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魔導剣士による勇者の為のお助けキャラ?  作者: 雪氷見♪
1章 冒険者編
9/25

7話 冒険者ギルド登録 Ⅱ

 説明回です。名も無いギルド職員さんが頑張ります。

 

 

 

「準備が完了しました。それでは登録料の銀貨を1枚をお支払い頂いた後、冒険者ギルド証を発行させて頂きます」


 ユキはポケットを漁り銀貨を1枚取り出して職員に渡した。職員は銀貨を確かめた後、もう一度奥へ戻っていった。

 少しして職員が戻って来た。これから何処かに向かうらしく窓口から出て来る。


「それではこちらにお越し下さい」


 ユキが何処に行くのか訪ねてみた所、ギルド証は特殊な魔道具で作成するので、それがある部屋まで行く必要があるらしい。

 ユキは職員に続いて階段を上り、突き当りを右へ。職員はそこから、右手にある二つ目の扉を開いた。覗いてみると部屋の中は殺風景で中央にプリンターの様な登録用魔道具と思われる魔道具がポツリと1つだけ置いてあるだけだった。


「ここで登録を行います。手をこちらに乗せ、魔力を少量流し込んで下さい」


 そう言って職員はプリンター魔道具に近づき上部をパカッと開く。そこには掌をスキャンする為と思われる装置が。ユキは恐る恐る認証装置の様な場所に右手を置き、魔力を流す為の集中を開始した。


 ユキはこちらの世界に来てから何度も魔法を使っている。その為にある程度だが、魔力が知覚出来る様になって来ていた。目を閉じて体の中の魔力を探る。

 最初に心臓、次に肺、その次に血液が巡る血管と、発する魔力の強い順に感じ取る。感じる魔力の中で、ユキは血液中に含まれる魔力に集中した。血の巡りに乗って魔力が巡っているのを感じる。その中でも右手を巡っている血液に集中。ほんの微量ずつ掌を通じて魔力を機械に流していく。少しずつ、少しずつ、少しずつ、少しずつ........


「もう良いですよ。必要な魔力は頂きましたので手を放して下さい」


 職員に声を掛けられてユキの意識は浮上した。ハッとなって、言われた通り手を放す。入れ替わる様に職員が何らかの作業を始めたが、ユキはそれ所では無かった。


(おぉ…… 今のが魔力か……)


 ユキは静かに自分の右手を見て感動していた。その間に職員は作業を終えている。ガーーと言う印刷音?が聞こえ下部から銀色のプレートの様な物が出て来た。ユキは銀色のプレート――ギルド証を手に取って見るとユキの個人情報が記されていた。



――― 『ギルドカード』 ―――


Name :ユキ 

Rank :――

Age :17

Gender :男

Class :魔法剣士

clan :――

Special :マナ・キャパシティー=インフィニティ

      マジカルアイズ=ブルーローズ

     ――

      ――

     ――

Point :0pt

Total Pt:0pt


――――――――――――――



 記録で何度も見た光景だが、自分でやって見ると殊の外楽しいものだと、ユキは思う。ユキがニヤニヤしながらギルド証を見ている所は、小さい子供が新しい物を貰って喜ぶさまにそっくりである。その後ユキは、その行動を職員に見られていた事に気付き、悶え苦しんだのであった。



     ◆



 ユキと職員とエレミリナは登録用魔道具が置いてある部屋を出て下に降りた。今はランクについて話を聞いている。


「このように、ランクは全部で11種類あります。下からF・E・D・C・B・A・AA・AAA・S・SS・SSSとなっています」


 職員はランクの説明が書かれた紙を見せながら説明をしてくれている。用紙に書かれている表はピラミッド型で食物連鎖表や総人口分布表などを彷彿させた。

 職員は手で表の下部にあるF・E・Dランクを指した。


「F・E・Dランクは主に見習い冒険者と呼ばれています。紹介の無い方は皆、ココからスタートとなります。どのランクから始める事が出来るかはこの後、3時から行われる試験で決まります」


 さらりと言われた重要事項を素通りしそうになるユキ。


「えっと、試験ですか?」


 試験があるなど知らなかったのだ。急いでユキは脳内にある記録を探る。


(あ、コレか)


 知らなかった理由はすぐに見つかった。理由は単純明快で、


(勇者達全員、無条件でランクSスタートかよ……)


 同じ世界から来たのに待遇の差を感じてユキは少し悲しくなったのだった。


「はい、試験です。試験会場は裏手にある訓練場となっています。参加しなかった場合はFランクスタートとなります」


「分かりました」


 現在は2時11分なので開始まで少しだけ時間がありそうだ。まあ、散策するにしても宿を取りに行くにしても微妙な時間だが…… 悩んだ結果、ユキは鍛練場で試験開始前に軽く体を解しておく事にした。


「話を戻しますね。次はC・B・Aランクです。こちらに属する方々は中級冒険者と呼ばれます。Cランクの平均的な実力はオーク1体と互角に戦える程度です。Aランクの場合はオーガ1体と互角に戦う事が出来るくらいです」


