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魔導剣士による勇者の為のお助けキャラ?  作者: 雪氷見♪
1章 冒険者編
15/25

13話 討伐依頼【ニードルラビット】【ミル・アルミラージ】

 貨幣の価値を修正しました!以上!

 

 

 

 ホワイトウルフ5匹の群れを討伐した後、ユキは7匹の群れを狩り、続けてふわふわと浮かんでいたホワイトミストを10体消滅させた。そして、先の二種の討伐証明部位であるホワイトウルフの右奥の犬歯とホワイトミストの消滅した後に残る魔石を回収する。残ったホワイトウルフの死体は魔石を抜き取ってインベントリに収納した。目的を達したユキはすぐさま移動を開始する。


 場所を移動してスノウマンとホワイトモンキーの生息地域へ。スノウマンは‘爆裂’で頭部を吹き飛ばし、ホワイトモンキーは飛び掛かって来たタイミングで首を刎ねる。ユキはそれを淡々と行う。

 こうして、二種の魔物を目標数討伐し終えた後、インベントリに収納していた魔物を取り出して討伐証明部位と魔石を手早く解体して取り出す。それが終わるともう用は無しとばかりに、次の標的であるニードルラビットとミル・アルミラージの生息地域へと移動した。


 と、言う訳でユキは現在その二種の魔物の生息地域に来ていた。


「むぅ……出て来ない。ハァ……仕方無いか……」


 だが、一向に標的の魔物が出てくる気配が無い。ユキは仕方無く、とある魔法を発動する為に準備を開始する。

 “月鏡刀”に時空属性の魔力を流し、足元の雪に魔法陣を描いて行く。これは魔法発動の為の真面目な作業なのだが……悲しきかな、傍から見ると雪遊びしている子供にしか見えない。まあ、誰も見ていないので問題無い。

 描き終えると魔法発動の為に魔法名を唱える。ただその前にユキは呪文を割り込ませた。


「〝広がれ・広がれ・広がれ″‘サーチ・テリトリー’!!」


 割り込ませたのは、聞いての通り効果範囲拡大の呪文加修プラススペルだ。

 魔法が発動し、ユキから円状の魔力が広がって行く。そしてすぐに目標の魔物の群れが魔力に引っかかった。


「見つけた。ニードル4にミル・アラが1。ニードル7にミル・アラ2。ニードル5にミル・アラ4。ニードル3にミル・アラ1……か。取り敢えずニードル4、ミル・アラ1の所から潰すして回るか」


 ユキは宣言通り、ニードルラビット4匹とミル・アルミラージ1匹の群れに狙いを定める。すぐさま空中を蹴って目標を急襲する。まず横を通り抜ける際にミル・アルミラージの首を断つ。突如、群れに割り込んで来た異物に対して驚きで固まっているニードルラビット4匹にユキは時間を与えない。

 続けざまに握っている“月鏡刀”と腰に携えている“火月刀”“水鏡刀”をインベントリへと収納する。そして瞬時に“月鏡刀”を腰の鞘に排出し、“火月刀”“水鏡刀”の二本を両の手へと排出する。

 ユキは二本の刀を握り込むと、一番近いニードルラビットの腹部を切り上げ本体を浮かし、もう一方の刀で袈裟懸けに斬り殺す。死体となったニードルラビットは即時インベントリに収納して、ユキは次の獲物へと移る。


 余談だがこの即時にインベントリに収納する行為、ちゃんとした理由がある。

 一つはHPバーが無い為、分からない死亡の確認だ。生物の収納は基本的に出来ないので収納できた場合その生物は死体。つまりは死亡している事になる。その為、収納する事で死亡確認が出来るのだ。

 もう一つはスペースの確保。戦闘中死体に足を取られる事が何度かあった為、討伐した直後に収納する様になった。他にも視界を遮る物を減らす、つまりは少しでも死角を減らす意味もある。


(閑話休題)


 残ったニードルラビット3匹が立て直した様で、3匹はユキ目掛けて纏めて飛び掛かる。人間ならここで高度なコンビネーションを行い、時間差攻撃や挟撃などで敵を仕留めに掛かるのだろうが、魔物にそこまで求めるのは酷だろう。

 ユキは右手に持った“水鏡刀”をインベントリに収納、排出して逆手に持ち変える。そして体を捻り、武技を発動した。


「‘疾剣・円弧’」


 その場で高速の回転斬りを行う。3匹全てが斬撃の剣線上を通り、ボトリと地に落ちる。ユキは一瞬で3匹のニードルラビットを一太刀の下に切り捨てたのだ。


「ふぅ……」


 戦闘が終わったのを感じて息を吐く。少ししてユキは両手に持つ二刀を鞘に納め、証明部位の切り離しを始めた。


 解体に使うのは“鈍暗刀”だ。“鈍暗刀”を使う理由は単純で、ユキの持つ刀の中で一番刃が短いからだ。ちなみに分類的には短刀となっている。

 刀身が20㎝で柄が15㎝だ。ナイフに近い大きさで破壊不可、耐久値測定不能という壊れ武器なので切れ味が落ちる心配も殆ど無い。

 そして余談だがユキの持つ6本の刀、長刀が2本、通常ノーマルの刀が2本、短刀が2本といった内訳になっており、月鏡刀>純土刀>水鏡刀>火月刀>暗風刀>鈍暗刀の順に刀身の長さが20㎝ずつ変わっている。


