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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
107/117

第106話 デート レイラ

レイラとのデートです。

楽しんでくださると嬉しいです。

朝、いつも通りに目を覚ます。

(今日は、レイラとデートか…)

昨日はスメノスに告白とキスをされ、次の日には別の人とデート…

(夢みたいだな。)

元の世界では告白をしたこともされたこともない。

好意を持たれたのも初めてかもしれない。

(幸福すぎるな…)

逆に大きな不幸が起こりそうで怖いな。

(まぁ、そうなったらなんとかするか。驕っているかもしれないが、そうなったらヘルプも手を貸してくれるだろ?)

「はい。あなたがそうしたいなら。」

(ありがとう。じゃあ、起きるか。)

ベットから出て、昨日はスキルを使っていないことに気づいた。

(ヘルプ、昨日のーー)

「つくっておきました。」

(すまん。これから暫くの間頼めるか?)

「わかりました。」

(ありがとう。)


2階へ降りると、レイラが朝食を作っていた。

今日はレイラとデートをすると考え、思わず緊張してしまう。

一度、深呼吸をし、声をかける。

「おはよう、レイラ。」

「えっ!?あっ、お、おはようございます、ご主人様。」

振り向いた顔は赤い。

(レイラも緊張してくれているんだろう。)

「何か手伝う事があるか?」

「いえ、大丈夫です。これでおしまいです。」

レイラが料理をお皿に盛り付け終わる。

「みんなを起こしに行くか?」

「いえ、ご主人様がよかったら朝からで、デートに行きませんか?みんなには昨日のうちに朝ごはんを作り置いておくと伝えてあるので。」

「いいぞ。なら、早速出かけるか。あまり遅いとお腹が空くだろ。」

「そうですね。行きましょう。」

レイラは俺の手を握る。

しかも、恋人繋ぎというやつだ。

「スメノスさんから、聞いたんです。嫌ですか?」

「だ、大丈夫だ。全然嫌じゃないぞ。」

緊張でレイラの手を少し強く握ってしまった。

「あっ、すまん…」

謝る俺を見てレイラは微笑みながら言う。

「ご主人様も緊張してくれているんですね。嬉しいです。」

レイラも少し強めに握り返してきた。

「…行くか。」

「はい。」


「まずはどこに行きたい?」

「服屋に行きたいです。ご主人様とのデートにこの服は合わないと思いますから。」

レイラは俺が最初に買った服をずっと着ている。

生活魔法があれば汚れたりはしないとはいえ、長い間同じ服はどうなのだろうかとも思っていたのだが、今まではあまり服を欲しがらなかったため今日のレイラの言葉は少し新鮮だ。

「わかった。どの服でも何個でもいいからな。いざとなったらすぐに依頼を終わらせてくるからな。」

「そこまでしなくていいですよ。」

「レイラこそ、遠慮しなくていい。」

「でしたら…また2人で服を買いに行きましょう。」

「ん?ああ、そうだな。」


服を買い、朝食を食べながら、この後の予定を決める。

「次はどこに行きたい?」

「次ですか。えっと、とりあえず散歩はどうですか?」

「そうだな。散歩しつつ何か欲しいものを見つけたら教えてくれ。」

「はい。ありがとうございます。」


「あっ…」

レイラが1つの屋台を見て声を漏らした。

視線の先にあるのは昨日もスメノスと立ち寄った屋台だ。

(そういえば風呂に全員で入っていたな。)

着替えの時にでもスメノスがつけているのを見たのだろう。

「寄ってみるか?」

「はい。お願いします。」

昨日と同じ店員だが、俺の事は覚えていないだろう。

「いらっしゃい。」

「ああ。レイラ、何か目を引かれたのはあったか?」

「えっと…もう少し見させてください。」

「ああ。焦らなくていいからな。時間はまだまだある。」

「…」

レイラは宝石を手に持ちながら眺め、元の場所に戻すことを繰り返している。

「…私には意味はわからないですし…」

レイラが呟いているが、なんのことかわからない。

「…これにします。いいですか?」

「ああ。勿論いいが、本当にそれでいいのか?」

「はい。なんとなくこれがいいと思ったので。ご主人様も付けてくださいね。」

「ああ。」

レイラが選んだのは黒のような石がついたネックレスで、店員に手渡すと鈍闇石ダルダークストーンと言われた。

光の当たり方で色が変わるためか値段は金貨5枚だった。

代金を払い、屋台を離れる。

「次はどこに行きたい?」

「次は…」

レイラの言葉が途切れる。

どうかしたのかとレイラの目を止めた方を見ると、調理器具の屋台があった。

「遠慮しなくていいからな。」

「ありがとうございます!」

レイラは俺の手を引き、その屋台まで歩いて行く。


調理器具を買い終え、今は公園のベンチに座っている。

「ご主人様、ありがとうございました。」

「お礼を言われるほどじゃないぞ。」

「そんなことないですよ。ご主人様は今までも私によくしてくださいました。」

「…そんな風に言われると、どこかに行ってしまうように感じるな。」

「えっ!?そ、そんな事はないです!」

レイラは首を左右に振りながら慌てている。

「わかってるよ。」

レイラの頭を撫でる。

撫でている間、時々公園で遊ぶ子供達がこちらを見ていたが、空気を読んだのかこちらに近づいてくる事はなかった。

レイラは頭を撫で始めてすぐに落ち着いていたが、つい撫で続けてしまった。

「落ち着いたか?」

「はい。」

レイラはきちんとベンチに座り直し、前を見る。

視線の先には子供達が走り回っている。

「子供は元気だな。」

俺の呟きにレイラが思わずと行った感じで吹き出した。

「そんな風に言うとお爺さんみたいですよ?」

「確かにな。」

2人で笑い合ったあと、暫く無言になる。

「…」

「…」

手は繋がれたまま、穏やかな時が流れる。

「ご主人様。」

「ん?なんだ。」

「私、子供、好きなんです。」

「へぇ、俺はどっちだろうな。身近にはいなかったからな。」

「いつでも、待ってますからね?」

「っ!どういうーー」

聞き返そうとして、勢いよくレイラの方を向いたところで、言葉は途切れた。

楽しそうに笑うレイラだが、頰や耳は初めて見るくらいに赤くなっている。

答えを聞くまでもない。

「え、えっと、まぁ。」

しどろもどろになりながら、なんとか返事を返そうとする。

「ふふっ、いいですよ。」

レイラは赤い顔のまま微笑んでいる。

今は(・・)ですけどね。」

そう言ってレイラはベンチから立ち上がる。

「そろそろ帰りましょうか。」

「わかった。転移するか?」

「お願いします。」

《転移魔法》を使い、家の前まで戻ってくる。

玄関の扉を開けようとして、

「ご主人様。」

声に振り返ると目の潤んだレイラの顔が目の前にあった。

「んっ…」


どのくらいの時間が過ぎたのかレイラの吐息が遠ざかっていった。

数秒だったのかもしれないし、数分がたったのかもしれない。

「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです!」

そう言って扉を開けようとするレイラを振り向かせる。

「…ご主人様?」

耳の端まで赤くなっている。

「俺も楽しかったよ。ありがとな。」

もう一度唇を触れ合わせる。

「あっ…」

顔を離すとレイラが声を漏らす。

レイラの手を引き、扉を開けた。

「えへへ、ご主人様!」

レイラが抱え込むように腕に抱きついてくる。

軽く頭を撫でると、レイラは嬉しそうに顔を緩ませる。

そうして、今日のデートは終わった。


また、数日投稿できず、申し訳ありません。

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