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プロローグ
私が記憶を取り戻したのはつい最近のことである。
兄とふざけて遊んでベランダから落ちてしまった際に頭を打ったのだ。
「未輝!?大丈夫か!?」
(大丈夫じゃねーよ何二階から6歳児落としてるんですか)
泣き出すより早く心の中で兄に突っ込んでいた。結局、私は不機嫌である風に装って兄を追い払った後、
押し入れに閉じこもって今の状況を整理した。幸い、転生前の記憶が混ざったりだとか、自我の争いが起こるわけでもなく、そりゃもう自然に今の自分の意識が昔の自分の意識にフィットしている。
知能と精神年齢がグーンと上がった、むしろ転生前の頃の自分のレベルに戻った感じだ。
前世では……確か両親と姉がいて、ごく普通の家庭だった。甥っ子が生まれたと聞いて、浮かれながら病院に行っている途中横断歩道で車にはねられたところから前世の記憶がない。恐らくこれが私の最期なのだろう。しかし、前の家族には本当に申し訳ないな。両親より先に死ぬし、姉さんと義兄さんには迷惑かけるし……今世ではせめて長生きしよう。と、人生の目標を決めたところでふっと思い出した。
「ん?……まさかここって異世界?」