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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
112/117

第111話 デート報告 ルティ

ソリビア視点です。

タケル殿とルティ殿が帰宅した。

ルティ殿の顔を伺うに、満足のいくデートだったようだ。

明日は私の番だったな。

デートは初めてだが、緊張しないようにしなければ。

慌てると素の口調に…

(ん?というより、もう素の口調でも良い?)

私はもう王国に仕えている訳ではない。

タケル殿の許しを得たら口調を治すことにしよう。

(治すというよりは『戻す』だけどね。)

私は騎士になってからもう3年は経つ。

それほど経てば口調も乱れることは少なくなった。

(まだ慌てると戻っちゃうけど。)

いや、タケル殿と会ってからは多い気がするが、今まではこれほど多くなかったのだ。

(怖かったな…初めて魔物と戦った時の比じゃなかった。思わず漏らーー)

言い訳と思い出すことを止めよう。

傷口を抉るだけだ。

(でも、初めて会った時から…)

タケル殿は王子からの命令だというのに従おうとはしなかった。

3年間も騎士をしていれば、今回の件に似た案件も多々あった。

だが、タケル殿のように命令を覆したような方はいなかった。

抵抗をしようとする者自体が少数であったし、最初は抵抗していても、数人の騎士でもう一度尋ねるだけで、抵抗をやめた。

今回は魔物が多くいたため、私の所属している騎士団総員で向かった。

それでもタケル殿は従おうとはしなかった。

その時に私はなんて凄い人なんだろうと思った。

私は親の命令にすら逆らえず、騎士になり、嫌々ながらも続ける以外の選択肢を諦めていたというのに、王子の命令に逆らえる人間がいるのかと。

騎士団総員で向かっている時も、私はタケル殿に会えると胸が高鳴っていた。

この感情が恋慕であるのか、尊敬であるのかはまだわからない。

なにぶん初めての経験なのだ。

誰かに恋い焦がれた経験も、深い尊敬を抱いた経験もないのだ。

だから、明日、確かめようと思う。

(…でも、初めてのデートだし、楽しまなきゃ。)

深く考えていたが、確かめるのはいつでもできる。

だが、初デートは一度きりなのだ。

(明日はどんな服を着て行こうかな…)

「…ソリビア?」

「えっ!?…なんだろうか?」

(また口調が戻っちゃった…)

「いや、なんかぼーっとして食べてなかったからな。どうかしたのか?」

「いや、なんでもない。気にしないでくれ。」

「そうか。」

そう言ってタケル殿は夕食を食べ始めた。

私はタケル殿の顔を眺める。

今更だが、こうしてタケル殿の顔をまじまじと見たのは初めての事だ。

本人は15歳と言っていたが、もう少し若く見える。

こんなに若い子とデートなどしていいのだろうか?

私も騎士団の中では童顔と言われからかわれていたが、そこまでではないだろう。

(タケルくんからしたら私なんておばさんじゃない…)

今更ながらに歳の差で悩んでしまう。

(いや、ランちゃんとスメノスちゃんの方が年上なんだっけ?)

ラン殿とスメノス殿の方を見る。

実年齢はともかく、少なくとも私より年上には見えない。

(若いというより幼いって顔…)

もしかしてタケル殿は年上は許容範囲外なのだろうか?

(6歳差は、厳しいかなぁ…)

他人から見たらさらに差があるように見えるだろう。

(いや、まだ好きなのかわからないし。尊敬してるだけかもだし。)


今日もまたタケル殿を除いた全員で入浴する。

ルティ殿もネックレスを掛けている。

(いいなぁ…私なんて剣とか防具しか貰ったことないよ…)

貰ったとは言っても父からだが。

(そういえば、タケルくん、王様から何にも貰ってない。忘れてる?)

いや、私以外でだが。

「ルティはたくさん服を買って貰ったんだ。」

「ええ。レイラも買って貰ってたでしょ?」

「私は一着だけにして、またデートしても貰うつもりだから。」

「なるほど。そういう考えもあったわね。」

「あたしはどうしようかな?どっちもいいよね。」

服か。

私は服には困っていない。

「ルティ、綺麗な黄色だね。とっても似合ってると思うよ!」

「ありがとう。ランの青色の宝石も似合ってるわ。」

ネックレスは貰いたいものだ。

(いや、年上として私が買うべき?)

「…黄水晶シトリン。意味は、初恋。」

「合ってるわね。」

ルティ殿も安心したように頰を緩ませる。

(私は大丈夫?変な意味のものを選ばないように。いや、まずはタケルくんの世界にもあるものを選びたい。)

(明日はどこへ行こう?タケルくんに任せるのも年上としてどう?年上とか考えないべき?)

私はそのことを夜遅くまで悩むことになった。

ソリビアがくん付け、ちゃん付けをしているのは誤変換ではありません。

次回はソリビアとのデートになります。


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