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魔導剣士による勇者の為のお助けキャラ?  作者: 雪氷見♪
1章 冒険者編
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1話 女神の依頼


「んーー!!」


 とあるVRMMO内で腰まである長い銀髪を持つ少女……のような見た目の少年――ユキは伸びをしてから、両手に持つ2本の刀を鞘に戻した。そのあとアースドラゴンを倒した事によって表示されたリザルトウィンドウを確認して閉じる。


「たっ……はぁ…… やっとLV300達成したし、戻ってログアウトするか」


 ユキは軽く息を吐いたあと、そう呟いて後ろを振り向き町に戻ろうとして足を止めた。


「色が、消えた?」


 ユキのその呟き通り周囲から色が消えた。そして、時が停まったかのように空を飛んでいたワイバーン達は動きを止めていた。否、実際に時が停止していた。


「やっと、見つけた!」


「誰だ?」


 突然背後から聞こえた声に反応してユキはすぐに振り帰る。すでにそこにはアースドラゴンの死体は無く、代わりに金色の髪を持つ少女がいた。ただ、この少女ネーム表示はおろか、HPバーさえない。


「あからさまに怪しいな。LV300で発生するイベントか?」


「えっと、何をぶつぶつ言ってるの、かな?」


「ああ、何でもない。何でもない」


「……そうかい?」


 ユキは少女に適当に返事を返しながら状況を整理する。


(まず、俺はアースドラゴンを倒してLVが300になった。そんな時にタイミング良くイベントが起こるってことは十中八九で何かのクエストが発生する前兆だな。LV100やLV200に到達した時もクエストが発生したしな)


「突然だけど君にお願いがあるんだけど……聞いて貰える、かな?」


(よし、来た!)


「分かった」


 ユキは話を進める為に少女に向かって頷く。


「良かった! お願いって言うのはね。君に依頼をしたいんだ。報酬は君の存在を制限する枷を外す事で如何、かな?」


「枷?」


 ユキのその言葉を遮るように少女は話しをさらに続ける。


「それで肝心の依頼だけど…… 勇者が召喚される10年前まで行って勇者が過ごしやすい環境を整えたり、魔神との対決の手助けなどをして欲しいんだ。頼める?」


「勇者? 魔神? 10年前?」


 次々と出て来る単語に戸惑うユキ。意味の分からない単語や聞き覚えのありすぎる単語に実現不可能な単語と頭の中の整理が追いつかない。ちなみに聞き覚えの在る単語は『勇者』で、ユキが所属しているギルドのメンバーに職業『勇者/ユニーク』のメンバーがいるからだ。


 ちなみにこの職業というものは、よくあるMMOでの職種やジョブ等と同じものだ。1つ目はゲームスタート時にランダム決まり、2つ目以降は沢山ある選択肢の中から選んで取得する事と成る。容姿や所持金、ステータス値なども全てランダムだ。唯一本人が決められた事と言えば名前くらいだろう。


 そして職業も好きな時に取りたい放題という訳でも無く、2つ目以降を取得しようと思うと1つ前の職業LVを50以上にする必要がある。あと、ユニークは「唯一」の意味で取得できるのが一人の職業についている。


 ユキの職業は、1つ目が『魔導剣士/ユニーク』で、2つ目が『二刀流』、3つ目が『神刀の王/ユニーク,エキストラ』、4つ目が『禁呪師』、5つ目が『結界術師』、6つ目が『軽業連技師』だ。『神刀の王』にエキストラが付いている理由はユキも良く分かっていない。


「それで……受けてくれる、かな?」


(存在の枷……か。LV300の上限解放とかって事か?とりあえず……受けるしかないよなぁ)


 ユキは少女の言葉の意味を想像して結論を出す。


「分かった。受ける」


「よ、良かったー…… それじゃあ今から10年前に向かうね」


「早っ! 準備するからちょっと待てっての!」


「あ、そうだよね。ゴメンね…… じゃあ、準備が終わったらコレを鳴らしてくれる、かな?」


 そう言って何処からともなく取り出した笛をユキに渡す。


「それじゃあ、待ってるね。あ、あと最後に。私の名前はエレミリナよろしくね?」


 ユキがその問いに返事をする前に少女は何処かに消えてしまう。そして少女が消えたのと同時に世界に色が戻ってきた。


「ふぅ…… 一応、イベントの発生には成功したんだよな?」


 少し心配になりながらも、笛をポケットにしまい、早速準備に取り掛かる事にする。まず最初にユキが行うのはシャツの上に着ているコートのポケットに入っている投擲武器の残量を確認だ。