 魔物から魔石と討伐証明部位を剥ぎ終わる。ユキはばらした魔物をインベントリに収納し、刀を抜いた。抜いたのは“月鏡刀”だ。魔物を斬り殺した“月鏡刀”は当然の事ながら血が滴っている。ユキはその血を一振りして飛ばす。

 次に取り出したのは熱湯を染み込ませた布だ。既に淡く赤に染まっているそれで刃に付いた皮脂油を取る。切れ味を落とさない為の応急処置だ。

 指を切らないように注意して油を取ると、次に“水鏡刀”、その次に“火月刀”“鈍暗刀”と処置していく。全ての刀を拭い終えると全て鞘に納め次の獲物に向かった。



     ◆




「っだぁ! 終わったー!」


 ユキは叫びながら肩を解す。ユキが依頼の魔物を規定数倒し終えたのは15時の少し前だった。如何やらスイの登録試験前に終わったらしい。

 ユキは街の入口へ向けて移動しながら、空いた時間を何に使うか思案する。必需品の買い物はスイに頼んだ為、必要無い。


「うーん……」


 特にコレと言ってやりたい事が思い浮かばない。取り敢えずポケットに手を突っ込んで残金を確認する。


「銀貨1枚に大銅貨7枚か。日本円換算で1万7千円。渋いな……」


 宿は朝食・風呂(シャワー10分)付きで一泊銀貨1枚とこの世界ではお手頃な価格だったので既に三泊分の代金を払っている。三泊なのは三日後にこの町を出て魔法学校に向かうつもりだからだ。

 今回の依頼の報酬額は均一で銀貨3枚なので、当分は依頼を受けなくても凌げるだろう。

 だが、ユキの場合はそれではダメだ。魔法学校への入学金を約1ヶ月で集めないと行けないのだ。


 ユキがエレミリナに聞いた所、受験するのに大銀貨1枚(日本円で十万円)。入学には金貨1枚(百万円)が必要になる。そして毎月の授業料で大銀貨1枚が必要になるのだそうだ。勿論の事ながら必要な教材や文具などは各自で購入しなければならない。

 まあ、特待生の様な仕組みもあるそうなのでユキはそれを狙うつもりでいる。


 ちなみにこの世界で魔法とは便利なもの。だが、取り扱いを誤ると危険なものと認識されている。その為、生まれた時に教会で魔力量と魔力適正、魔力純度を調べられ、場合によっては親から切り離されて然るべき教育を施されたりする。

 そして裏では、各国による暴走した場合に危険な人物のリストアップが行われている。

 ただ、親から切り離される事は余り無い。理由は単純で高い魔力を持つ者達の間に生まれた子は、高い魔力を有している確率が高くなる為、必然的に同格の者と結婚する事が多い貴族や王族に高い魔力持ちが多くなるからだ。


 まあ、そんな訳でユキとしては移動しながらもお金を稼いで行きたいのだ。そうなると、一番都合が良いのは護衛系の依頼となる。

 ただし、護衛依頼は最低でもCランク以上でないと受けられない為、ユキは討伐依頼でptを荒稼ぎしていたのだ。ユキは今日で目標のptまで稼ぎきったので、明日ランクアップ試験を受けるつもりだ。スイも明日同じ事をやる予定でいる。

 

「まあ、最悪…… インベントリの中からフロストドラゴンの死体を取り出して売れば金ぐらいすぐに貯まるんだけどな」


 と、ユキは本末転倒な事を言う。

 フロストドラゴンを倒せる実力とアイテムボックスを持っている事を隠す為にわざわざ依頼だけでお金を稼いでいるのにそれを言っては元も子もないだろう。


 他愛もない事を考えていると街の入口が見えてきた。門の前には衛兵が二人立っていた。

 何やら喋っていた衛兵はユキの方向を向いて「ひィッ!?」っと声を上げる。


 どうしてそのような反応を取るのか分からず、ユキは後ろを振り向く。だが、後ろには誰もいない。

 そうなると必然的にユキに何かがある訳だが、心当たりが見つからない。


「あの、どうかしましたか?」


 悩んでいてもしょうがないので衛兵達本人に直接原因を聞く。


「いや、すみません。綺麗なお嬢さんが血塗れで歩いて来たので少し驚いてしまいました」


 そう言われてユキは初めて気が付く。“深黒グラシャルナ”には外部隔離の特殊効果がある為、一切血は付いていないが、それ以外のズボンや靴、靴下、髪、顔などに乾いた血が付着している。


 ユキは余りの惨状に顔を顰める。が、ココではふかふかのタオルをインベントリから取り出す事が出来ない。理由は言わずもがな衛兵が見ているからだ。


「ご忠言頂きありがとうございます。それではすみませんが一度身なりを整えに戻らせて頂きますね」


 と言ってユキは速足で森に入り。身なりを整えて戻って来たのだった。

衛兵さん「え、あ、はい。」


 相手に何か言わせる前に押し通す。これがユキの戦い方だ!




……何か間違っている気がする。

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