第14話 それぞれの考え(4)
結局一言も喋らないまま宿に着いてしまった。
フェルが宿の中へ入ったのを確認して、
俺は冒険者ギルドへ向かった。
受付へ行き、魔石を出す。
「売りたいんだが…」
「はい。魔石ですね。少々お待ちください。」
受付の人は奥へ向かい、しばらくすると戻ってきた。
「スライムの魔石が1つにゴブリンの魔石が5つ、
あと、オーガの魔石が1つですね。銀貨7枚と銅貨5枚になります。」
「ありがとう。」
そう言って冒険者ギルドから出る。
オーガの魔石はなかなか高く売れるようだ。
(そういえば今日も結構魔力使ったよな?一応確認するか…)
「ステータス」
_________________________
ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:5(経験値 あと5でレベルアップ)
獲得経験値:70
体力:24/30
魔力:1050/1100
物理攻撃:45
物理防御:80
魔力攻撃:350
魔力防御:520
魔法適正:ーーー
ユニークスキル:創造
称号:ーーー
_________________________
(あれ?俺は結構使ったよな…)
オーガには半分も使ったのだ。
それが50しか減っていない。
「魔力は常に回復し続けます。体を動かしていても、
消費するのは体力であって、魔力ではありません。
そのため、現在、今日のうちに580使った魔力は回復し、最大量から50減った状態となっています。魔力は回復し続けますが、睡眠をとったり、ポーションを使用することでより速く回復します。」
(なるほどな。)
ヘルプの説明を聞きつつ、宿へ向かう。
「ああ、やっと帰ってきたかい。」
宿に着くと女将に声をかけられる。
「契約は更新するかい?」
「ああ、今回は2日ぶん頼む。」
「そういえばさっきお連れの子が先に帰ってきたけど、何かあったかい?」
「フェルのことか?」
「ああ、なんか落ち込んでるようだったね。」
「そうか…すまないがもう一部屋空いてるか?」
「空いてはいるけど…」
「じゃあ、二部屋食事ありで頼む。」
「2日分でいいのかい?銀貨6枚だよ。」
「ああ。」
銀貨6枚を渡す。
残金は銀貨1枚と銅貨10枚だ。
(明日も魔物倒さなきゃな…)
「詮索するつもりはないけど、仲違いでもしたかい?」
女将が聞いてくる。
「あー、それがよく分からなくてな。」
「まあ、若いうちはそういうこともあるね。仲直りは早い方がいいと思うよ。はい、206号室の鍵だよ。タケルで登録しといたからね。」
「ああ、ありがとう。」
そう言って俺は階段を上っていく。
「部屋も一つにするなら言ってくれれば、お金は返すからね。」
その言葉に手を振って応える。
そして201号室に入る。
(ああ、フェルは寝てるか…)
部屋の中の様子を伺うと、ベッドの布団が盛り上がっていた。
(話しかけずらいな…明日でいいか。
鍵は…まぁ、大丈夫だろ。)
そして俺は206号室に向かい、夕食までひと眠りすることにした。
起きると、ちょうどいい時間帯になったようだ。
下へ降りていく。
するとそこにはフェルもいた。
フェルもこちらに気づいたようだ。
(無視するのもアレだよな…)
フェルの隣へ腰掛ける。
すると、女将は何も言わず、俺達の前にも夕食を持ってきてくれた。
お互いに何も言わず夕食を食べる。
(気まずい…)
「ね、ねぇ、タケル。」
「っ!?な、なんだ?」
急に声をかけられ少し焦ってしまった。
「その…明日は個人で行動しない…?」
「…わかった。明日の宿代はもう少し払ってあるから気にしなくていいからな。」
「さっき、女将さんから部屋分けたって聞いた。
気を使わせちゃったね。…ごめん…ありがと。」
「ああ。」
そう言ってからは会話は無かった。
そして、食べ終わると、互いの部屋に戻った。
(明日また話さなきゃな…あっ、そういえば、既存のスキルを作れるようになったんだったな。
もう、魔力は回復してるよな。でも、どんなスキルがあるか分からないな…)
「こちらが既存スキルの一覧になります。」
(なんかヘルプはかなり役に立つな。無かったらかなり苦労しただろう。それはいいとして、なにがあるかな…)
探していると、ある考えが浮かんだ。
(ん?もしかして…)
探すと、目的の文字を見つけた。
《制限無効》
迷わずそのスキルを手に入れる。
《創造》
「ステータス」
_________________________
ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:5(経験値 あと5でレベルアップ)
獲得経験値:70
体力:24/30
魔力:1050/1100
物理攻撃:45
物理防御:80
魔力攻撃:350
魔力防御:520
魔法適正:ーーー
ユニークスキル:創造
スキル:制限無効(level1)
称号:ーーー
_________________________
制限無効の文字をなぞる。
__________________________
制限無効:制限を無効化できる。スキルレベルによって無効化可能なものが追加
level1 ユニークスキル制限無効
level2 スキルレベル制限無効
level3 魔法制限無効
level4 種族制限無効
level5 全制限無効
__________________________
(…なんか、都合が良すぎで怖いな。)
確かに俺は《創造》の制限が無くせるかもしれないと思いスキルを探した。
(たが、初期状態のlevel1からその通りになるってどういうことだ?)
