第7話
翌日、ケントは二度目の商業ギルドに足を踏み入れた。
待つこと20分余り、ピシッとした服を着た女性がケントの元に来て、ギルド長の執務室に案内すると告げた。
執務室は3階に有り、ドアに『執務室』という札があるだけで、他の部屋のドアと変わりの無い木の扉だった。
コンコンコン
女性がノックをする。
「失礼します。ケント・ラグナス様をお連れしました」
「は〜〜い。入っていいよ〜〜」
女性のそんな緊張感の無い返事にケントの緊張は少し和らいだ。
中に入ると12畳程の広い部屋で女性が一人机の上の書類と格闘していた。
「やぁ、君がケント君だね。待たせてごめんね〜。さて、さくっと本題に入っちゃおうか」
「はい。こちらがケニー支部長からお預かりした手紙です」
「はいはい〜♪なになに?……ふむ…………ふむ」
女性は手紙を読み終わると机の引き出しから一枚の紙を取り出し、何かを書き始めた。
待つこと数分。
「よし出来た♪はいこれ許可書ね」
「えっ?こちらで許可書が頂けるんですか?」
ケントはあまりにも簡単に許可書を渡してきたので驚いて聞いてしまった。
「あれ?聞いて無いかな〜?許可書はここじゃないと発行出来ないんだよ〜。おかげで仕事が溜まる溜まる」
笑いながら机の上の書類んバシバシ叩く。
「あっ!教えとくけど私ここらの商業ギルド仕切ってるギルド長だから♪何か困った事が有ったら気軽にうちに来なよ♪今日から君は商業ギルドの一員だからね♪」
「あっ、はい。よろしくお願いします。……えっと……」
「アルトラーゼ。私の名前はアルトラーゼ♪長いからみんなアルトって呼んでるよ」
「あ、アルト…さん」
「うん♪素直でよろしい。それじゃあ配達依頼は溜まりがちだから君が仕事を初めてくれて嬉しいよ。期待してるよ〜」
「はい。期待に応えれるよう頑張ります」
「あははは〜♪無理はしないでね〜♪適度な息抜きも大切だから〜。よし!私も息抜きに旅に…」
「ギルド長」
案内してくれた女性が低い声でそう言った。
「…あは〜…。じょ、冗談だよ〜スー。そんな恐い顔してたらケント君が怖がっちゃうよ」
突撃話を振られたケントはワタワタと焦る。
「そ、それじゃあ仕事があるからまたねケント君〜♪許可書は無くさないようにね〜また書くの面倒だから〜〜」
「ギルド長!!」
「あ〜〜スー恐〜〜い♪」
なんとかお礼を伝え、商業ギルドを出たケント。許可書にはケントの名前とその仕事を始める許可を商業ギルドが認めた事が書かれていた。
これも身分照明書になるらしいので無くさないようにスーさんに念をおされた。
ケントはすぐにリングに仕舞い大きく伸びをした。
「う〜〜ん。……よし!!運び屋家業始めますか!!」
今日、異世界初の運び屋が誕生した。