第6話
テスタルの街はフロトの街よりも大きかった。レンガで出来た建物に綺麗に石を敷き詰め舗装された地面。フロトも同じ作りだったが建物の高さや道幅が違った。
フロトは最高が3階建てだったがここテスタルは5階建ての建物が見受けられた。
外とは違い走りやすい街中を奇異の目で見られながらもケントは商業ギルドへと向かっていた。
商業ギルドは街の東側にあった。中央には冒険者ギルドがあり、他の建物より大きかった。そこで商業ギルドの場所も聞いたのだ。
商業ギルドは4階建てで横長の建物だった。
1階の受付で要件を言ってテスタルのギルド長に会えるように手配して貰った。
残念だったのは今日ギルド長は忙しいらしく明日でないと時間が取れなかった事だ。
ケントはギルドを出て、泊まる宿を探す為に一度バイクをリングに収納すると、新たな街を見物しながら歩き出した。
そんな時、門に一台の馬車が着いた。
「ジム。久しぶりだな。ちょっといいか?」
「お帰りカイル。うん?…それはワイリードッグか?なら襲われてた4人組はお前らか」
門番の男ジムが馬車に縛り付けられた魔物の亡骸に気付きそう言った。
「おぉそうだ。それを知ってるって事はヤツが来たのか?」
「ヤツ?」
「あぁ。見たこと無い鉄の鎧を付けた馬か、魔物 に乗った人物だ」
「鉄の鎧……?見たこと無い……?ああぁ!バイクの事か!!」
「バイク!それが名前なのか!!」
「うぉぉ!?」
カイルはジムに凄い勢いで迫った。それに驚いたジムは数歩下がった。
「どうなんだ!バイクって名前なのか!!」
「おっ、おおぉ」
「わかった、ありがとうジム。またな」
ジムから離れたカイルは馬車に戻り街に入っていった。
あとに残されたジムは呆気にとられていた。
「そんなにバイクに乗りたかったのか?」
ジムの独り言は風に流されて消えていった。
***
カイルは護衛依頼の終了を報告するために冒険者ギルドに来ていた。
「バイクって名前のソロの冒険者がここに来なかったか?」
「いえ、そのような名前の方はいらっしゃいませんでした」
「ならどっかのチームにバイクって冒険者がいるか調べて貰えるか?」
「申し訳ありませんが、守秘義務がありますのでチームまでを調べる事は出来ません」
カイルはジムから聞いたバイクという名前の冒険者を探していた。
理由は単純で、面白そうだからだ。
「あ〜あ、またカイルさんの悪い癖だよ」
「全く付き合う私達の身にもなって欲しいです」
「………お腹すいた」
受付嬢とカイルが押し問答をしているのを近くのテーブル席に座り眺める3人組がいた。その3人はカイルのチームメンバーで、カイルの弟子の少年ジョニー。魔法使いのアーニャ。お腹がすいて不機嫌な少女ククル。
「今度ご飯奢るから!なぁ頼むよ」
「「「…………はぁぁぁ」」」
3人の溜め息は虚しく響いた。