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玄武さまと黒の花嫁  作者: 夜兎
1章 白蛇が導く
7/21

6


 用意されていた服は、どことなく着物に近いものだった。



(そういえば、あの人が着ていた服も着物っぽかったな……もう着物でいいや)



 上半身が裸だったのではっきりと見た訳ではないが、袖を抜いて腰でとめていたから、おそらく着方は大差ない。はず。

 上の衣は真っ白な羽織の様なもの。下は袴と形状がまったく変わらない。ただし、サイズが大きすぎる。羽織ってみなくても明らかに大きい。



「これ、もしかしなくても、あの人の……?」



 普段自分が着ている巫女服の2倍はあるだろう。形自体が大差ない分、大きさの違いがとても目立つ。

 滑らかで引っかかりのない肌触りは、使われている布がとても上質である事を示している。



「本当に、とんでもない事に巻き込まれたみたいね」



 高級なのが分かっているから、どうしても素直に袖を通す気になれず、意味もなく表面を撫でる。



(悩んだ所で、考えた所で。現状が変わるわけじゃないのだけど)



 今、色々考え始めたらどうしようもなくなってしまいそうで、鈴音は考えることを中止する。



「高級そうで怖いとか今は言ってられない、うん」



 自分に言い聞かせるように呟くと、手に取っていた服に見てため息をついた。



(怖いなぁ……)



 怖気づく心に気が付かない振りをして、巫女服を着るときと同じ手順で着込んでいく。



(やっぱり大きい)



 襟元をどんなに締めても、大きな袖の開きはどうしようもならない。袴の裾も長くて、まるで子供が大人の着物を着ているようだ。



「流石にこの格好で出ていくのは、ちょっと……」



 紐で袖を結んで、裾のギリギリまで内側に折り込む。

 綺麗な着物だからこそ、余計に情けなさが漂う。着られているとか、もはやそういう問題ではない。

 あまりにもみっともないであろう姿を予想して、何度めかわからない、深い溜め息が漏れていった。


閲覧ありがとうございました。

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