「ナイフの残りは529本、1m針が97本、50㎝針が360本、30㎝針が212本、円刃が177個か」


 ポケットに手を突っ込んで徐にそう呟く。何ともツッコミどころ満載な事を呟いたユキだが、実際にポケットの中にはそれどころでは無い量のアイテムが入っている。

 どうしてそんな事が出来ているかというと、ユキがイベントで手に入れた防具に「魔道具化」を掛けて魔道具化し。特殊効果に「魔道具化」「共有化」「魔力硬化」「魔力浸透」「魔力浸透」「魔力浸透」「魔力浸透」「魔力浸透」「格納」「格納」「格納」「排出」「排出」「排出」「排出」「排出」「排出」「排出」「拡張」「拡張」「拡張」「拡張」「拡張」「軽量化」「軽量化」「軽量化」「軽量化」「軽量化」「軽量化」「軽量化」を付与したからだ。


 それで肝心の特殊効果だが、「共有化」は服についている全てのポケットの何処からでも入れたアイテムが取り出せる効果で。元々1つのポケットにつきアイテムが100個まで入れられる付属効果を持っていたのに、それを共有化した所為でどのポケットからでも600個まで出し入れ出来るようになってしまっている。他にもインベントリとポケットのアイテムストレージが共通化する効果がある。ただ残念な事にこの効果が死に効果で、インベントリに大量のアイテムが入っていたために容量が足りなくなってしまった。


 そのためユキの防具のポケットには「拡張」を5つ付与されている。「拡張」はそのままの意味でポケットの容量を拡張する効果で1つに付き必要になるコストも増える容量も倍々に増える。なので5つ付与されているユキのポケットには600×32で19,200個まで物が入るのだ。


 そしてこの「共有化」の死に効果。まだ欠点がある。ポケットの中身の重さは100分の1に軽減されるだけなので重量はとんでもないモノになってしまっているのだ。そのため「軽量化」を付与できる最大の7重まで掛けて重量を半分の半分の半分の半分の半分の半分の半分、つまりは12,800分の1まで減量している。まあ、それでも塵も積もればで結構な重さなのだが……


 あとは残りの「魔力硬化」「魔力浸透」「格納」「排出」の4つの効果だが、「魔力硬化」はMPを消費して瞬間防御力を上げる効果がある。具体的には5倍まで跳ね上がる。ただ、MPの消費がかなり激しいので使い続けるのはまず無理だ。「魔力浸透」は防具にMPが透り易くなる効果で「魔力硬化」で使う消費MPを軽減し、効果を少し(数値だと1.2倍ほど)高めてくれる。5つ付けているがこれでも「魔力硬化」を使い続けると魔法や魔術、魔導を一切使わなくても30秒弱でMPが枯渇する。


 「格納」はユキから3m以内のモノをポケットに収納できる効果だ。3つ付けているので同時に3つまで収納できる。「排出」はその逆でユキから3m以内にポケットの中のモノを排出できる効果だ。「排出」は最大数の7つまで付与しているので7つまでの物を一瞬で出せる。ユキの本音を言えばもう1つ付与して両手の指に一瞬で針やナイフを出現させるなどをしたかったのだがそれは叶わなかった。


 ユキは着々とポケットの中身の確認作業を進め、最後に回復アイテムの残量確認を終えて次の行動に移る。次に行うのは2パーティーに分けて別の場所に狩りに行かせていた神刀の少女達との合流だ。


「聞こえるか?」


『ご主人様? 如何されましたか?』


『お兄様? どう致しましたの?』


 ユキは刻印通話を使い各パーティーを纏めている2人、スイと黄伊に呼びかける。少しして刻印から2人の返事が帰って来た。返事を受け取ったユキは戦闘を中断して戻って来るようにと指示を送る。


