胡蝶の夢編 其の壱
僕は祇斥真琴
今年から高校3年生になる平凡な高校生。
今日は大事な始業式の日なのであるが、目が覚め時間を見ると学校にぎりぎり間に合うか遅刻するかの時間だった。
「っげ!もう7時半じゃん!はやくでないと遅刻しちゃう!」
僕は急いで制服に着替え、何も食べずに学校に向かったのだが、家から学校までは遠く学校につくまで約1時間もかかる・・・。
家から最寄り駅、そして学校もまた駅から近いのだが、この登校の時間というのはほとんどが電車にいる時間で暇で暇で仕方がない。
駅についたらいつも乗ってるより時間よりひとつあとの電車がちょうど到着していた。
「ふー・・・危ない危ない・・・」
電車に乗って時間を見ると7時45分くらいだった。
だいたい8時25分に学校の近くの駅についてそこから走ればなんとか始業式に間に合いそうだ。
すこし安心した僕は家から走って疲れたから座ることにした。
座ってから気づいたのだが、向かいの席に白髪の自分と同じ制服を着た少年がいた。
制服の色も僕と同じだから同じ学年か。
今まで違うクラスだったのかこんな子見たことがないなー。
と、まじまじと見つめていたら目が合ってしまった。
お互い無言で目が合っているのだが、自分の知らない人と目が合うのは気まずい。
かといって何か挨拶する勇気もなかったからその場で目をつむってやり過ごすことにした。
目をつむってからどれほど時間がたつのだろうか、もうそろそろ目を開けてもいいかな。
目を開けると少年の姿はいなかった。それに気づくと同時にどこかの駅についていた。
「あれ?」
僕は少し目をつむって時間を過ごそうと思っていたのだが、どうやら寝てしまっていたみたいだった。
時間を見たら8時25分だった。
「やべ!ちょうど降りる時間じゃん!」
なんとか扉が閉まる前に駅に降りたところで僕は異変に気づいた。
「あれ…どこだここ…」
駅から見える景色は田んぼや山の景色が広がっている。
僕の知ってる駅だったらもっと家やお店があって人気のある街並みのはずなのだが、そこには人の気配なんて全くない不思議な空間だ。
もしかして乗る電車間違えてたのかなと持った僕は駅の看板を見た。
「如月駅?」
全く聞いた事のない駅だ・・・。
次の電車が来るまで待つことにした。
ベンチに目をやると、そこには白髪の少年が座っていた。
ほー、こいつも俺と同じで間違えて電車に乗ったんだなー。
せっかくの機会だから勇気を振り絞って声をかけることにした。
「僕は祇斥真琴!同じ制服だから同じ学校だよね!君の名前は?」
・・・
全く反応がない。僕が無言でじろじろ見ていたことに腹がたっているのだろうか。
「さっきはじろじろ見てごめんね・・・同じ制服だったからつい・・・」
謝っても特に反応がない・・・
「君も電車間違えてたのかな?ここってどこの駅なんだろうねー」
「君は胡蝶の夢って知ってるかい?」
やっと喋ったと思ったらなにやら意味の分からないことを言いだした。
どういう意味なんだろうと考えてるところで僕は目が覚めた。
夢にしては妙にリアルではっきりと覚えていた。
「ん・・・変な駅にいたと思ったらただの夢だったのか・・・最後の言葉なんだったのか聞いてから目覚めればいいのになー」
時間をみたらまだ7時だった。
学校の始業式にも十分間に合う時間だ。適当に準備して家を出よう。
電車に乗ったが夢みたいな変な駅につくことなく無事に学校につき、無事始業式を終えた。
教室に行き先生の話を聞いているとどうやら転校生がくるみたいだった。
どんな子が来るのだろうとすごいウキウキしていたが僕は驚いて口がふさがらなかった。
その転校生というのは夢に見た白髪の少年だったのだ。
「八神静慰です。自分の特徴は白い髪の毛なんですが、これは病気によるものなので染めてる訳じゃないです。よろしくお願いします。」
「じゃあ君は一番奥の端の席へどうぞ」
これはなんという偶然、僕の隣の席だった。
もうすぐホームルームも終わるだろうから帰るときにでも話しかけよう・・・
そうこういろいろ考えてるうちに帰る時間になったから話しかけた。
「静慰くん話があるんだけど!」
「なんだい?」
彼の白い髪、白い肌を見ていると妙に不思議な感じがしてならなかった。
「僕とどこかで会ったこと会ったりする?なんか会ったことあるような気がしてさ」
「いや、君と会うのは初めてだと思うけど。」
やっぱり僕の思い違いか・・・たまたま似ている子が夢にでただけでしかないのかな。
静慰の机のノートを見ると蝶の落書きがしてあった。
「蝶?・・・」
僕は夢で言われた胡蝶の夢という言葉を思い出した。
「そうだよ。蝶。蝶には深い意味があるんだ・・・」
静慰がそう言うと静慰は絵を見つめだした。
続けて静慰が言った。
「胡蝶の夢って知ってるかい?」
僕は一瞬にして静慰が怖くなった。
夢と全くおんなじ質問されるとは思っていなかったからだ。
「わ、わからないな・・・」
「夢に蝶となり自由に楽しく飛び回っていたところ目覚めるのだけれど、しかそれは夢で蝶となったのだろうか、蝶が見ている夢なのだろうか?って話。」
白髪の少年はにやりとした表情で僕に言ったのだった。