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ただただ、幸せに…  作者: 緋月夜夏
ムニシヤ王国編
101/117

第100話 眷属

前回で100話目でした。

何故か、感動しました。

ソリビアに今後使って貰う部屋を教えたところで、後はリリファに任せ、冒険者ギルドへ転移する。

「あっ、タケルさん。」

セレナがこちらに気づいたようなので、近づいて行く。

「本日の依頼の分ですよね?」

「ああ。出していいか?」

セレナが頷いたのを見て、空間魔法から出す。

「はい。いつも通りですね。代金は今、お受け取りになりますか?」

「頼む。」

「承りました。」

セレナは他の職員とともに魔物の部位を運んで行く。

「タケルさん!」

待っているとミアが声を掛けてくる。

「どうかしたか?」

「最近セレナの方ばっかりでは無いですか?」

「偶々列が短かったからな。」

「他意は無いんですか?」

「?何がだ?」

「それならいいんです。」

そういうと別の冒険者が受付にやって来てその対応に移った。

(なんだったんだ?)

「タケルさん、終わりましたよ。」

セレナが戻って来た。

転移ワープスライム36体、穴蛇ホールスネーク64体、実亀ベリータートル21体です。依頼は転移スライムが5体、穴蛇は10体、実亀は2体ずつですので、23個完了となります。転移スライムの魔石は金貨2枚、穴蛇の魔石は金貨1枚と銀貨6枚、毒袋が金貨1枚、皮が金貨1枚、実亀の魔石が金貨2枚と銀貨5枚、爪が銀貨5枚、甲羅が金貨2枚となりますが、甲羅のうち14個が割れているため金貨1枚と銀貨8枚となります。よって金貨334枚と銀貨1861枚になります。このままお受け取りになりますか?」

「ああ。そのままでいい。」

「畏まりました。…こちらが代金になります。」

硬貨を受け取り、冒険者ギルドを後にする。


転移して帰ってくると、夕飯は既に出来ているようだ。

テーブルに全員が座っている。

「ただいま。」

「おかえりー。何しに行ってたの?」

「依頼の代金を受け取って来たんだ。」

行く前に押し付けて行ったからな。

「あー。そういえば行ってなかったわね。」

「そうか。仲良くなれたか?」

「はい。仲良くなりました。」

「そうか。」

仲良くなってくれるなら何よりだ。

「じゃあ、早速食べるか。」

「「「「「「「いただきます」」」」」」」

(ん?)

「ソリビアは知ってたのか?」

「先程、レイラ殿に教えて頂いた。」

「へぇー、って、殿?」

「…おかしいだろうか?」

「いや、まぁ…珍しくはあるな。」

「あたしが呼び捨てでいいって言っても聞かないし。」

「私にとってはそれが普通なのだが…っと、タケル殿。」

「ん?どうかしたのか、ソリビア?」

「此度の件、本当に申し訳なかった。そして、救って頂いた事、心より感謝する。」

ソリビアが頭を下げた。

「ああ。いいぞ。過ぎたことだしな。それにソリビアが自分の意思でやったわけではないみたいだしな。」

「いや、私の意思だ。王子の命令であっても、実行したのは私だ。」

ソリビアが再び頭を下げる。

「私の事は奴隷、レイラ殿やルティ殿ではなく、世間一般の奴隷の扱いで構わない。」

「いや、そんなことしなくていい。」

逆に迷惑だ。

「そんなことより何かの役に立ってもらった方が何倍も嬉しい。」

「だが…」

「わかった。じゃあ、今から俺がすることを受け入れてくれ。」

「う、受け入れる?何をだ?」

見るからに狼狽している。

まぁ、主語がなかったからか。

「いいから。」

「いいって…どういう?受け入れる…はっ!」

(もしかして気がついたのか?)

俺が《眷属化》を使えると言った覚えはないが…

「も、もしかしてそういうことか!?」

「…」

「そんな…こんなところで…人前だぞ?」

ソリビアは頬を赤く染め、両手で左右から挟んでいる。

(うん。勘違いしてるな、これ。)

《眷属化》に恥ずかしがる事はない。

何と勘違いしてるかというと…

ソリビアは目を閉じているが、睫毛まつげが震えている。

(そんなこと人前でするか!)

どう考えてもそんな流れではなかったはずだ。

「《眷属化》。」

以前にレイラとルティにした時のような感覚があった。

《眷属化》が完了したのだろう。

「へ?」

理解できていないソリビアが目をしばたかせる。

「…《眷属化》は終わったぞ。」

「《眷属化》?」

「ああ。なんだと思ってたんだ?」

「…っ!?きゃぁぁぁ?!」

一瞬で顔が紅潮し、顔を隠していた。

ルティとレイラはそんな様子に微笑んでいる。

その様子を見て俺も頰が緩む。

(年齢が逆転してるな、たぶん。後でソリビアに歳を聞いておくか。)

「…ねぇ、タケル?」

リリファの声に振り向く。

「どう…した?」

顔は笑っているのだが、目が笑っていない。

「あたし、《眷属化》なんてされてない。」

「…そうだな。」

「あたしの方が付き合いは長いのに。」

「…」

(あれ?もしかして怒ってる?)

レイラの方に目を向けるが、我関せずという感じで夕飯を食べている。

他も同じ感じだ。

「今日会ったばっかりのソリビアちゃんには《眷属化》を使うのに、私には一言もそんなことより言ってくれなかった。」

「それは、リリファは奴隷とかっていうわけじゃないし。」

「そうだね。」

「その…ずっと一緒って訳じゃないから…」

「タケル、あたしと《妖精契約》したよね?」

「《妖精契約》?」

(したか?)

「冒険者ギルドでしていましたね。」

ヘルプの言葉で思い出した。

リリファが冒険者達に囲まれた後、俺と契約すると言って、緑色の粒が流れてきたんだったな。

「ああ。したな。」

「あれって、妖精族にとっては大切なものなんだ。」

「そう…なのか?」

「そう。契約者が生きている限り、破棄される事はないの。これからずっとタケルといるんだよ?」

「…怒ってるのか?」

「そうだね。私はずっとタケルといるのに、私だけ《眷属化》してくれないんだもんね。」

「…ごめんなさい。」

素直に謝っておく。

「…」

「…」

「《眷属化》して。」

「ああ。《眷属化》。」

リリファも《眷属化》する。

機嫌が悪い程度まで落ち着いたようだ。

そしてリリファはソリビア達と再び話し始めた。

(そんなに《眷属化》して欲しかったのか?)

「そうなのでしょう。『繋がり』ですから。」

(でも、《妖精契約》で十分じゃないか?)

「『繋がり』が1つでなければいけない事はありません。」

(よくわからないな…)

ヘルプと話していると服の袖を引っ張られる。

(ん?)

見ると、スメノスが椅子から立ち上がり、俺の横まで来ていた。

「どうかしたのか?」

「…私、だけ、してない。」

「いや、スメノスは神だし…」

「…《眷属化》。」

「いや、だから…」

「《眷属化》。」

「…」

「《眷属化》。」

「分かった。《眷属化》。」

スメノスに押し切られ、《眷属化》すると、座っていた椅子に戻って行った。

(スメノスもヘルプの言う『繋がり』が欲しかったのか?何のために?)

そんなことを考えながら、夕飯を食べ続けた。

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