第15話 それぞれの考え(5)
フェル視点は次回にしました。
「あー…朝か…」
(昨夜スキルをつくるのに夜遅くまでおきてたからな…そういえば今日は個人で行動だったな。もう一眠りするか。)
そう考え、再び眠りについた。
「んー!よう寝たなぁ。」
さっきから1、2時間くらい寝たんではないだろうか。
まぁ、この部屋に時計はないため正確かはわからないが。
この世界の時計はマジックアイテムの一種となっている。そのため個人で所持しているのは貴族などでも一部だそうだ。商人や平民は多くの街にある時計塔を用いてこうどうしている。
(いまは10時半くらいか。腹が減ったな…)
朝食を出してくれるか少し心配しつつも下へ下りていく
「あんたかい。今日はゆっくりだったね。」
「ああ、昨日は少し寝るのが遅くてな。」
一階へ下りると見るからに冒険者な者たちが朝食を食べていた。
「おー、お前が新しく泊まってるってやつか!」
席に着くと一人の男に声をかけられた。
背が高く、ボディビルダーのようなやつだ。
まぁ、ほとんどのやつがボディビルダーのようなやつだが。
「ああ、一昨日からここに泊まってる。」
「おー、そりゃ運が良かったな。ここは安いのにめしもうまいから満室のことがおおいんだぜ?」
「そうなのか。というかあんたは朝から酒飲んでるのか?」
男は酒臭かった。
「少しだけな。この後も何もなけりゃ一日中飲んでたいんだがな。」
「そういうってことはこの後何かあるんだろう?」
男のテーブルには少しとは言い難い量の酒の樽があった。
おそらく空になっているんだろう。
「冒険者らしく魔物狩りだ。あんたは…」
そこで男は俺の体を見て、
「あんたは冒険者か?」
「そうだが?」
「そうか…魔法使いか?」
「ああ。」
「やっぱりか…いや、気分を悪くさせたなら悪いんだが、体を鍛えてるようには見えないからな。」
(ああ、なるほど。)
確かに俺の体は大して筋肉もついていない。かといって太っているわけではないが。
「冒険者になったばかりだからな。」
そう言ったところで女将が朝食を持ってきてくれる。
「フェルはまだ寝てるか?」
「連れの子は随分前に出てったよ。」
「そうか。ありがとう」
女将に礼をいって、朝食を食べ始める。
「あんたは誰かと組んでるのか?」
「ああ。というかお前は朝食を食べないのか?」
「あー、ここで食ってもいいか?」
「別に構わないが…」
(一緒のテーブルについてるやつはいいのだろうか。)
男は元のテーブルに一旦戻った。
そこでは一人の女性が朝食をとっている。
「俺はあそこのやつと飯食うな。」
「それはいいけど…ハルド、あんまりいじめてやるなよ。」
「わかってる、メリーナ。」
「ならいいけどな。」
男はこちらに戻ってきた。
「そういえば名前言ってなかったな。俺はハルドだ。呼び捨てでいい。ちなみにあそこのやつがメリーナだ。」
男は指をさしながら言う。
「俺はタケルだ。それよりも一人残してきて良かったのか?別に連れてきても良かったんだぞ?」
この世界では冒険者に名字は珍しいようなので名前だけ教える。
「いいのか?」
「別にこの席は誰のものってわけじゃないからな。」
「そうか、じゃあ呼んでくるから待っててくれ。」
そう言って元のテーブルへ戻って、メリーナと呼ばれた女性を連れて戻ってきた。
(これなら俺が移動した方が早かったか…)
考え、少し申し訳なく思ってしまう。
「メリーナだ。好きに呼んでくれ。とりあえず朝食を食べよう。」
「タケルだ。」
そう言って食べるのを再開する。
メリーナは少しつり目で、本人の言動もあって凛々しさがある。
「メリーナはこう見えて純情でな、俺が酔って服を脱いだだけでーー」
「黙ってさっさと食べろ。」
(おお、結構怖いな。)
「ハルドが絡んでしまってすまないな。」
「気にするな、どちらにせよ一人だったしな。」
「そうか。ならよかった。だが、一人で冒険者をやってるのか?」
「いや、いつもは二人でやってる。」
「ならいいが、一人は大変だからな。今日は狩りに行かないのか?」
「あー、どうするかな…」
(今日は自由行動だったな。そういえば昨日魔法覚えたんだったな。試しにやらなきゃいけないな。)
「少し狩りには行く。」
「今日は連れはいないのか?」
「ああ、今日は個人で行動だからな。」
「なら、俺達と来るか?」
俺とメリーナの会話を黙って聞いていたハルドが言ってくる。
「俺はいいんだが…魔法も最近使えるようになったばかりだからな。足手まといになると思うが?」
「はっ、わかってるよ。こう見えても俺達はDランクだからな。お前はなったばっかりだからGランクだろ。気にするな。」
「そうか、なら頼む。」
「おう。じゃあ飯食ったら早速行くか。」
「まだ、食べ終わってないのはお前だけだけどな。」
メリーナに指摘されハルドは急いで食べ始める。
ハルドすぐに食べ終わった。
「じゃあ、行くか。」
「タケル、お前魔法は使えるようになったばっかりって言ってなかったか?」
「ああ、そうだが?」
ウインドボールでオークの頭を吹き飛ばす。
火・水・風・土・光・闇属性魔法のlevel1は〜〜ボールらしい。
ヘルプはほんとに役に立つな。
「そうだがって…それ、初級のウインドボールだろ?
