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「軟禁、ねえ……君から見ればそうかもしれないなぁ」
「貴方からは違って見えるとでも?」
白虎が、玄武とは似ても似つかない存在だったら軟禁としか見えなかったかもしれない。だが、白虎と玄武は良くも悪くも似ているのだ。だから、鈴音を囲い込もうとする玄武の行動を理解できないことはない。
(結末まで、同じにならないことを願うばかりだがな)
答えが腑に落ちない様子の鈴音を見て、白虎は彼女に力を貸すことを決めた。
悲劇を、繰り返さない為に。
「なぁ、今の状況を変えたいなら手を貸してやろうか。文字ぐらいだったら教えてやるぞ」
「先程の答えを聞いていません」
「見え方は人それぞれだから、としか言いようがないだろう? 俺が説明した所で君が納得するとは思えないし」
白虎の言うことは最もだ。彼の答えがあっているかどうかは玄武にしかわからないし、説明された所で本人から聞かなければ鈴音は納得出来ないだろう。
行動の意味や考えを探るより、白虎の気が向いているうちに知識を吸収した方がよっぽどいい。
「……文字を、教えてください。今の私には、知識が必要です」
よしきた!と白虎は牙を見せて笑った。悪戯っ子みたいだ。
「それじゃあ明日、同じくらいの時間に来るから、絵本を用意しておいてくれ。絵を眺めるだけだと言えば怪しまれないだろう」
「今日からじゃないんですか」
「俺は虎だぞ? 筆が持てないからな、何か教材がないと」
前足を出してにぎにぎと動かされる。
「確かに、そうですね」
「それじゃー準備よろしく」
これで少しは、この世界を理解できるようになるかもしれない。
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目の前に出された"コレ"を見てみぬふり出来るほど、無関心にはなれない。
(肉球……)
柔らかそうな見た目。意外に綺麗な薄紅色。
猫の肉球そのものだ。
「……触るか?」
「さ、触りたいです!!」
「文字教えてやるって言ったときより食いつきいいな……」
更新が遅くなりまして申し訳ありません。
体調不良のため、しばらくは更新スピードが遅くなるかと思います。
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