「創造のスキルで作られたからです。」
(ん?どういうことだ?)
「創造のスキルで作られたものは使用者の考えが元になっています。よって、level1から目的が叶うよう制限無効のスキルが変化しました。」
(…なるほど。改めてチートスキルだな。まぁ、せっかく手に入ったんだし、使うか。)
《制限無効》
「制限2《既存魔法創造》が解除されました。」
「制限3が《新規スキル創造》が解除されました。」
「制限4が《新規魔法創造》が解除されました。」
「制限5が《ユニークスキル創造》が解除されました。」
(おお!本当に出来たな。でも、何にするか。実際になると案外思いつかないな…えーっと、異世界もので必要なスキル…あっ、相手のステータスを見れるスキルとかか?なんて名前のスキルなんだ?)
ヘルプに質問をする。
「《鑑定》です。ですが、作る必要はありません。」
(えっ?なんでだ?)
「ヘルプ機能の一部として存在しています。」
(まじか…ヘルプってすごいな。もしかして他にもあるのか?)
「スキル名で表すと、《地形把握》、《索敵》、《測定》、《能力詳細》があります。」
(まじか…というか《能力詳細》ってなんだ?)
「スキルの制限の内容や解除法がわかります。」
(いつの間にか使ってたんだな。となると、何をつくるか…とりあえず魔法から作ってみるか。どうせ、明日も作れるんだし。魔法の一覧を見せてくれ。)
「了解しました。」
ヘルプに見せてもらう。
(うーん…結構あるな…なにかおすすめはあるか?)
思わずヘルプに聞いてしまう。
「空間魔法はどうでしょうか?魔石などを保管しておくことが可能です。」
(おおっ、返ってきた。空間魔法か…なるほどな。)
ヘルプの説明からするとマジックボックスとかそんな感じだろう。
(じゃあ、空間魔法と、あとは…普通のやつでいいか。)
《創造》
「ステータス」
_________________________
ヘルプ機能
名前:ミネギシ タケル(峯岸 武流)
年齢:15
職業:冒険者
Level:5(経験値 あと5でレベルアップ)
獲得経験値:70
体力:24/30
魔力:1050/1100
物理攻撃:45
物理防御:80
魔力攻撃:350
魔力防御:520
魔法適正:ーーー
ユニークスキル:創造
スキル:制限無効(level1)
魔法:火属性魔法(level1)
水属性魔法(level1)
風属性魔法(level1)
空間魔法(level1)
称号:ーーー
_________________________
(うん。ちゃんとできてるな。明日、試してみるか。)
スキルなどを作っているうちにかなりの時間が経ってしまったようだ。
俺はベッドに入り、すぐさま襲ってきた睡魔に抗うことなく眠りについた。
次回はフェル視点です。
誤字、脱字などありましたら、教えてくださると幸いです。
(次回はフェル視点と書きましたが、もう一つ後とさせていただきます。)