無詠唱ってだけでもすごいのに、その威力はなんだ!?」
「こんなもんじゃないのか?」
「…どんな魔力してやがんだ…」
オークを30体くらい倒し、冒険者ギルドへ向かった。
「タケルさんですね、魔石ですか?」
「ああ、そうだ。」
そう言って魔石を出す。
「多いですね。これを一人で?」
受付嬢は少し怯えているように見える。
「いや、あそこの二人と一緒だ。」
入り口の方にいるハルドとメリーナを指差す。
「なるほど。少しお待ちください。」
いつものように奥へ向かい、少しして戻ってきた。
「オークが32匹ですね。銀貨160枚となります。」
代金を受け取り、二人のところへ向かう。
「代金は3等分でいいか?」
「いや、タケルが半分以上倒してたからな。俺達二人で銀貨60枚もらえれば充分だ。」
「いや、それはさすがに貰いすぎだろ。」
「まあまあ、先輩からの贈り物として受け取っとけ。」
「そう言うならもらっとくが。ありがとな。」
「はっはっは、気にするな。今日は楽しかったからな。時間が空いたらまた一緒に組んでくれ。」
「ああ、こちらからも頼むよ。」
そう言って、二人と別れ、宿へ向かう。
(宿代は払ってあったな…)
「飯はもうできてるか?」
「ちょっと早いけど大丈夫だよ。」
女将の夕食を食べ、部屋に向かう。
「ステータス」
_________________________
ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:15(経験値 あと55でレベルアップ)
獲得経験値:545
体力:67/70
魔力:10580/10600
物理攻撃:95
物理防御:180
魔力攻撃:3200
魔力防御:4320
魔法適正:火・水・風・空間
ユニークスキル:創造
スキル:制限無効(level1)
魔法:火属性魔法(level1)
水属性魔法(level1)
風属性魔法(level2)
空間魔法(level1)
称号:ーーー
_________________________
(おー、結構レベルも上がったな。やっぱり魔力関係の伸びは…ん?魔法適正が増えてる?)
「通常は誕生と同時に魔法適正は決まり、変わることはありませんが、《創造》で作られた魔法が使われたことで適正が追加されました。」
(なるほどな。おっ!風属性魔法はレベルが上がってるな。音がないから当たりやすくて一番使ったからなー。さて、じゃあ今日は、とりあえず基本属性の土・光・闇を作って…あっ!耐性は別扱いなんだな。これは作っとかないと。これでいいな。)
《創造》
_________________________
ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:15(経験値 あと55でレベルアップ)
獲得経験値:545
体力:67/70
魔力:5280/10600
物理攻撃:95
物理防御:180
魔力攻撃:3200
魔力防御:4320
魔法適正:火・水・風・空間
ユニークスキル:創造
スキル:制限無効(level1)
魔法:火属性魔法(level1)
水属性魔法(level1)
風属性魔法(level2)
土属性魔法(level1)
光属性魔法(level1)
闇属性魔法(level1)
空間魔法(level1)
耐性:火属性耐性(小)
水属性耐性(小)
称号:ーーー
_________________________
(よし。ちゃんとできてーーー)
コンコン
「?」
(誰だ?そういえばノックってこっちにもあるんだな。)
「私だけど…少しいい?」
「フェルか。大丈夫だよ。」
「ごめん。寝るとこだった?」
「いや、もう少し起きてるつもりだったから。」
「そう…それで…その…」
「ん?どうかしたのか?」
「私、明日この街を出るわ。」
誤字・脱字がありましたら教えてくださると幸いです。