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魔導剣士による勇者の為のお助けキャラ?  作者: 雪氷見♪
1章 冒険者編
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6話 冒険者ギルド登録 Ⅰ

 

 

 

「今のが最後の質問です。コレで魔法審問は終了します」


 ユキは内心で、やっと解放される……と安堵の息を吐いた。魔法審問が始まって彼是30分。その間の時間は、作り笑顔+常識的な質問の二つによりユキの精神ライフが削られて行く、魔の時間帯だった。

 ユキはうーんと伸びを一つして。軽く深呼吸。そこで声を掛けられた。


「それではグァネストの街をお楽しみ下さい」


「はい! ありがとうございました」


 互いに頭を下げる。ちなみに町に入るのに必要な入場料は服の下から取り出したちょっと上等な短剣を割安で換金して貰って払った。

 結果、現在の所持金は銀貨12枚と大銅貨6枚となっている。日本円に換算すると約126,000円だ。ぶっちゃけ錬金術師と武器職人の2つの職業で一生暮らせるのでは?と思ったユキであった。

 ちなみに貨幣の価値だが、下から銅貨1枚=100円、大銅貨1枚=1,000円、銀貨1枚=10,000円、大銀貨1枚=100,000円、金貨1枚=1,000,000円、白金貨1枚=10,000,000円だ。


 それはさておき。仮入領許可書を受け取ってユキは街へとくり出した。その頃には、ドラゴン襲来による避難警報は解除されていた。



     ◆



 ユキは衛兵に聞いた道を通って冒険者ギルドへと向かう。先に宿を取るべきかとも思ったが、確実な身分証を手に入れたかった為に冒険者ギルドを選んだ。


「で、ココが冒険者ギルドか」


「うん、そうだねー」


 1,000回の記録の中で何度も見た建物だ。盾の前に剣と杖を交差させたギルドマークが特徴的だ。そして、冒険者ギルドと言って想像する酒場の様な建物では無く意外と小奇麗な建物である。

 中途半端な場所で立ち止まって外見に目を向けていたが、立ち止まっていては邪魔になるので早速中に入る事とする。


 中に入ると酒の匂いが……微かにしない事も無いが大した匂いでは無い。何ともテンプレを破って来るギルドだ。

 また、立ち止まってしまっていたのに気が付き、急いで冒険者登録窓口へと向かう。並んでいるのは2人。どちらも10歳位の男の子と女の子だ。金髪がそっくりなので恐らく双子の兄妹だろう。もしかしたら姉弟かも知れないが、まあどちらでも良い。そして今は少年が登録用紙と思われる紙を書いている。

 ユキは二人の少年少女の後ろに並んだ。コレでユキが金髪だったら3人兄妹に見えるのかもしれない。ちなみに身長は、ほんの少しの差で少年>ユキ>少女だ。ユキが先程の疲労によって欠伸をしていると少女が話しかけて来た。


「貴方も今日が誕生日?」


「ん? ああ、違う違う。ただ、色々あって今まで登録出来て無かっただけだよ」


「へー、そうなんだ。名前は?」


「ユキだ」


「ユキちゃんって言うんだ! ユキちゃんは剣士? カッコいいねぇ~」


 ちゃん付けにうんざりしながらも、純粋にカッコいいと言ってくれているのが分かるので少しだけ嬉しそうに頬を掻くユキ。ただ、しっかり訂正を入れるべき所はツッコむ。


「俺は男だ。ちゃん付けはやめてくれ。あと俺は魔法剣士だ」


 本当は魔導剣士と名乗りたいが、魔導師と呼ばれるのは国や冒険者ギルド、魔導師協会などの公的機関から認められた人材だけだ。下手に名乗ると即逮捕だ。


「えぇ!? 嘘だよっ! そんなに可愛いのに男の子な訳無いよ!」


「マジで可愛いは勘弁してくれ……」


 ユキはゲーム時代に幼馴染や妹達から言われ続けた言葉に辟易する。ただ、小さい子に怒鳴るような真似もしたくないのでこれ以上のツッコミは諦める。


「ローネア終わったぞ」


「あ、お兄ちゃん! うん、分かった!」


 少年が用紙を書き終ったらしい。そして少女の名前はローネアの様だ。ローネアを見ていてユキは少し妹の事を思い出す。喋り方やお兄ちゃんと言う単語に反応してしまったのだろう。


