でも、それは一瞬だった。

(あー、嫌な人だな、私。自分から言いだしておいて…勝手に怖いって思ったくせに。)

私は部屋を出て行く。

これ以上いたら、考え直してしまいそうだったから。

「フェル、おやすみ。」

「っ!?…おやすみ、タケル。」

普通に返せたのだろうか?

こんな私にそんな風にいってくれるなんて、優しすぎる。

だから、私は振り向かない。

優しさは毒だから。

タケルに依存してしまうから。

(またいつかタケルに会えるかな?)

そんなことを考えながら私は眠りについた。

誤字・脱字がありましたら教えてくださると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