「成程……」


 ユキは勇者の記録を見ているので、CランクやAランクがどの程度の強さなのかは既に把握済みだ。だが、何処に知らない事が転がっているか分からないので、きちんと職員の話を聞いておく事にする。勇者知識だけだとかなり不安なのだ。既に相違点が幾つか出ているのでユキは慎重を期す事にする。


「次のAAランクですが……ココからランクアップの仕組みが変わります。Aランクまでのランクアップは一定数の依頼の連続達成または一定のポイントの取得が条件でしたが、ココからは今までの条件にランクアップ試験が課されるようになります」


「すみません…… でしたが、って言われても仕組みが変わる前のランクアップ方法を詳しく知らないんですが……」


 予想通り不安的中である。ユキは勇者の記録によって変化後の仕組みは知っているが変化前のランクアップの仕組みは知らないのだ。


「申し訳ありません。説明不足でした。それでは説明させて頂きます」


「ん。お願いします」


 ユキは一つ頷き、仕組みが変わる前のランクアップ方法を教えて貰う。


「まず、ランクアップするには方法が3つあります。1つ目は連続で依頼を達成して規定数を満たす方法です。FランクからEランクへのランクアップは依頼を連続で3つ達成する事でランクアップする事が出来ます。EランクからDランクへは5つ、残りのDランクからAランクまでは全て10連続の達成が必要と成ります」


「成程」


 相槌を打ちながらこれは無いと切り捨てる。流石に1回のランクアップの為に10回も依頼を受けたくない。


「2つ目は依頼で獲得出来るポイントを連続で規定の点数集める方法です。F~Eランクは100pt、E~Dは250pt、D~Cは500pt、C~Bは1,000pt、B~Aは2,500ptと成っております」


「ふむふむ」


 段々と職員の説明が端折られ始めているのを感じるユキ。まあそんな事は如何でも良いので置いておく。

 ユキとしてはこの2つ目の方法はアリだと思う。依頼は自分のランクの1つ上まで受ける事が出来るのでptを連続で稼ぐのは存外楽にこなせると思う。


「そして最後の3つ目ですが……上級や特級冒険者、貴族や王族。他には高位のギルド職員などから紹介して貰う方法があります」


「俺には無理だな……」


 異世界での知り合いなどエレミリナしかいない。そしてまず、エレミリナは人じゃない。神様から紹介などされた日には上から下まで大騒ぎだ。はっきり言ってSSSランクになれるとしても絶対に嫌だ。そんな事で周囲から恨みや妬みを買いたくない。と言うかこいつに頼ると碌な事になりそうな気がしない。


「ねぇ、今物凄く失礼な事を考えなかった、かい?」


「気のせいだ……」


「どうかなさいましたか?」


「何でも無いですよ」


 不審そうにする職員にユキは営業スマイルで対応する。特に踏み込む気もないのか、職員はそうですかの一言で片づけた。


「以上がランクアップの仕組みに成ります。ご理解頂けましたか?」


「はい、ありがとうございました」


「それでは、上級冒険者の説明に戻りたいと思います。上級冒険者と呼ばれるのはAA・AAA・Sランクの冒険者です。S・SS・SSSランクの冒険者は特急冒険者と呼ばれています。」


「ん? あの、Sランクの人達の中に上級と特級と呼ばれている人がいるんですか?」


 ユキは感じた疑問をすぐに質問した。千回の記憶を探ってもそこが曖昧なのだ。ちなみに記憶を探った結果、勇者達は特急冒険者と呼ばれていた。


「はい、そうです。Sランクからは順位が付きます。その順位で500位以上の方は特級冒険者と呼ばれています。逆に500位未満の方が上級冒険者です」


「へー」


 納得である。勇者達のカードには最初から5人揃って「S-001」と書かれていた。5人共Sランク1位扱いだったらしい。ずるい、と心の中でぼやいたユキであった。


「Sランクより上位のランクに成りますと人数に上限が掛かります。Sランクは1,000人、SSランクが100人、そしてSSSランクが30人です」


「何と言うか……そこまで行くともう雲の上という感じですね」


「そうですね。ただ、絶対になれないという事はありません。努力し続ければSランクには入れます! Sランク141位のリーベルタ様がご自身で証明されました!!」


 急にハイテンションで語りだした職員にユキは唖然とする。他の職員は慣れているようで苦笑いしている。その間も職員は握りこぶしを作ってリーベルタと言う人物の事を雄弁に語る。その様子を見てユキは頬を引き攣らせた。


「それで無くても貴方は魔法という希少な才能を持っているのです! 大丈夫です。努力すれば貴方でもSランクに成る事が出っ――」


 熱弁している最中に職員が急につんのめった。もちろんずっと職員と向かい合っていたユキはしっかりと何があったかを捕らえている。ただ、あまりの早業に固まってしまったのだ。一体何があったかと言うと……

 その瞬間、一瞬で後ろから一人の職員が音も立てずに忍び寄り、熱弁していた職員にかなり強烈な一撃を打ち込んだのだ。しかも頭部に。

 ユキは躊躇無く同じ職員に一撃を加えた職員を見て更に頬を引き攣らせる。如何やらこの世界では口より先に手が出るらしい。くだらない事で元の世界と異世界の違いを再認識させられたユキであった。


 次回、ユキの初戦闘です。

 ギルドカードの『Special』については次回では判明しません。今後のお楽しみです。

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