 数秒後、スイのパーティーが刻印転移を使用してユキの元に戻って来た。そのあと、少し遅れてもう黄伊のパーティーも転移してくる。


「ご主人様!スイ並びに赤羽あかは、フウ、茶耶さや、ハク、黒凪くろな戻りました!!」


 先に転移して来た方のグループを統率しているワンピースの上にメイド服という変わった格好をした青髪の少女・スイが元気よく言う。その顔には「ご主人様!数時間も狩り頑張りましたよ!褒めて下さい!」と書いてある。ユキは苦笑しながらお疲れ様と先に帰って来た6人の頭を撫でていく。そしてこの微笑ましい光景をさらに微笑ましくしている事が一つあった。ユキが身長の問題で若干背伸びになっている所だ。ちなみにこの場合はスイの身長が高いのではなくユキの身長が低いのだ。そしてユキが6人を撫で終わったのを見計らって癖っ毛の強いプラチナブロンドの髪の少女が口を開く。


「お兄様!わたくし黄伊きい紫乃しの藍歌あいか、ムク、ソラ、トキと共に生還しましたわ!!」


 先程と同じで全員の頭を撫で回したあと、ユキは全員に刻印化しているように命じる。その指示に従って一人、また一人と目を閉じたあと光と成ってユキの手に刻まれている刻印に宿って行く。


「さて、コレで準備出来たか?」


 彼女達が全員刻印化したのを確認して呟く。一応、最終確認でやり忘れが無いか確認したあとユキは笛を取り出して鳴らした。

 このとき、この瞬間、最終確認時にユキがウィンドウを開いて時間を確認していれば気付く事が出来ただろう。あのとき、少女エレミリナと会話していた時間に本当に時が停まっていた事に。


 笛の音が鳴り響き、再び世界から色が消える。


「準備は出来た?」


「ああ、良いぞ」


「それじゃあ始めるね」


 その言葉を皮切りにエレミリナの全身が輝きだす。その輝きは次第に強くなっていき目も開けていられなくなる。エレミリナから発されるそれは絶対的な力そのもの。それは世界のことわりをも捻じ曲げる事の出来る力。その力に耐え切れなくなった世界が軋み、ひずみが生まれ、砕け散る。


「――時界渡り――」


 その言葉を最後にユキの意識は途絶えた。



     ◇



 ユキは夢を見ていた。その夢は誰かの記憶の一部。途中、水面に映った自分の姿を見てコレが誰の記憶かを悟る。


(ああ、これはあいつの……エレミリナの記憶か。)


 頭の中に知らないどこかが浮かび、消え、浮かび、消えを繰り返す。知らない情景、知らない言語、知らない人種……

 続いて何かが壊れる音がした。ガラスが割れるような音だ。それが続けて3回も鳴り響く。そして5つ目の何かにヒビが入る音がしたところでそれは止まった。


(今のは壊れたのが……『枷』か)


 何故かは分からないが今壊れたのが自分の枷だと分かった。枷は存在を縛り付ける10の鎖。それでいてその存在を固定させるのに必要な鎖。枷が……鎖の1つでも壊れればその存在は自我を保てず消滅する。


 それが世界のことわりだ。ただ、何事にも例外は存在する。この場合の例外は神だ。

 ユキのことわりは時空女神・エレミリナの手によって歪められた。運命も、宿命も。指針は崩壊し、ユキの存在は魂は世界から切り離される。


 突然の浮遊感。世界から解き放たれたというよりも置き去りにされたような感覚。


(ああ、俺は……)


 ユキはそのとき何を思ったのか。それはユキの意識の覚醒という横槍により永劫の闇の彼方に置き去りにされたのだった。



 お読み下さりありがとう御座いました!!ブックマーク登録に文章評価、それに感想などなどお待ちしております!

 基本は1週間更新の予定ですが今日は思い切って6時間に1話ペースで更新するつもりです。それではこれで0話の後書きをお終ります。次話も読んで頂けると幸いです。

 それとユキが壊れスペック過ぎるので次の話にユキの具体的なステータスを乗せておきます。

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