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玄武さまと黒の花嫁  作者: 夜兎
1章 白蛇が導く
4/21

3


(寒い……)



 今は夏の筈なのに寒いと自覚した途端、身体の震えがとまらない。身体が少しでも暖をとろうと、小さく丸まる。小さくなることで、熱が表に逃げないように。



「…………」



 震えながら身体を縮こませる鈴音の側に、暖かいものが寄り添った。

 毛布ではない、生き物の温もりが鈴音の身体を包み込む。自分の部屋では、まずあり得ない。



(ん、え、あ……?)



 明らかな違和感を感じ、ここでようやく意識が浮上し始める。もぞもぞと動くと、身体と温もりの間にほんの少し隙間ができた。



「目が覚めたのか?」

「へっ!?」



 鈴音の知らない、聞いたことのない渋い声。腰に来るような、低い声。はっと目を開けると、肌色が視界いっぱいに広がった。



「え……え?」



 すうっと視線を上に上げていく。



「おはよう、かな? 可愛らしいお嬢さん」



 認識したのはバキバキに割れた筋肉。と、言葉では言い表せない程に整った、男の、顔。



「あ……あぁ……」

「お嬢さん?」



 言葉も出ず、意味の伴わないうめき声を上げる鈴音を、心配そうな顔で男が覗き込んでくる。しかし、視界に入ってきたものとしては認識できているものの、とっくに思考回路が停止している鈴音は微動だにしない。

 男は、一切動かない鈴音を気にすることなく彼女の頬へ手を伸ばした。



「まだ、冷たいな……もう少しくっつくか」



 おもむろに頬に触れさせていた手を首筋へと移動させる。そのまま自らの方へ引き寄せた。

 肌に男の体温を直接感じる。



「き……」

「ん? どうかし……」

「きゃあーーーーっ!!」



 次の瞬間、鈴音の小さな手が男の頬をひっぱたく音が響いた。


閲覧ありがとうございましたm(_ _)m

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