第3話
「じゃあ、これをテスタルの街にいる商業ギルドまで届けてくれるかしら」
ケントは冒険者ギルドを出て、エルフの女性ミレアから商業ギルドまでの地図を描いてもらい今ルフト支部長の女性と話をしていた。
ここルフトの街にある商業ギルド支部長はケニーという名前で、厚化粧に、ふっくらとした身体できらびやかなアクセサリーをこれでもかというほど着けている。
運び屋の仕事を始めたい意図を受付に伝えると、丁度そこを通り掛かったケニーが面白いと言ってケントはそのまま応接室に連れて行かれたのだ。
「これを、テスタルの商業ギルドに届ければいいのですね」
ケントはケニーが話を聞いた後に書いた手紙を受け取った。
「そう。それはちゃんと配達の仕事が出来るかの試験。それをそうね〜、3日以内に無事に届けれたらあなたの仕事を許可するわ」
「わかりました。3日以内に無事に届けたら許可して貰えるんですね!」
「ふふふ、そうよ。でも簡単じゃ無いわよ。歩いて1日半の距離だし、盗賊や魔物も出る事が有るから護衛を雇うなら早くした方がいいわよ」
「なるほど……。わかりました。それでは失礼します」
ケントはケニーに頭を下げ商業ギルドを出た。
商業ギルドを出たケントは受け取った手紙を密かにストレージリングに入れた。そして、簡単に計算をしていく。
人が歩いて1日半だと人にもよるが約40Kmぐらいと予想する。ならばバイクならばどうだろうか。
道の状態にもよるがケントのバイクなら森や林など木々が生い茂っていなければかなりのスピードは出る。ならばテスタルまで1〜2時間で行ける。
それはあまりにも速過ぎないか……。
この世界にはまだバイクや車は無く、馬車が主流だ。馬を使ってもいいが、ケントは馬に乗った事が無い。
ならば…………。
「よし、さっさと行こ!」
とりあえず行く事にした。速過ぎて困る事は無いし、それは今後の売りになると結論付けた。
門の外に出て、少し離れた場所でバイクをリングから取り出し股がる。
少し前屈みになる体勢でグリップを握りアクセルを噴かす。
「あっ!忘れてた」
何かを思い出したケントは一度体勢を直し、リングからサングラスを出した。これはケントのお気に入りでバイクを両親から貰った時に買った物だ。
「さてと、準備万端だな。テスタルに向けて出発だ」
再びグリップを握りルフトを出発した。