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第1章.6才の王女

初めまして、田木と申します。


ベランダで遠くをみつめて家族の帰りを待つ女の子。肌寒い秋の風が腰までのびた美しく波打つ髪をゆらし、煙の匂いもつれてくるから責められているように感じてうつむいてしまう。

私は女王陛下。小さくて美しい国「ハーデン・ベルギア」の国王である。

ここはふたつの国にはさまれるように位置しているが、その両隣の国は今、戦争をしていて「ハーデン・ベルギア」は戦場にされてしまっている。

お母様とお姉様は東へ。お父様とお兄様は西へ。それぞれの国へ交渉をしに行き早数ヶ月。西から2通の訃報が届いた。

ぼうっと森の方をみつめてただ待っている。

「リウム様、お身体に障りますのでお部屋に戻りましょう?」

乳母が優しく肩掛けで包んでくれる。

「お母様に会いたいわ、私も東の隣国に連れて行ってほしいの。」

乳母は私のお母様の幼馴染でメイド長であり、針子も簡単にしてしまう。この暖かい肩掛けも、私のドレスの刺繍も趣味のようなものだからといって作ってくれた。

「私もバーベナ様にお会いできるときを心待ちにしております。ここで信じて自分にできる最善を尽くすのですよ。」

他の従者やメイドと違うのは決して「絶対にすぐお戻りになられます。」とか「女王としての責務を果たすべき…」とか言わないし、私が魔法をつかえないことに対してひどいことを言わないことだ。

「ねぇ、私はきっとみんなに嫌われているわ。」

メイド達も、従者も騎士団も私に会うたびに「その歳でおかわいそうに…。」とか言って悲しそうな顔をするけれど、私は背が低いから見上げるように人の顔を見るので分かってしまう。

本当は目の端が気味悪く笑っていることを。

「そうですね。そうかもしれません。」

乳母が苦しそうにそう答えたのでそっと目を合わせた。とても悲しそう。瞳はうるんでいるし眉間にぐっと力が入っている。私には分かるのだ。1人取り残されたけれどきっとお母様が私を一人ぼっちにはしなかった。それが、できる最大限の娘への愛。

「…お茶を入れてくれる、?お砂糖とミルクをたっぷりいれて、とびっきりあまくして、。」

「もう、夜も更けているのでだめです。ですがアンス様がお好きなハーブティーならおいれしますよ。」

アンスお姉様が好きだったハーブティー。

―リウムにはこの茶葉がいいと思うの。飲みやすいし、香りもいいの。―

お茶会でお姉様が私に選んでくれたローズヒップティー。大好きな甘いミルクティーよりずっと大人な味がして、でも優しい香りが好きだった。

「どうぞ。」

あの時と変わらないお姉様との思い出の香り。

その夜は一晩中乳母の腕の中で泣きつづけたのだった。

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