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第9話

 貿易都市ガロンの冒険者ギルドに着いたケントは中に入ろと扉を開くとそこには大勢の冒険者が居た。

 ケントが入ると冒険者が振り返りケントを見た後興味が失せたように顔を戻す。


 何事かと頭を傾げながら人を掻き分けなんとか受付にたどり着き受付嬢に話し掛ける。


「こんにちは。運び屋のケントと言います。ルフトより荷物をお届けに参りました」


「あぁ!あなたが運び屋さんですか。お話はうかがってます。別室でお受け取りしますのでついて来て下さい」


 女性に案内されて着いた部屋でケントは荷物を出し、女性が確認をする。


「……あの、冒険者の方々が集まってましたが何かあったのですか?」


「はい、ここから西の砦にて魔物の群れと交戦中との事で、冒険者の方に緊急の収集を掛けている最中です。明日の朝には出発するのですが、それまで砦がもつかわかりません…」


 女性は顔を下げて最後の方は消え入りそうな声だった。


「そうだったんですね。その砦までどのぐらいの距離ですか?」


「砦までは急いでも4日の距離ですが、大量の物資も運ぶと7〜9日ぐらいです」


 ケントは手を顎に当てて考える。数秒の思案の末にケントは力強く頷き女性に話を切り出した。


「人は運べませんが大量の物資は僕が全て運びます」


「えっ!?ダメですよ!危険です!砦には既に大量の魔物がいます。冒険者でない方をそんな危険な場所に行かせる訳にはいきません」


「危険なのは重々承知です。ですが自分は運び屋です。荷物があるなら運びます。それに自分なら1日で砦まで行けます」


「!?……い、1日ってさすがにそれは………」


 女性はケントの言葉に驚いた。


「がははは。これまた生きのいい小僧だな」


 突如部屋の扉が開き、ガッチリした体型の男性が入って来てそう言った。


「ギ、ギルド長なぜこちらに?」


 女性はそう言った。ケントもその人物がギルド長だとこの時初めて知った。


「がははは。たまたま前を通ったら小僧の声が聞こえてな、ちょっと聞かせて貰った訳だ。………それで小僧、お前本気で行く気があるのか?」


 ギルド長は先程のおどけた感じは無くなり身体から威圧感が出ていた。


「はい。これが自分の仕事です」


 ケントはそれに真っ直ぐな目でそう返した。


「……………」


「……………」


「がははは。分かった。俺の権限でお前に依頼を出す。報酬も俺が出そう、お前いつ出発する?」


「時間が惜しいので物資を受け取り次第出ます」


「わかった。おい、チサ!すぐに物資の内訳書を持って来い」


「は、はい!」


 女性は走って部屋を出て行った。どうやらチサという名前らしい。


「さぁ、報酬の話をしようか」


 ギルド長がそう切り出してきたのでケントは今一度気を引き締めてギルド長と相対した。

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