「妹が迷惑を掛けたみたいだな。すまない」


 そう言ってローネアの兄は頭を下げた。だが、ユキの視線はいまだにローネアに固定されている。ただ、すぐにハッとして誤魔化しを図る。


「……あっ、あぁ。問題無い大丈夫だ。それより、ローネアの登録は良いのか?」


「ああ、問題無い。俺が一緒に書いて出して置いた」


「そうか」


 正直、聞くほど興味が無かった事を何故聞いてしまったのか自分でも疑問だが、多分、妹へのお節介に近いモノが発動してしまったのだろう。


「ちょっと急いでるんでな、悪い。それじゃあな」


「ああ、うん。なんだか分からないが気を付けてな」


 本当にローネアの兄が急いでるのが分かるので潔く見送る。もう少し、ローネアと喋っていたい気もしたが、用事では仕方が無い。


「ああ、そうだ。俺の名前はガレルだ」


 急いで出て行こうとするローネアの兄――ガレルが去り際に自己紹介して来た。ユキも同じ様に返事を返す。


「ユキだ」


「そうか。じゃあ、またな。俺はもう行く。おい、ローネア!お前も行くぞ」


「え…… う~…… ああ、待ってよお兄ちゃーん!!」


 ユキの袖を掴んで名残惜しそうにしていたローネアだが、走って行くガレルにおいて行かれない為に走って行った。

 嵐のような二人に翻弄された気もしないでは無いが、もう会う事も無いだろうと思いユキは二人の出て行った扉から視線を切った。


「冒険者登録窓口ですが、お間違いはありませんね?」


「あ、はい。登録します」


 声をかける前に冒険者登録窓口の職員に声を掛けられた。如何やら待っていてくれたらしい。

 職員は声掛けと同時に書類を並べだした。ユキは素の返事を返しつつ、差し出された書類に目を通そうとする。だが、職員から待ったが掛かった。


「紹介書などはありますか?」


「いえ、ありません」


 如何やら大事な事らしい。ただ、貴族に繋がりなど無い。寧ろコレから魔法学校に作りに行くところだ。そんな訳でユキは再び書類に視線を落とした。

 差し出された書類は4枚ある。1枚目が冒険者に成るにあたっての注意事項を記した用紙、2枚目が登録に必要な個人情報を書く登録用の用紙、3枚目が冒険者のマナーやルールを記した用紙、最後がギルドの仕組みとギルド証の仕様についてだ。


「文字は読めますか?」


「大丈夫です」


 用紙をペラペラ捲っていたので文字が読めないと思われたらしい。否定し1枚目の注意事項の用紙からサッと目を通していく。

 ちなみに異世界の文字なんてユキが何時覚えたかだが、ユキは言葉だけで無く文字についてもエレミリナから記録を渡された時に覚えていた。他にも多種族の言葉や文字も使えたりする。如何やらユキは武器職人だけで無く、通訳でも食べて暮らせるらしい。


 ざっと注意事項を最後まで読んでみたところ、問題に成りそうな項目は無かった。かなり当然と言えるものばかりだ。

 例えば、周囲に迷惑を掛けるな、問題を起こすな、起こしたとしたら自分たちで解決しろ。冒険者ギルドは一切関与しない。ただし、正式な決闘は認める。だとか。

 依頼で命を落としてもギルドは保証しない。冒険者の登録には銀貨1枚が必要。ギルド証の再発行には銀貨5枚が必要。依頼を失敗した場合、ペナルティーが発生する。などだ。


「注意事項に関しては問題無いです。次の登録用紙を書けば良いんですか? それとも先に3枚目のルールやマナーについてを読んだ方が良いですか?」


「先に登録用紙をお書きください」


「ん。分かりました」


 こくりと頷き。個人情報を書いて行く。

 名前。年齢(生年月日は無かった)。性別。と来て、住所。住所は居住場所または泊まっている宿と言われた。まだ、宿を決めていないと職員に伝えると後でおすすめの宿を紹介して貰える事になった。

 続いて、職業。剣士にするか魔法使いにするかで迷い、結局決められず魔法剣士と書いた。本当は魔導剣士と書きたかったが、ユキは国家に魔導師として認められていないので泣く泣く諦めた。

 あとはパーティーだが、基本スイ達と組むつもりなので、今は取り敢えず『ソロ』と書いておいた。


「こんな感じで良いですか?」


「え゛? 年齢間違ってませんか?」


 迷ったが年齢は17歳と書いた。魔法審問を受けた時、ギルド証の記載が嘘だと面倒くさい事になるので本当の事を書いた。ただし、元の世界での年齢だが。まあどちらにしろ嘘で無ければ問題無いのだ。


「17歳ですよ?」


「嘘ですよね?」


「いえ、本当です」


「情報が間違っていた場合、登録は出来ませんよ? 本当に嘘では無いんですよね?」


「はい」


 さすがに鬱陶しくなって来たので少しだけ怒気を乗せて頷く。職員は素直にそこで引いた。相手の機嫌を見て対応出来る所は流石だろう。窓口を任せられているだけの事はある。


「それでは、手続きを行わせて頂きます。あちらの待合所でお待ちください」


 そう言って職員は個人情報の用紙を持って奥に消えて行った。ユキは3枚目と4枚目を持って待合所の椅子に座って待つ事にする。

 ユキは少し高い椅子に飛び乗って3枚目の用紙を読む。読んで見たところ、3枚目のルールとマナーは1枚目の注意事項と特に変わらない。4枚目の冒険者ギルドの仕組みとギルド証の仕様の用紙は、読んでいて面白いモノが多かった。


 特に面白かったのはポイントシステムだ。依頼1つ1つにポイントが設定されていて、依頼達成時に加点、失敗時は減点されるらしい。ポイントはアイテムや回復薬、装備といった物から、日用品や権利、紹介状といった物まで交換可能らしい。


「ふーん。やっぱ、色々考えてるんだな」


「流石に考え無しが運営しているんじゃ、既に冒険者ギルドは潰れて無くなっているんじゃない、かな?」


「ん。そうだな」


 ユキがエレミリナと話をしていると職員に呼ばれた。

 そして、窓口で微妙な顔をしている職員を見てユキは、周囲から見ると自分が独り言を言っているように見えるのだと今更気付いたのだった。


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