表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
レビルム公国編
11/117

間話 第2王女の願い

1話の後の話となります

(やった!成功だ!これでお父様も褒めてくれるはず。)

「ようこそおいでくださいました。私はーーー。」

(もしかしたら、この子達の誰かなら友達になってくれるかもしれない!)

「誠に勝手ながら、ーーー」


その日の夜


「ーーーそうか、2人逃げたのか。」

「はい。どう致しますか?」

「どうするだと?」

吐き捨てるように言った。

「どうもしないさ。たった2人で逃げたところで土地勘もない。そのうち死体でみつかるだろう。放っておけ。」

「はっ!そのように。」

騎士は立ち去っていった。

「…。いったか。いちいち面倒なやつだ。」

騎士が出ていった扉を蔑んだ目でみながら呟いた。

「あの出来損ないはどんな気持ちだろうな。自分のしたことが取り返しのつかないことだと知ってーー」

男は口角を吊り上げた。



「嘘…」

「事実だ。逃げた2人以外のあいつらはもう奴隷となっている。」

「そんな…」

女ーー第2王女ウィチア・ファイルムは涙を浮かべ崩れ落ちた。

「お前のせいであの若者たちは奴隷になった。これからはメルニア王国の『兵器』として使われるだろうな。」

「っ!そんな…私のせいで…?」

さらに目元に涙が溜まり、どんどん流れていく。

「ああ。あの『兵器達』が死んだとしても、この国の被害は実質ゼロだ。まぁ、力が減るのは損失にはなるだろうがな。」

「うぅ…いや…わたし…こんなことのために、あの子達を呼んだわけじゃない!」

「全員知ってるさ。お前には伝えられなかったからな。」

ここは柵に囲まれたーー簡単に言えば『牢屋』だ。

中に入った者の魔力を吸い続けるように作られている。

第2王女は国王の名によって牢屋に入れられていた。

「じゃあな。今日が外に出れる最後の日だったんだ。今日のことを忘れず、死ぬまでここで生きるんだな!」

そう言って騎士は去っていった。

あの騎士ーーいや、メルニア国王の全ての騎士は第2王女に敬意などはらわない。

なぜなら彼女は、召喚の代償で『死んだ』のだから。

第2王女はもう外に出れないと悟った。

もし出れたなら奴隷になった彼らを解放できたかもしれない。

その希望は届かない。

そんな簡単なことは第2王女もわかっていた。

第2王女は若者たちに強く申し訳なさを感じていた。

深く後悔を抱いていた。

たが、その時、第2王女が考えていたのはさっきの騎士の言葉だった。

『逃げた2人』

その言葉が思考の全てを埋め尽くしていた。

(呼んだのは私で、私が呼ばなければ、こんなことにならなかったのはわかっている。そして私は何もしてあげることはできない。それでもーー)

暗い牢屋のなかで第2王女は願う。


「せめて2人だけでも幸せにーー」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